バビロンの大富豪

こんにちは、検索迷子です。


金銭管理の名著として、1926年に発表されて以来、読み継がれている本がある。
『バビロンの大富豪 「繁栄と富と幸福」はいかにして築かれるのか』、
ジョージ・S・クレイソン(George S. Clason)著だ。
原題は『THE RICHEST MAN IN BABYLON』。

バビロンの大富豪―「繁栄と富と幸福」はいかにして築かれるのか

バビロンの大富豪―「繁栄と富と幸福」はいかにして築かれるのか

1926年に発表されたロングセラー


この本を読み始めて、現代と時代背景があまりに違う点や、
語り口を中心としたお話の形だったため、
なんとなく読みにくいかなと思っていたが徐々に内容に引き込まれた。
生活するために必要なお金との付き合い方は、
古代から引き継がれた知恵として生きていると思った。


本書の付記によると、

出版社の社長であった作者のジョージ・S・クレイソンは、古代都市バビロンを背景にした人生哲学的寓話を定期的に発表し、知人や関係者に配布した。それが次第に銀行・保険会社といった金融業界の人々や一般企業の経営者・幹部の知るところとなり、その評判は一気に広がった。

ということのようだ。
確かに、寓話という表現がぴったりな気がする。
そして、この寓話のなかに秘められた表現の奥深さに驚かされる。
それが、ロングセラーとなっているゆえんであろう。

裕福だった古代都市バビロンの市民


はじめに、では本書の目的が記されている。

私たちの成功は、準備が適切にされたかどうかによって左右されます。適切な準備(正しい考え方)なくしては適切な行動はあり得ず、適切な理解なくして適切な準備はあり得ません。
この本は、富とそれにまつわることを理解するための手引きとして書かれた、「空の財布の治療薬」のようなものです。もっと富を得たいと強く望んでいる方々のために、富を手に入れ、手に入れた富を守り、そして余った富でさらに多くの富を手に入れる、本書はそのための手助けになる奥義(おうぎ)が記されているのです。
この本の舞台は、古代都市バビロンです。現在世界中で認められ活用されている「富の基本原則」が生まれ、育成された「揺籃(ようらん)の地」といえるところです。

揺籃とは、物事が発展するときの最初の場所や時期、ゆりかご、といった意味のようです。
つまり、お金の取り扱い、信用取引、交渉といった原点となるようなエッセンスが、
本書にはあります。


普遍の原則


本書内で紹介されている原則をご紹介していきます。
本書の中心は、昔語り風な文章や会話調が中心で、
そのエピソードのなかから気づきを促す内容ですが、
部分的にまとめのような箇所があるため、そこを抜粋します。

本書内の表題裏のページより


富とは、この世での成功をはかる尺度となるものである。


富とは、この世で手にすることのできる最高の楽しみを可能にしてくれるものである。


富とは、手に入れるための単純な法則を理解し、それを守りさえすれば、いくらでも手にすることがdけいるものである。


現代における「富の支配法則」とは、バビロンの市街に裕福な人々がひしめいていた数千年前の法則と、少しも変わるものではない。

第二話 富をもたらす黄金の「七つの知恵」とは


第一の知恵 財布を太らせることから始めよう
第二の知恵 自分の欲求と必要経費を混同するべからず
第三の知恵 貯めた資金は寝かさず増やすべし
第四の知恵 損失という災難から貴重な財産を死守すべし
第五の知恵 自分の住まいを持つことは、有益な投資と心得よ
第六の知恵 将来の保障を確実にすべく、今から資金準備に取りかかるべし
第七の知恵 明確な目的に向かって、自己の能力と技能を高め、よく学び、自尊心を持って行動すべし

第四話 金貨の袋か、「知恵の言葉」が刻まれた粘土板か


「五つの黄金法律」
一.将来の資産と家族の財産を築くため、最低でも収入の十分の一を貯めるならば、黄金は自ら進んで、しかもだんだんとその量を増やしながらやってくるだろう。


