(20)草なぎ剛さんの『5月の風を抱きしめて』を聴きながら

こんにちは、検索迷子です。


今日は、「剛 しっかりしなさい!」のブログ運営者である、凪(なぎ)さんとのコラボブログ第20回である。コラボブログ【SMAPとココカラ】(19)心の鏡を受けて、草なぎさんの歌の話題を書こうと思う。


5月に入ってずっと、草なぎ剛さんの『5月の風を抱きしめて』が頭のなかに流れている。
この曲は、ちょうど一年前のスマスマの「シャッフルビストロ」草なぎさんの回で、「初のソロ曲は何か」というクイズにもなっていたが、このクイズ以前から、なんだかとても気になる曲だった。


SMAPの楽曲で、具体的な「何月」が入っている曲をざっと調べたところ、この『5月の風を抱きしめて』と、稲垣さんのソロ曲『September Rain』の2曲が1993年発売『SMAP004』に収録されている以外に、ないようだ(見落としていたらご指摘ください)。

SMAP 004

SMAP 004


以前、稲垣吾郎さんの「September Rain」については記事を書いたため、今日は草なぎさんのこの曲のことに少し触れたい。

『5月の風を抱きしめて』が持つ、青さと素直さ

季節を感じたいとき、その時期や風物詩、植物などを題材にした詩を探して読むことがある。
優れた作品は、季節にかかわらず、通年いつでもその良さが伝わってくる。


それでもやはり、季節を特定して作られた詩は、その時期にしか実感できない風合いを持っているから、できるだけその時期に読もうと思っている。


草なぎさんのこの曲は、当初、音だけを聴いていて、ずいぶんアイドルっぽい曲だなと思っていた。SMAPのメンバーにも、歌詞の面白さを突っ込まれていたというエピソードも、コスプレをしたメンバーをバックに従えて、草なぎさんが歌う場面も観たことがある。


確かにいかにも若者という、キャッチーな固有名詞が並び、ポップな感じがするし、青春時代のまだ初々しい恋愛という雰囲気だ。


歌詞からすると、片思いしている女の子が失恋して、その痛みを友だちとして元気にさせてあげようとする歌なのだろう。


でも改めて、固有名詞からの世界観の先入観をなしに、歌詞だけを見ていくと、とてもシンプルだけど、気持ちがあたたかくなるような言葉が綴られていることに気づく。


草なぎさんの純粋さとか誠実さのようなものが、優しさを伝える歌詞に乗って、やけに味わい深く聴こえる。


そう思って何度も歌を聴くと、この歌詞が、思春期ならではの、ストレートな気持ちを口にできなかったり、まだ触れてもいないけど触れたいという照れ隠しや、複雑な思いからなる曲だとわかってくる。


楽しそうなキーワードをまくしたてたり、おちゃらけて会話をしているように見えて、その張りきりかたが逆に、「ピノキオみたいに」という歌詞にもあるように、本心を言えない、届かない思いを間接的に伝えているようでせつない。


でも、本当は心の真ん中では、相手を焦がれて、思いやる気持ちが深い歌詞だとわかってくる。


たとえば次のような、ふとした気持ちを伝える歌詞にそれを感じる。

めいる気持ち晴らそう

あやして君を笑わす

どこまでも歩きたい
本当は手をつないだら 何もかもうまくいきそうで

僕の知っている優しさ みんなあげたい


そして、何よりも印象深いのがこの箇所だ。草なぎさんがこの歌詞を歌うことで、いま、という時間を大事に生きるという思いがより際立つような歌詞だ。

一緒にいるこの時を特別大事にしたいのさ

草なぎさんが歌う効果と期待

5月のさわやかな風の季節は、あっという間の通り過ぎていく。
青春の恋愛手前のこういう時期も、あっという間に過ぎてしまうだろう。


『5月の風を抱きしめて』は、自分と重ねてという共感が、いまの自分にできる歌ではないが、草なぎさんが歌うことによって、その声の持つメッセージ性が、青春時代の歌という意味とは違う形で届けられている気がした。


歌本来の解釈をしみじみとしながら、ちょっと笑える固有名詞ばかりなのにせつなくなり、SMAPの楽曲って奥が深いと思った。稲垣さんのソロ曲の話題のときにも思ったが、この『SMAP004』の時点で、メンバーの個性に合わせてソロ曲が割り振られていたのかと思うと、とても感慨深い。


18歳時点でこの曲を収録した草なぎさんの歌に妙に聴き入り、たぶん、五月中ずっとこの曲を聴くだろう。


できれば、23年経過した現代の渋谷の名所バージョンで、草なぎさんのこういう歌を聴いてみたいと思ったりした。最近の草なぎさんの作詞能力の秀逸さからすると、この、「周囲がきょとんとするような単語のなかに、真の思いや、せつなさを込める」ということができそうな気がする。


たとえば同じ五月を表現するにしても、風薫る五月、ともはや一般的に定型語化した単語では、たぶん、草なぎさんは作詞をしないだろう。どんな単語を持ってくるのかを、ぜひ聴いてみたい。


最後に、「5月」がつくタイトルの楽曲を草なぎさんのソロ曲に割り当てたのは、ぴったりな感じがしている。
一年で一番過ごしやすく、人々が心地よさを感じる、さわやかな季節なのもそうだし、肌寒い春でも、灼熱の夏でもない少しふんわりした月だからだ。やわらかな五月の風と日差しが、草なぎさんの存在感にあっていると思った。


5月の風を抱きしめて、いましかない、いまという時を大切にしようと、シンプルにシンプルに思う。
今年の5月は、いましかない。

コラボブログの主旨

ブログ主旨については、下記にリンク先を掲載している。
【コラボブログ:SMAPとココカラ】(2)SMAPとファンは、もはや一つの組織の最下段、【コラボブログ:SMAPとココカラ】(4)木村拓哉さんの自己犠牲の精神の序盤で紹介している。


では、また。