(10)稲垣吾郎さんがいるから、SMAPはSMAPでいられる

こんにちは、検索迷子です。


今日は、「剛 しっかりしなさい!」のブログ運営者である、凪(なぎ)さんとのコラボブログ第10回である。ブログ主旨については、最下段にリンク先を掲載している。


今日のタイトルは、今日が森且行さんの42歳のお誕生日ということもあり、凪さんもお祝いメッセージを掲載していることから、森さんへのお祝いの気持ちと、リスペクトを込めてつけた。森さんが27時間テレビで稲垣さんに贈った「真ん中にいるって大変だと思う。だけど吾郎ちゃんがいるから、SMAPSMAPでいられると思うよ」からお借りした。


今日は前回に引き続き、稲垣吾郎さんが中心の話題を書きたいと思う。稲垣さんがSMAPのチームワークの形に変化をさせてきた重要な存在だったんだと、私が一人でずっと思っていた場面を取り上げるため、他のメンバーの話題も内容に含めていく。


先日、「稲垣吾郎さんの歩調を合わせる気遣い」を書いたところ、実にびっくりするほどのかたに読んでいただいた。SMAPの各メンバーを話題に取り上げてきた個別の記事のなかでも、数本の指に入るほど読まれたくらいの反響があって、書いた自分が一番驚いている。


それでというわけではないが、前回分量の都合で、いつかそのうち書こうと思っていた話題を、稲垣さんファンのかたたちに後押しされて、続けて書こうと思った。最近、Twitterやブログでのコメントや、フォローバックをさぼりがちでなかなかお礼ができずにいるが、せめても新しい話題を書くことで、お礼を形にしたいと思うので、その非礼をお許しください。


では、さっそく本題に入るが、長文ですがどうぞおつきあいください。

「歌え! アイドルキックオフ」での、稲垣さんとメンバーの関係

古い話で恐縮だが、スマスマの企画「歌え! アイドルキックオフ」で、稲垣さんが一番がんばった人に与えられる「今日の1、1、1(ワンワンワン)」をとった2回分を取り上げる。


私は、以前、(4)木村拓哉さんの自己犠牲の精神でも書いたが、この「アイドルキックオフ」の企画が好きで、細部を見入ってしまうほどだ。特にスポーツに集中している時のメンバーの顔や、窮地に追い込まれたときにどうチームとして成果を出して行くかというプロセスが面白いと思っている。バラエティでありながら、真剣な取り組みに「スケートボーイズ」というアイドル設定を忘れてしまう場面や、メンバーの素の精神や汗に、じーんとしたりする。


どの回も好きだが、稲垣さんが特に活躍された2回は、ほかの回と異彩を放っているという点で印象深いものだ。それは、失礼を承知で書くと、運動神経があまりよくないと思われている稲垣さんの、必死についていこうとする取り組む姿勢から、メンバーの感情の変化が見えるところが大きい。


競技開始段階では、メンバーは稲垣さんの習得の遅さに少しあきれたり、少しいらつきながらも、だんだん気持ちを軟化させていき、稲垣さんのペースにどんどん寄り添っていく。団体競技だし、終わらないと帰れないし、稲垣さんもがんばっているし、という気持ちから稲垣さんを置き去りにせず競技に巻き込み、さらに最後は華を持たせる方向に変化していっているのだ。この一連の流れが本当にいいのだ。


アイドルキックオフは、もともと「誰がナンバーワン」かを「今週のワンワンワン」として決める企画主旨だが、視聴するたびに、誰が一番かを決めるのではなく、目標達成に向けて五人の絆を深めて、五人の関係性を変えていく企画なのではないかと思いながら見ていた。


特に、運動が苦手な稲垣さんを仲間はずれにしたり、排除する方向ではなく、いかに持ち味を生かしていくかを考え抜いたところに、毎回突破口があるような気がしていた。特に、スポーツ企画では結束を強固に見せる、木村さんと中居さんが、自分たちのようにスポーツのあうんの呼吸とまでいかないメンバーを、どうやって受け入れて役割分担を考えたり、どうすれば本人ができるようになるか手を差し伸べたりしながら、チームとして結果を出すことに頭を使い、行動をし始めると、SMAPというグループはとたんに強固さを増す。