二.貯まった黄金がさらなる利益を生むような働き口を見つけてやり、家畜の群れのごとく増やせる賢明な主人となるならば、黄金は勤勉に働いてくれるだろう。


三.黄金の扱いに長けた人々の忠告のもとに黄金を投資するような慎重な主人であれば、黄金はその保護のもとから逃げようとはしないだろう。


四.自分のよく知らない商売や目的、あるいは黄金を守ることに長けた人々が認めないような商売や目的に使われる黄金は、その人間から逃げてゆくことだろう。


五.あり得ないような莫大な利益を生ませようとしたり、詐欺師の魅惑的な誘いに従ったり、あるいは自らの未熟で非現実的な欲望に頼ったりするような人間からは、黄金は逃げてゆくことだろう。

バビロンという都市


バビロンのことについて、本書を読むまで全く知識がなかったのだが、
富と美しさの象徴として、歴史に刻んだ事例は多いようだ。


バビロンは、現代は存在しない都市だが、
全盛期は三千年ほど前で、ユーフラテス川のほとりにあったという。
確実な記録のある「世界最古のもの」と多くの学者は考えているようで、
その記録を支えたのは、バビロンの「粘土板」による記録の習慣からきたものらしい。
そして、その記録には、
伝説や詩、歴史、勅令、法律、財産の権利、約束手形、書簡などがあったという。
こうした記録が、現代に生きる知恵を授けてくれるきっかけとなったのだろう。


また、バビロンの都市を囲んでいた巨大な城壁は、エジプトの大ピラミッドと並んで、
世界の七不思議」の一つに数えられているようだ。


本書の魅力は、こうした歴史的な都市の背景とともに、
高度な教育と知恵を兼ね備えた市民が育っていったのだと知ると、
より味わい深いものがある。


バビロンについては、以下のサイトに記載があります。

Wikipedia - バビロン

バビロンはメソポタミア地方の古代都市。市域はバグダードの南方約90kmの地点にユーフラテス川をまたいで広がる。語義はアッカド語のバビリムBab-ilim(神の門)に由来し、マルドゥクを守護神とした。ウル第3王朝崩壊後のイシン・ラルサ時代の群雄割拠をこの都市に開かれたバビロン第1王朝第6代の王ハンムラビが制して以後、メソポタミア下流域の重要都市として浮上した。これ以後のメソポタミア下流域、すなわちシュメールとアッカドの地を、ギリシア語で「バビロンの地」を意味するバビロニアの地名で呼ぶ。


Wikipedia - バビロンの空中庭園
バビロンの空中庭園(くうちゅうていえん、Hanging Gardens of Babylon)とは、セミラミスの架空庭園(懸垂庭園)とも呼ばれ、古代ギリシアの数学者・フィロンが選んだ「世界の七不思議」の建造物の一つの屋上庭園。 

名前からは、重力に逆らって空中に浮かぶ庭園が連想されるが、実際には高台に造られた庭園である


また余談ですが、多くの歌手の方が、
国内、海外問わず、バビロンを題材にしているようですね。
それだけ、魅力的な古代都市で人の心をひきつける場所のようです。


現実的なお金という面だけでなく、
今は消滅してしまった魅惑的な都市として、バビロンを調べていくのも面白そうです。


本書では、古代から生きるためにはお金が必要で、
どうお金と向き合っていくかは普遍的な問題なのだとあらためて思いました。
いろんな時代背景が変わっても、繁栄と富と幸福を築こうと生きる人々。
不思議な感覚になりますが、それが生きるということなのでしょうね。


でも、何よりも、
本書で書かれた寓話を広めたり、
その内容が現代にも通用する知恵があると気づいた人たちもまた、凄いなと思います。


生み出す力も、語り継ぐ力も人の知恵なのですね。


では、また。