(39)草なぎ剛さんの『イケメン登山部』での魅力

こんにちは、検索迷子です。


先日、2016-09-08ーSMAPの楽曲は、彩りを添えて進化し続けるを書いたが、タイミング的に次は、SMAP25周年について言及するつもりだった。でも今日は、12日放送の『SMAP×SMAP PRESENTS 草なぎ剛のイケメン登山部』を観て、草なぎさんのいろんな側面にはっとさせられて、そちらの感想を先に書こうと思う。


実はこの特番、SMAP5人を最も観たいと思っているこの時期でのメンバー一人の企画のため、それほど期待をせずに見始めた。それが、想像をはるかに上回るいい番組で、とても驚かされた。


それは、草なぎさんのお人柄もあるが、エンターティナーとしての力量がいかんなく発揮されていたことにある。草なぎさんが長い芸能生活を通して体得された、あらゆるノウハウがここにはあった。


この番組は、登山部顧問にアルピニスト野口健さん、ゲストに竹内涼真さん、山本裕典さん、竜星涼さんを迎え、八ヶ岳の登山をするというシンプルな番組だと思っていたが、「イケメン登山部部長」の草なぎさんの存在なくして、ここまで楽しい番組にはならなかっただろうと思えた。


いくつかの側面で、印象に残ったことを書いていこうと思う。

場を牽引する部長としての実力

先ほど、メンバー一人の企画だから、という思いがあったと書いたが、結果的に、草なぎさんが部長として、またスマスマの番組ホストとして、全員を盛り上げる役割を果たしていて、草なぎさんの場を盛り上げるセンス、話術がここまで高かったのかと驚いた。


よくお芝居などで、「主役=座長」として場を牽引する役割を果たしている、というエピソードは目にしていたが、バラエティー番組で、ここまで草なぎさんがホスト役に徹し、人を盛り上げたり、気配りや声がけや適切なコメントができる実力があるとは思わなかった。どちらかというと、ちょっと失敗したり、額に汗をかいたりして、少し緊張しながらも懸命に役割を果たし、その姿に好感が持てる、という癒しキャラかと思っていた。


てっきり草なぎさんは、積極的に表に出たり、場を仕切ったり、盛り上げたりするようなタイプではなく、一歩引いて、おとなしく場についていき、場に適応していくタイプだと思っていた。でも今回、草なぎさんが全体を力強くまとめている姿を見て、その場に合わせて求められる役割ができるひとなのだと見方を改めた。


そして、ふと、これが以前、『SMAPがんばりますっ!!2012「交換日記」〜ありがとう編〜』で木村さんが草なぎさんにあてた、「爪を隠していた」の部分が表に出た状態なのだろうかと思った。


この登山部によって、草なぎさんが芸能界のベテランの域にいる凄いかたなのだと、その底力を思い知った。それは、バラエティー番組としての面白さを追求する発言や行動だったり、若手俳優さんへの声掛けだったり、ご自分の靴が壊れるハプニングへの冷静な対処だったりするが、何よりも全体的に草なぎさんは精神的にとても安定して、穏やかな大人の男性になったなと思った。


いろんなものを乗り越えてきた、その時間の積み重ねがこの登頂のプロセスにはあった。それは、過去4回の登山経験だったり、無謀と思うことを乗り越えてきた歴史が、草なぎさんのこの5回目の登山には見え隠れした。


また、一人で場を仕切るということでふと思い返したのが、2008年にスマスマであった、『クサップ×クサップ』という一人で全コーナーを担当したときの姿だ。あのとき、ゲストとやりとりをする草なぎさんの心もとなさが、今回どこにもなかった。あの企画とは、趣旨も進行形式も人数もまるで違うから、単純な比較はできないが、今回の登山で、草なぎさんはバラエティー番組を一人でもこんなに盛り上げられる人なんだと思ったのだ。

言葉の力をよくわかっている発言の数々

登山という過酷なロケにもかかわらず、草なぎさんの前向きな発言の数々は、軸がぶれずに本当にこの人は、心と身体の芯から、美しさのオーラを発する人なのだと改めて思わされた。


私は過去何度も、草なぎさんの思考とか言葉のチョイスとかに感化されて、ブログでも草なぎさんの発言や書籍中の言葉を取り上げている。そんななかでも、この放送は「草なぎさん語録」の宝庫だったと思う。


特に今回は、番組中の一瞬のコメントを断片的に切り取った言葉でも、編集者がきれいに編集した活字でもなく、長時間に渡るロケのなかで、草なぎさんのあの声で、草なぎさんの思考性がわかる言葉が随所にちりばめられているのを聴けた意味は大きかった。


登山の疲労がたまっても、時間が経過しても、前向きな思考の軸のぶれなさ、表情の穏やかさが持続するさままでが、本当に良く分かった。時折のネガティブな言葉すら、短く切り上げたり、笑いに転化するところなどは、とても潔く、ネガティブさをさっさと切り上げる、見事なスイッチの切り替えかただと脱帽した。


