こんにちは、検索迷子です。
過去、私が関わったWebサイトはコンシューマー向けだけであった。
そうしたサイトをいくつか手がけた後、
今は法人向けサイトの話をしにいくことのほうが圧倒的に多い。
ヒアリングをするにつれて、
サイトにあまり情報を載せたくない、
そんなにマーケティング的にがつがつやる必要がない、
特定コンテンツを目立たせたくない、
利用者にとって特別便利なものでなくてもいい、
といった声を少なからず耳にして、驚いている。
確かに技術情報は競合対策のために詳細には乗せられないとか、
固定顧客がいて今以上の商談にならなくても利益が出ていたりとか、
組織上のバランスの問題とか、
コンシューマー向けのサイトとは違い、制約は多い。
それでも、利便性やユーザビリティについて、
どうして手を抜くのだろうと当初は思っていた。
それが法人向けであったとしても、
たとえば検索性だとかナビゲーションとかヘルプなどは、
どんなサイトにとっても重要だと思っている。
しかし、そういう機能をフルで実装しようと思うと、
当然コストも高くなる。
だから、とりあえず載せてあれば、探しにくくても仕方ない、
そういう決断をされるところもある。
法人向けのサイトの話を考えるようになり、
自分がこれまで蓄積してきた、Webサイトに対する考え方が、
少なからず揺らぐ瞬間がある。
いいものを作ればいいと信じてきたが、
予算の範囲内でできることだけをやると考えるところが、
相当数あるのだと知った。
利用者がどうのではなく、
会社側が載せるべき最低限のものを、
ただ載せておくだけでいいと割り切っているところも多く、
誰のためにこのサイトを作っているのかと疑問に感じることもある。
でも、目立ちたくない、
必要以上に便利である意味はない、
そういった発言を聞くにつれ、
これが法人サイトのごく普通の考えなのかと思ったりする。
と、法人サイトってそういうものかと、
半ば割り切りと悲観めいたもので考えていたら、
ふと自分が書いているブログもそうかもしれないと気づいた。
匿名で書きだすことを選んで、2年が経過した。
そろそろいくつかのテーマでまとめたり、
どこかで実名でやりたいという思いもあったりしたが、
今の検索迷子は時系列のアーカイブでしか探せない。
検索エンジン経由か、はてなの検索機能でしか、
これまで書いてきた過去のエントリーは探せない。
現に、自分自身が過去の話を引き継いでしたいとき、
探すときに苦労していたりする。
いつかカテゴライズしようと思いつつ、
このまま目立たせず、探しにくくしておくほうが、
今の自分のスタイルにあっているような気もしたり。
読み手のために分類するほど、固定の読者がいるわけではなく、
またこれが強みですと言い切れるほどのエントリーもないかもしれない。
そうした気持ちの引け目が、
わかりやすさを追求するよりも、
わかりにくさに逃げ込むようにしてしまっているのだろう。
2年前、検索迷子を始めたころは、
もっと連続して読むに耐えられるような、
まとまりのある文章を書いていくのだと思っていたが、
実際は日々話題があれこれと飛んでしまっている。
見せるために始めたブログが、
見せないためのブログになっている面もあるかもしれない。
見せないためのWebサイトを作ろうとする企業を、
一概には否定できないのと自分のなかのしがらみを通して、
妙に納得してしまっている自分がいる。
本当ならば、どんなサイトであっても、
ネット上に公開されている限り、
見せるためのWebサイトであるのだ。
積極的に見せるためのWebサイトを目指さないとしても、
見やすくて探しやすくて、使いやすいほうがいい。
見せないWebサイトを望む人たちと話した後、
見せたいWebサイト、見られたいWebサイトを望む人と話すと、
何か温度感が合ってほっとする。
とはいえ、そういうコンシューマー向けサイトばかりではない。
仕事は自分では選べない。
週に何度も見せたくないWebサイトを希望する複数の方と会うと、
見せたいWebサイトを作りたい方の話を聞くと、
俄然気持ちが入る。
そういうのは素人なのかもしれないが、
これが自分にとっての適性なのだろうと思うことにしている。
どんなサイトでも真剣に作る。
だけど、誰に届けたいかを考え抜いて、
ちょっとした野望や欲望がある人とプロセスを共有できるほうが、
圧倒的に楽しいし、効果も見えてくる。
見られたくないなら作らなければいいのに、
そう出かかる一言を飲み込んで、
それでも、インフォメーション的にただ停止を整えるWebサイトの話もする。
自社サービスのサイトでないだけに、
最終的にはお客様の意向に従うしかない。
ほどよく割り切り、
でも譲れないことを忘れずにいようと思う。
私自身、見せるためのWebサイトを手がけたい、
その気持ちは見失わずにいたいと思う。
では、また。