稲垣吾郎さんの澄んだ声の秘訣

こんにちは、検索迷子です。


今日は、稲垣さんのラジオ番組『STOP THE SMAP』の6月30日分を聴いて、感想を書きたい。実はいろいろ書きたいポイントがかねてからあったのだが、今日は短めに「声にまつわる話」の一つだけを取り上げる。


稲垣さんはこの日の番組で、リスナーからの質問を受けて、自分の声にまつわる話をしていた。その際、「仕事で出す声は、自分の声を聴きながら話している」とか「プライベートとは違う」といったような内容を話されていた。


このとき、あ、やっぱりそうなんだと腑に落ちたことがある。それは、「自分の声を聴きながら話す」ということだ。実はこれ、私がボイストレーニングをしているうえで、一番苦労しているところで、マイクなしで日頃練習をしているためか、マイクを使ったときの違和感がとてもあり、練習の成果が本番に出せないといったジレンマを感じるところなのだ。


カラオケで歌う時も同じことが起きるが、カラオケはまだ音楽があるぶん、リズムにのりながら、自分の声の跳ね返りを意識せずに歌っていくことができる。


でも、MCのような場面ではとたんにぼろがでる。MCに限らず、何かのイベントで登壇者に質問するときもそうだが、声がたいてい低すぎるうえに、マイクで声がこもり、自分で出した声が、人に聞かせられる声じゃないと喋りながらわかって、話しながらどんどん、自分の声のひどさにへこんでしまう。


跳ね返りの声は聴こえているものの、稲垣さんが言う、自分の声を聴いているという状態ではまるでない。稲垣さんの「聴いている」というのは、そのコンディションの調整もできる、能動的なプロの仕事だが、素人である私はただ音に引きずられるように、仕方なく聴こえている受け身のものだ。


ボイストレーニングの先生にもよく指摘されるが、声は、話し始めの高さが大事で、いったん発声した声から話しの終わりまで、普通は音が下がっていくものだ。日本語の発声のしくみとしても、最初が高くて、後半に向けて音が落ちていく構造になっているという。


だから、素人の大半は、「何を伝えたいか」という意志が曖昧のため、そのままノープランで話し始めると声が暗くなる傾向にある。


そして、暗めの声で話し始めると、もう軌道修正がきかず、会話の区切りまで、そのまま下がり続ける音で話し続けるしかないのだ。そのため、最初の第一声が実は一番肝心なのだ。ちょっとわかりにくい例かもしれないが、サザエさんが出る電話のように、お母さん世代が最初に甲高い声でしゃべることができるのは、電話の呼び出し音とともに、他人に向けた声の準備、高い声を出す意識ができているということなのだ(地声は別として)。


稲垣さんは、テレビやラジオでいつも澄んだきれいな声を出していて、大真面目に書くと、訓練された女子アナのような透明感がある。今回のラジオで、やはり人前で話す自分の声をとても意識しているのだとわかり、やっぱりそうなんだ、そこまで努力されているからこそプロなんだと納得してしまった。


そういえば、以前、草なぎ剛さんの「スペシャリスト」の声でも触れたが、草なぎさんが『中居正広のミになる図書館』に出演された際に、楽屋での会話が撮影されていたと知ったとき、事前許可なく撮影されたこととか、会話の内容ではなく、「これ流しちゃいけない声でしょ」と言っていた。


今回の稲垣さんの声に対する意識と、草なぎさんの声に対する意識に近い点を感じて、ああ、やっぱりずっと芸能活動をされて、マイクを通して数えきれないほど声を届ける仕事をしてきたかたたちは、声を出すプロなんだとつくづく実感させられた。


出す声にしっかりとプランを持ち、出した声にも責任を持っているというところも、稲垣さんと草なぎさんの発言から伝わってきて、何かあらためて芸能界の第一線で活躍し続けていられることの、細部への気配りがわかった気がして、わずか数分の稲垣さんのお話しがとてもためになる番組だった。


「伝える」ことを役割として、10代前半から自分の声と向き合い、その声も含めて自分の全身で何かを表現してくれるSMAPでいることって、本当にすごいことなのだとわかる話だった。


とくに、私自身、発声とか声そのものがくれるエネルギーに興味があり、最近、歌声に惹きつけられて、SMAPが『糸』で織りなした声を書いた。ファンのかたたちは、衣装とか、パフォーマンスや、ステージングに興味があるかたもいるでしょうが、私の場合、SMAPのあらゆる場面にはっとさせられるのは、声が一番大きい。


SMAPが伝えようとする何かを、その声ごと受け止めているだろうか。
声がくれるパワーって本当に偉大で、何より、声で伝えてくれようとするひとは、言葉で語らなくても「出そうとしている声」の直前の「伝えようとするもの」のプランを、明確に持っているんだということが、今回の稲垣さんのお話でわかった。


伝えたいものが声になる。そして、伝えたいものがある人の声は、確実に誰かに届く。
そんなことを考えながらラジオを聴き終えた。今日の稲垣さんのお話は個人的にとても参考になった。


なお、今日はすぐにブログを書きたく、聴き返しなしにニュアンスで書いたため、言い回しが違っていたらすみません。


では、また。