中居正広さんの『エッセンシャル思考』

こんにちは、検索迷子です。


今日は中居正広さんの話を書くが、出演番組の話ではなく、ビジネス書の紹介とからめていこうと思う。


ビジネス書というと硬いイメージを持つ方も多いだろうが、私は今日紹介する本を読みながら、ずっと中居さんを思い浮かべていた。


少し前に、中居正広さんの「終活」番組での存在感の冒頭でも少し触れたが、私は中居さんの思考にはっとすることが多い。なぜ、こんなふうに物事の本質をとらえ、行動ができるのだろうと、人としての中居さんをリスペクトしている。


それは、私がSMAPのことをブログで書くずっと以前から、一人で思っていたことだ。失礼な言いかたを承知で書くならば、スーツを着ない仕事をしている中居さんが、スーツを着た人たち以上に理知的で、冷静で、軸がぶれない行動をしているところに、中居さんはいったいどこで、こういう考え方を身に着けたのだろうと興味を持っていた。


でも、中居さんの才能の多様性は、出演番組ごとの役割によって全く違った見方ができるため、前出の記事を書くまで、私は中居さんのことを記事にできなかった。どこか一面だけを切り取って、素晴らしさを書くというのが、本当に難しいのだ。


たぶん、中居さんの考え抜く力や、根拠に基づいた行動、思考の深さや思考のプロセスが、一瞬だけを切り取って感想を書きにくい気持ちになっていたのだろう。そうそう簡単に、あのとき中居さんはこうだったとコメントができそうにないとずっと思っていた。


けれども、終活の感想を書いたことで、多くの中居さんファンやSMAPファンのかたに読んでいただき、私は私なりに、中居さんをこう見ていると書いてもいいのかもしれないと気持ちを新たにした。


そんな折、たまたま読んでいたビジネス書に、中居さんの思考ってこういうことなのだろうかと思える一冊に出会った。不思議なことに身近な誰かをサンプルとして読むのではなく、ずっと中居さんが思い浮かべていた。内容が純粋なビジネス書であるにもかかわらず、だ。


それが、『エッセンシャル思考ー最少の時間で成果を最大にする』
グレッグ・マキューン著、高橋璃子訳、かんき出版、2014年11月刊だ。

エッセンシャル思考 最少の時間で成果を最大にする

エッセンシャル思考 最少の時間で成果を最大にする


これ以降、本書内でハイライト的なものを紹介していく。どこを中居さんとつなげて考えたかは、引き合いに出したい事例が多くなってしまうため、今日は読み手に委ねたいと思う。ああ、こういうところあるよね、いやここは違うのでは、という見方はたぶん、いつのどの中居さんを見てきたかでも異なるような気もしている。


この本は、ビジネス書だが、日常をよりよくしたいという思考整理の手法は、勤め人かどうかは無関係だと思う。だから、何か日々のヒントになるようなことがあればという思いもあって、箇条書きで紹介していく。

「エッセンシャル思考」とは

本書の帯にあるように、「エッセンシャル思考」とは、「99%の無駄を排除し、1%に集中する方法」ということが端的な紹介だ。さらに本書内の言葉を使うと、「自分の時間とエネルギーをもっとも効果的に配分し、大事な仕事で最大の成果をあげる」ということを狙いとした本だ。


もっとかみくだいて言うと、「やるべきことを正しく選び、そこに集中して、結果を出す」ということだろうか。


私の例で恐縮だが、このブログでSMAPの話題を書き始めて、多くのSMAPファンのかたに受け入れていただくなかで、自分のなかにずっと葛藤があった。より多くの番組視聴をして、雑誌もチェックして、舞台や映画に行き、よりたくさんの記事を書いてみたいという気持ちが芽生え、Twitterでも小出しに感想をつぶやきたい気持ちもあった。でも実際にはそれができないジレンマがあった。


そして、やっと行きついたのが、数は少なくてもいいから、ブログのみに絞って一話読み切りで、一つずつを丁寧に本気で書こうという結論だった。SMAPを書くことが仕事になればまた違う考えになるだろうが、いまのところ、限られた時間で限られた情報収集でやれることはごくわずかだ。こういう気持ちで書いたSMAP関連の記事は100本を超えて、数がそれなりに増えて、脱線しないでここで書き続けて良かったと思っている。


あれもこれもやらない、という決断が必要なシーンは人それぞれあるのだと思う。たとえば中居さんは、ネットをしないという発言をよくされているが、この選択も凄いことだと思う。


中居さんは中居さんなりの人脈やアンテナで、情報収集ができていて、ネットの情報収集を凌駕するような成果を上げているなんて素晴らしいことだと思う。ネットは手段の一つにすぎず、情報だけ集めても行動が伴わなければ、集めた情報は無意味なものになりかねないと、どきっとさせられる。そうだ、最終的には行動しなければ、何も知らないのと同じなんだと気づかされる。情報を集めただけで満足するのではなく、結果こそすべてなんだと。

「エッセンシャル思考」の考え方

以下、本書内から、どういう考え方が「エッセンシャル思考」かという要素を引用していく。なお、本書内では表組形式で、「非エッセンシャル思考」と対比しているが、ここでは「エッセンシャル思考」のみを引用する。逆の考え方がつまり、私たちが陥りやすい思考だと思っていただければと思う。


最初に一つだけ、「エッセンシャル思考」と「非エッセンシャル思考」の対比を、本書の例から引用しておくので、このように違いを実感してほしいと思う。

PART1 エッセンシャル思考とは何か
第1章 エッセンシャル思考と非エッセンシャル思考
エッセンシャル思考モデル


エッセンシャル思考
(考え方)
より少なく、しかしより良く
・これをやろう
・大事なことは少ない
・何を捨てるべきか?

