顧客ロイヤルティを知る究極の質問

こんにちは、検索迷子です。


先日、勝間勝代さんの『断る力』を読了し、
そのなかで紹介されていた本を読了した。


それが、『顧客ロイヤルティを知る「究極の質問」』フラッド・ライクヘルド著、
ランダムハウス講談社刊だ。

顧客ロイヤルティを知る「究極の質問」 (HARVARD BUSINESS SCHOOL PRESS)

顧客ロイヤルティを知る「究極の質問」 (HARVARD BUSINESS SCHOOL PRESS)


常日頃、自分の口癖のように、
自分が人に薦められない商品やサービスには、
仕事として関わりたくないと言っている。


転職をするときの基準、
仕事に就くときも、辞めようと決断をするときも、
どちらもそれが大きい。


自分が自社製品やサービスの一番のファンとなり、
それを周囲の人、できればより身近な人に、
お金を使ってまでそれを使う価値があると、
積極的に薦められるものしか、熱意を持って仕事として取り組めない。


つまりは、社会になくてもたいして困らない非日常品や、
高額すぎたり、マニアックすぎて顧客を極端に選んでしまうものは、
自分としては、人に勧めたいものになりにくく、薦められない。


人に薦められるものに関わっていくということが、
自分の意欲のベースとあるため、
この本で書かれていた骨子は読む前から納得のいくものだった。


本書では、核となる考え方とその事例が豊富に盛り込まれている。
業界ごとにあてはめて考えてみるのもいいだろう。

「良き利益」の追求


表紙カバー裏に抜粋されていた文章が、
本書の要約にちょうどいいものだったので、引用したい。

「悪しき利益」を拝し、「良き利益」を追求するために−


利益の中に、「悪しき利益」と「良き利益」があるという事実はあまり広く認識されていない。悪しき利益とは、顧客とのリレーション湿布を犠牲にして得られる利益。これに対し、良き利益とは、顧客を満足させることによって継続購入が生まれ、さらに満足客が友人や同僚にその企業を推薦してくれることで得られる利益のことだ。真の成長とは、良き利益を追求することから生まれるということも実証されている。問題は、従来の顧客満足度調査で顧客の本音を引き出すことができないということだ。質問が多すぎて真に役立つ情報がほとんど得られない。成長との相関もあまり見られないときては、良き利益を生み出すための策など講じられようもない。


顧客満足度調査を、自分もいくつかやってきたので、
この一節は実感を伴って受け入れられた。
確かに、費用をかけたなりの効果が欲しいと欲張るような調査では、
質問項目は膨大となり、
顧客側に負担をかけるばかりで、
真の結果が得られたとは言いがたいものもあった。


では、どうしたら、良き利益を導きだす質問ができるか、
というのが本書の核である。

究極の質問で、NPS(推奨者の正味比率)を測る


究極の質問という本書のタイトルからすると、
どれほど大きなことかと思うかもしれないが、
その究極の質問とはいたってシンプルである。


それを紹介した箇所を引用する。

第1章 良き利益と悪しき利益、そして究極の質問
◆究極の質問を問いかける


良き利益と悪しき利益を識別するための質問とは、どんなものだろうか。質問自体は単純なものだ。すなわち、「この会社を友人や同僚に薦める可能性はどのくらいありますか」というものである。そして、この質問をもとに得られる指標が「推奨者の正味比率(NPS:ネットプロモーター・スコア)」である。


NPSは、どんな企業の顧客も三つのカテゴリーに分類できるという基本認識に立脚している。すでに説明したとおり、「推奨者(プロモーター)」というのはロイヤルティの高い熱心な顧客で、みずからが継続購入客であるのと同時に、友人に対しても顧客になるように薦める。「中立者(パッシブ)」というのは、満足は、はしているがそこまで熱狂的ではない顧客で、競合他社からの働きかけになびきやすい。「批判者(デトラクター)」は、劣悪な関係を強いられた不満客である。先の質問に対する顧客の回答が、三者を分類する基準となる。たとえば、10点満点中、9点または10点と答えた顧客は推奨者であり、以下、中立者、批判者の順に点数が下がっていく。


完璧な効率で稼動している「成長エンジン」ならば、顧客全員を推奨者に変えてしまう。考えうる最悪のエンジンは、顧客全員を批判者にかえてしまうものである。成長エンジンの効率を測定する最善の方法は、顧客に占める推奨者の割合(P)から批判者の割合(D)を差し引くことである。つまり、企業のNPSは以下の数式で算出される。
  推奨者(P) − 批判者(D) = NPS

注:この数式は、私が手にした初版では、
「推薦者(P)」となっていたが、文章中、推奨者とあったため、
あえてここでは書き換えさせていただいた。


ただし、こうした数値は単純に測定できるものではなく、
各社の事例をもとに、指標の見方が説明されている。


統計数字をどう処理するか、どう活用するかは、
それぞれに場合分けが必要なことまるだろう。


たいせつなのは、推薦してもらえるようなものを生み出し、
推薦したいという思いを引き出せて、
その感想のフィードバックをもらえるようにしておく、
ということなのだと思う。


多くの質問はいらない。
人に薦めてもらえるものかどうか、
真実はそれだけでわかるのだ。


それを肝に銘じてサービスを作ろうと思う。
薦められるものに関わり続けようと思う。


では、また。