「いいコメントを残そうと思って」という発言もしていたが、自分の発する言葉が、誰にどんな風に影響を与えるのか、草なぎさんは本当に「自分の見え方、見られ方」を良く知っているのだろう。常に、全方位の視線に手を抜かない、アイドルのプロなんだと思えた。


そして、きっとまた、自分が元気になれる言葉を選び、自分が嫌いな言葉をできるだけ言わない、そういう自制心と、気持ちの強さがあるようにも見えた。

人を楽しませる、喜ばせることのプロ意識の高さ

今回の登山部全体を見渡すと、ふと、『スマスマ』で草なぎさんが20年で経験したものが凝縮されている回であることに気づいた。もちろん、他の草なぎさんの経験も草なぎさんの血肉になっているから、一概には言えないが、『スマスマ』ならではの要素も大きかったと思うのだ。なぜそう思ったのか、少し補足したい。


登山部での草なぎさんは、人を幸せにしたり、楽しませたり、喜ばせるために何が必要か、ということを本能的にわかっている、と思う場面がたくさんあった。数多くの『スマスマ』での経験が、草なぎさんを「おもてなし」のプロに育んできたようにすら感じた。


それは、「食」「笑顔」「歌」「チャレンジと継続」「仲間」といった、『スマスマ』での要素がふんだんに盛り込まれていたからだ。


「食」の部分だが、草なぎさんは登山前夜、一人でおにぎりを握っていた。『スマスマ』には「ビストロSMAP」という番組当初からずっと続くコーナーがある。おいしい食べ物は人を笑顔にすることを知る草なぎさんは、お金で何かを買っていくのではなく、手作りでおにぎりを作ることを選んだ。


それも、ビストロで提供するような上品なおにぎりではなく、無骨な男のおにぎりというのもほほえましく、手作り感が満載だった。おにぎりと言えば、稲垣さんが謹慎中の罰ゲームで、ライブスタッフへの差し入れで作ったおにぎりや、『クサップ×クサップ』でゲストの仲村トオルさんがオーダーした塩むすび、それから、おにぎりではないが、中居さんとの登山で草なぎさんが用意していたお弁当も海苔巻きだったと記憶している。


いろんな料理を作れる草なぎさんが、こうして登山に持っていく食べ物におにぎりを選んだのもいいなと思う。人を笑顔にする「食」は、シンプルでも心をこめて自らの手で握ったおにぎりがいいと思ったのも、草なぎさんらしいチョイスだった。


「笑顔」については、すでにいくつか触れてきたが、今回、草なぎさんはバラエティーとして登山部の番組を楽しいものにしようとしている気概が伝わってきた。


『スマスマ』では、コントもそうだし、ゲストのかたへの気の利いたコメントや、エンディングトーク、最近では『コップのツヨ子』などで、草なぎさんは笑いへの貪欲さを、今回の登山のいたるところでも発揮して、こだわりもかなりあることがわかる。


登山部でも、明らかにギターケースを背負っているのに、ずっと「そういうバック(カバン?)だから」と最後まで押し通したのも、妙に面白い、状況設定へのこだわりだった。


また、登山中に下山者とすれ違ったときの対応は、人をずっと笑顔にすることを仕事にしてきた、草なぎさんならではの素晴らしさで、登山中の疲れがあるとは思えないようなさわやかさだった。


「歌」についてだが、登山中にSMAPの『この瞬間(とき)、きっと夢じゃない』『ススメ!』が草なぎさんの選曲エピソードとともに流れたのは、とてもいい場面だったと思う。自分にとってたいせつなSMAPの曲を、一緒に登山をする仲間たちと聴きたいと言える、その素直なSMAPへの思いと楽曲へのリスペクトは、今、この時期だからこそ、より貴重で、今の心持ちを知れたのは嬉しいことだった。

この瞬間(とき)、きっと夢じゃない

この瞬間(とき)、きっと夢じゃない


そして、まさかというか思った通りというか、『マウンテン・ロック』という曲を作詞作曲して披露してくれた。草なぎさんの作詞作曲のセンスについては、また別個に言及したいが、草なぎさんの作詞作曲への意欲は、人を喜ばせたい無垢な気持ちの表れで、とてもいいなと思う。


おにぎりもそうだが、お金を投資する何かをプレゼントするのではなく、オリジナルで手作りのぬくもりがあるものを、草なぎさんは愛情とともに惜しげもなく差し出してくれる。


今回特に良かったのは、これまでとは違い、歌手とは無縁のかたたちだけの場で歌ったときの心配りだ。これまでの新曲披露の場は、SMAPのメンバーがいたり、ミュージシャンのかたがいたり、ある意味ホームでの披露だったように思う。