(行動)
やることを計画的に減らす
・本当に重要なことを見定める
・大事なこと以外は断る
・あらかじめ障害を取り除いておく

(結果)
充実感
・質の高い仕事ができる
・コントロールしている
・正しいことをやっている
・毎日を楽しんでいる


非エッセンシャル思考
(考え方)
みんな・すべて
・やらなくては
・どれも大事だ
・全部こなす方法は?

(行動)
やることをでたらめに増やす
・差し迫ったものからやる
・反射的に「やります」と言う
・期限が迫ると根性でがんばる

(結果)
無力感
・何もかも中途半端
・振りまわされている
・何かがおかしい
・疲れきっている


という、対比を参考にしていただき、以下、各章ごとの「エッセンシャル思考」を要素を紹介したい。

第2章 選択ー選ぶ力を取り戻す
・これをやろう
・自分で選びとる


第3章 ノイズー大多数のものは無価値である
・大多数のものごとが不要だと考える
・決定的に重要なことだけをとる


第4章 トレードオフー何かを選ぶことは、何かを捨てること
・何をとり、何を捨てるか?
・何に全力を注ぐ?

PART2 見極める技術
第5章 孤独ー考えるためのスペースをつくる
・考えるための余裕をつくりだす


第6章 洞察ー情報の本質をつかみとる
・ノイズのなかのシグナルを探す
・語られないことに耳を傾ける
・情報の本質をつかみとる


第7章 遊びー内なる子供の声を聴く
・遊びを重視する
・遊びが不可欠だと知っている


第8章 睡眠ー1時間の眠りが数時間分の成果を生む
・もう1時間眠れば、数時間分の生産性が手に入る
・優秀な人はよく眠る
・眠ると創造的になる
・睡眠は仕事の効率を高めてくれる


第9章 選抜ーもっとも厳しい基準で決める
・上位10%にだけイエスと言う
・「まさに自分の求めていることだから」やる

PART3 捨てる技術
第10章 目標ー最終形を明確にする
・具体的かつ魅力的な戦略
・意味があり、心に残る本質目標
・ひとつの決断によって、その後のあらゆる決断を不要にする


第11章 拒否ー断固として上手に断る
・きっぱりと上手にノーと言う
・本当に重要なことしか引き受けない


第12章 キャンセルー過去の損失を切り捨てる
・「もしもまだ1円も払っていないとしたら、今からこの企画に投資するだろうか?」
・「今これをやめたら、何に時間とお金を使えるだろう?」
・すすんで損切りをする


第13章 編集ー余剰を削り、本質を取り出す
・良くすることは、何かを削ること
・不要な細部は冷徹に切り捨てる


第14章 線引きー境界を決めると自由になれる
・境界線を引くことで本当の力が発揮できる
・境界線は自由を生む
・ノーと言わなくてもいいようにあらかじめルールを設定する

PART4 しくみ化の技術
第15章 バッファー最悪の事態を想定する
・最悪の事態を想定する
・準備と計画に全力を注ぐ


第16章 削減ー仕事を減らし、成果を増やす
・本当の障害を取り除く
・成果が増える


第17章 前進ー小さな一歩を積み重ねる
・小さく始めて、大きな成果を得る
・地味でも着実に勝ちに行く


第18章 習慣ー本質的な行動を無意識化する
・正しい習慣を通じて自然と達成する
・重要なことをやるのが普通の状態


第19章 集中ー「今、何が重要か」を考える
・現在に集中している
・目の前の問題を考える
・今を楽しむ


第20章 未来ーエッセンシャル思考を生きる
シンプルな人生は幸福である
・迷わない
・流されない
・日々が楽しくなる
 

最終章 エッセンシャル思考のリーダーシップ


(方針)より少なく、しかしより良く
(人材)人材の選別にこだわり抜き、邪魔な人材は排除する
(戦略)「何かひとつだけしかできないとしたら、何をするか?」と考える
(タスク分担)各メンバーの特性と目標にとって最良の配置を決める
(コミュニケーション)耳を傾け、本質を見抜く
(部下育成)小さな進歩を重ねているかどうか、適切にチェックする
(成果)チームがひとつにまとまり、これと決めた方向で飛躍的な成果を上げる


かなり長文となり、内容が難しいと感じるところもあったかもしれないが、こういう整理された思考術を通して、今の自分の思考回路を知ることができるときもあると思っている。


本質を見抜き、本質に集中する。


それができない自分と向き合いながら、でもよりよく生きたくて、自分のために今日は本書を引用した。ビジネス書になじみがないかたにも、何か一つでも参考になるといいのですが。


身近なモデルとして、私は中居さんを思い描きつつ読んだが、細かく見ていくと違う箇所もあるだろう。また、それを実践している別なかたを思い浮かべることもあるだろうし、自分の思考性のチェックリストのようにも使えるかもしれない。


以前は、ほぼ毎日ビジネス書ばかりを読んでいたが、久しぶりにビジネス書を手にとり、こうして引用していきながら、何か、自分が見失っていることや、望む結果から脱線していることに気づける一冊となった。軌道修正しながら、もっと自分が描く未来を創っていきたいと思った。


生きているうちに、自分がやれることはそれほど多くない。
集中しよう。


では、また。