愛ってなんだろう。

こんにちは、検索迷子です。


愛について考える絵本がある。
その絵本で描かれている愛とは、恋愛についてではなく、
もっと深くて広い愛のことだ。


自分の周囲の存在や社会や、自分そのものに対して、
目には見えない、存在もわからない、
そんな愛そのものについて考える時間をくれる。


それが、落合恵子(おちあい・けいこ)さんの文と、
ワタナベケンイチさんの絵による『考える絵本9 愛』だ。

愛 (考える絵本)

愛 (考える絵本)


絵本のなかから、文章だけを紹介するというのはとても難しい。
だけど、この絵本は大人にもぜひ読んでほしいと思っている。


私自身、最近、人のために何ができるのかと考える瞬間が増え、
直接的でなくても、この場所で人の心を温めることや、
言葉での問いかけはできないものかと思っていた。


ダイレクトに自分の言葉で伝えるほどの力はない。
だけど、ささやくように何か間接的にでも伝えたい。


私ができることといえば、
愛を考える人のお手伝いをするために、
心にすんなりと溶け込むような言葉や本を紹介していくこと、
それが私なりの愛の形なのかもしれないと思っている。
愛を伝えていくという形は一つではないような気がしている。
小さくたって、これを読むのがたとえ一人だって、
一瞬の心の杖のようになれると信じている。


愛するものが何であれ、
愛していくということが心を温めてくれる。
愛するものを持って生きることが、
一人で生きているわけではないと教えてくれる。


誰もが何かを愛している。
そして、その愛を自分に問いかける瞬間がある。
その愛について、考えさせてくれるフレーズをご紹介します。

愛を考える絵本

考える絵本9 愛


愛ってなんだろう。
たぶん
あなたの わたしの
ここ こころのどこか深いところに
いる ような気がする。


見たことも さわったこともないけれど
ほんとうは見ているし さわっているのかもしれない。
ふわふわとやわらかい。そう 洗いたてのまだ新しいタオルのような
でも ザラザラチクチクした もっと痛いもののような気もする。


愛って何かという問いかけから、この絵本は始まる。


そして、愛犬や家族、友だち、見知らぬ人とのシーンを思い返し、
時に冷たく接してきた自分や負の感情を見つめて、
その時間を心地よく思っていない心の痛みを振り返る。

愛の反対は なんだろう。
あなたは ぎゃくから
考えてみることにした。
戦争だろうか。
憎しみだろうか。
差別だろうか。
どれもが そうだと思える。
愛の反対は無関心
と えらいひとはいう。
そうかもしれない とも思う。
相手とまっすぐに 向かい合わないこと。
相手の言っていることを 聞かないこと。
相手を透明人間にしてしまうこと。
それからそれから……。
考えることに疲れて あなたは眠った。
夢の中で 誰かが泣いていた。


愛を逆から考えて、
自分のなかにある差別意識や、偏見、
ほかの人の考えに迎合してしまって、
自分の視点の揺らぎに迷うさまが次に描かれている。


自分が愛せそうな、許容できそうなものでも、
三者の目や考え方によって、その少数派を避けてしまう弱さがある。
そんな自分を自覚してしまうときがある。

自分は自分のことを愛しているのだろうか
と あなたは考える。
好きなときも嫌いなときもある。その中間の そんなことを考えないときが
いちばん多いような気がする。


どうすれば 自分のことをもっと愛せるようになるのだろう。
あなたは 考える。
自分にウソをつかないこと。自分にウソをついたことを
あなたは知っている。だから 自分。
自分を大事にすることと 自分のことだけを考えることとはちがう。
それもわかる。
でも 自分を大事にしようとすると
自分のことだけを考えてしまうようで
なんか それもちがうと思う。


誰かを愛するということは、同時に自分をも愛することなのかもしれない。
自分を愛せなければ、周囲を愛することも難しい気がしている。

愛って どこにある?
たぶん ここ
こころのどこか
深いところに
いるような気がする。

(中略)
見たことも さわったこともないような。
見ているし さわっているかもしれないような。


あなたの愛は いま何色ですか?
あなたの愛は いまやわらかですか? かたいですか?


愛は問いかければ問いかけるほど、答えがでない。
だけど、問いかけずにはいられない力を持つ。
愛するものがいればなおのこと、自分に問いかけたくなる。
答えが出なくても問いかけたい問いがある。
愛とは、そういう問いなのかもしれない。

この 答えのでないものと
あなたは わたしは たぶん
一生つきあっていくのです。
やっかいなことだね。
でも すっごく気になるね。


ひとつだけ言えることは あなたはあなたでいいのです。
あなたはあなただから 素敵なのです。
あなたであることを大事にしてください。
たぶん 愛というものも
そこから ちらり と見えてくるのではないかと思うのです。


落合さんは、自分の人生に愛とは何かの答えを出せるのは自分しかいない、
そう本書のカバーで書いている。
そして、愛することの中に、答えのようなものがひそんでいると思えるとも。


愛するひとであってください。
あなたの人生を、そしてあなたを愛してくれるひとの人生そのものを、
と締めくくっている。


落合さんが伝えてくれたこのメッセージは、
答えがでないものでも、問いかけて考えてみることや、
自分の手元に引き寄せてみることや、
思いをめぐらせていくことの大切さを教えてくれる。


愛ってなんだろう。
そう問いかけたくなるとき、何度も読み返したい絵本だ。


文章だけでは伝えきれない良さが絵本にはあるので、
ぜひ、実際に手にとって、ゆっくりとページをめくりながら、
愛について思いをめぐらせてください。


愛には、生きている人それぞれの形がある。
そうわかるだけで、自分は自分でいいと自信が持てる。


出会いと出来事の数だけ、
これからも愛ってなにかを問いかけるのだろうけど、
まずは、今このときを丁寧に生きようと思う。


愛するひとであろうと思う。


では、また。