今回、アウェイのような音楽関係者がいない場所で歌って、一瞬大丈夫かと心配したがそれは杞憂に終わった。草なぎさんは全員に歌詞カードを渡しつつ、盛り上げポイントまでレクチャーをして、仲間たちを置いてきぼりにしないようにしていて、その心配りがよかった。全員が草なぎさんの空気に巻き込まれ、合唱をしている姿を見て、さすがにSMAPだ、いつも人を歌で乗せることに手抜かりはないなぁと思った。


にしても、空気が薄いだろう場所で、半日近く登山を続けてもなお、ギターを弾き、声を張り上げて熱唱する姿に、プロのアーティスト魂を感じた。それほどに、草なぎさんにとって「歌」と「歌を通して人とつながること」は大事な時間なのだろう。


次に「チャレンジと継続」だが、これはもう、『スマスマ』で経験したあらゆることがチャレンジだったのだと思うが、単にチャレンジするだけでなく、一歩一歩続けることのたいせつさが、骨の髄まで染み込むほど、負けない気持ちが醸成されてきているのが、画面の随所から伝わってきた。


そして次に、「仲間」だが、草なぎさんの今回の登山での、全員で登頂しようという意気込みの高さもそうだが、「一人でない」からがんばれるとか、「イッケメーン」の掛け声が2回目から「そろってきた」という言葉とか、草なぎさんが仲間を一緒に何かを作り上げようという気持ちがそれとなくわかった。


ふとした発言ではあるが、一人ではなにもできない自分の弱さを知り、でも、仲間とだったら何かができるということ経験を、これまでどれほどして、仲間をどれほどたいせつに思っているのかが伝わってくるような気がした。


また、香取さんとのラジオ番組『SMAP POWER SPLASH(スマップパワースプラッシュ)』の番宣とか、『山のあなた〜徳市の恋〜』で共演した妻夫木聡さんと結婚された女優のマイコさんの話とか、ご自身が大事にする仲間や作品のことをしっかりと、愛情を持って語っているのも好感が持てた(今、この宣伝をするのかという視点は今回はあえてふれない)。


最後に、放送になかったため推測で恐縮だが、
5度目の登山ということで、放送されていないコメントとして、メンバーの名前を出しつつ思い出を語る場面が、少なからずあったのではないかという気がした。番組では、ずっと喋っているような編集になっていたが、無心になり、ただ自分の足元だけを見つめながら、次の一歩を踏みしめるという時間も多かっただろう。


メンバーのことを仮にコメントをしていなかったとしても、そういう時間で、一人で過去の登山を思い返す時間もあったのではないかと思う。自然の怖さと偉大さに向き合う時間のなかで、この放送では饒舌にほがらかに、場を盛り上げているように見えた草なぎさんに、自分の内面と対話する時間もあったのではないだろうか。



長くなったが、今回の「イケメン登山部」で、草なぎさんの新たなる魅力と、エンターティナーとしての素晴らしさを実感したことを、思いつく限り書ききった。


「草なぎさん語録」ができるほどの名言は、数が多く個々には触れなかったが、発言した一つひとつの言葉に重みがあった。


なかでも、「人生」という言葉をたくさん口にしていたが、草なぎさんが言うと説教臭さがないというのも発見の一つだった。若手俳優さんを前に、それらを押しつけがましく語るのではないのもまた、お人柄が出ていると思った。


草なぎさんが、自分の内面に語りかけるかのごとく、そっとつぶやく声は、深く落ち着いた鼻にかかるような声のトーンで、聞いているこちらまで穏やかになるようなものだった。


SMAP5人の時とはまた違う側面の草なぎさんを知り、私たちがテレビで観ている場面って、ほんのごく一部なのだなと思わされた。だからこそ、こうして違う面を観たときに、こういうところが素晴らしかった、見習いたいというリスペクトを込めて、少しでも記録したいと思う。


ただ、楽しかった、素晴らしかったと一人で心に留めるより、この瞬間、きっと夢じゃないと、自分が何がどういいと思ったかをしっかりと刻んでおきたい。


草なぎさんのエンターティナーとしての活躍の場が、どうか、未来に向かって広がり続けてほしい。


いまはただ、草なぎさんの目の前の一歩が開けることを、一心に願いたい。
もちろん、SMAPとしても。


では、また。

コラボブログについて

今日は、「剛 しっかりしなさい!」のブログ運営者である、凪(なぎ)さんのコラボブログ 【SMAPとココカラ】(38)Happy Birthdayを受けて、コラボブログ第39回として書いた。


主旨について
ブログ主旨については、下記にリンク先を掲載している。
【コラボブログ:SMAPとココカラ】(2)SMAPとファンは、もはや一つの組織の最下段、【コラボブログ:SMAPとココカラ】(4)木村拓哉さんの自己犠牲の精神の序盤で紹介している。