先頭を走る二人が前だけを見ていた時期から、後ろを振り返り他のメンバーとの位置を視界にとらえながら、一緒にやっていくと競技で意識し始めたことで、SMAPの多面性は広がりを見せたような気がしている。二人が勝負の場面で矢面にも立ち、時にサポートするような役割をすることによって、二人だけの頭でっかちに見えて足元が揺らいで見えた体制が、土台がしっかりある五人のチームとして機能し始めていく。そんな場面を多く見たのが、アイドルキックオフだったような気がする。


もっと彼らが若かったころのバスケなどのスポーツ企画では、この二人だけが勝負の場に挑み、他のメンバーはちょっとした応援部隊のように見えたこともあるが、アイドルキックオフでは、五人で成し遂げようという姿が随所に表れている。どの回も素晴らしいが、それが稲垣さんの活躍した回に顕著にあったと思っている。



では、稲垣さんが活躍した個別の回の説明を少ししたい。私は映像を持っていないので、文字で説明を試みるが、ぜひ視聴できる機会があれば映像とともにご覧いただければと思う。また、これは書いている私が一番楽しいかもしれない企画のため、できるだけ客観的に説明しようと思う。

「スーパーバスケ」での流れ

稲垣さんが初めて、ワンワンワンをとったのは、1999年5月の「スーパーバスケ」だった。しかし、これはちょっとイレギュラーな形でもらった賞だったせいか、印象が薄かったのだろうか。それから2年後の以下の「青春フープ」での受賞を、稲垣さん本人も、中居さんも、ナレーションでも「初めてのワンワンワン」と紹介していた。


その受賞の理由も含めて、実際の回について説明していこうと思う。このスーパーバスケは、五人が連続してバスケットゴールに向かい、トランポリンのバネを利用してジャンプしつつ、ボールをバックボードに当て、五人目がダンクシュートを決めるものだ。ダンクシュートが決まった時点で終了だ。


稲垣さんは木村さんにバックドロップをされ、腰を痛めたようだが、マイケルジャクソンの真似をしてそれが痛くないというおちゃめなアピールをしている。その後、一人ずつダンクシュートの練習に入り、稲垣さん以外の全員はすんなりと一回で決めた。ところが稲垣さんは3回やっても入らない。どう見ても、他のメンバーとは違い、上からゴールするのではなく要領をつかめていないようだった。


メンバーは2回投げても成功しない稲垣さんを、しょうがないなという空気感で座り込んで見守っていた。途中で、バックドロップされて腰が痛いと言い訳をして木村さんに「かちーん」と言われたり、あのねのねが「下から投げていれてもいいよ」と妥協案を提案しても、「ちゃんとやる」とちょっとむっとしたり、香取さんに「何、逆ギレ自分が悪いのに」と言われたりしていた。


でも稲垣さんはシュートをあきらめず、動き続けていた。そしてここで、スマスマのシャッフルビストロでも見せた「プップ、ププッププー」というおならのポーズをして周りを笑わせながら、でも表情はちょっとむっとしつつ、でも止まることなく4回目に挑戦して、見事にダンクを決めて「猪木顔」でご満悦の顔を見せた。


私はこれを観たとき、稲垣さんはこうやって過去に何度も自分だけが一番遅れをとるという場面があり、周りから待たれているというプレッシャーのなかイライラしながらも、早くできるようになろうと努力をしてきたんだなと思った。今現在の稲垣さんには見られないほど、焦りや苛立ちをあらわにした表情、必死さが余計に、いまどれだけ努力をしてきて、メンバーの運動神経の部分についてきたのかと思わされた。


そして実際の競技に入り、まずは1回目。中居さん、草なぎさん、木村さん、香取さん、稲垣さんの順で連続して走り始めるのだが、稲垣さんはしょっぱなからダッシュについていけず叱られてしまうが、「全体のバランスを見てます」とここでもまた苛立った表情で説明をしている。


そこで、あのねのねに「全員で協力しないとだめでしょう」と言われ、2回目は中居さんが順番を変えるために稲垣さんの手を引き、木村さん、稲垣さん、草なぎさん、中居さん、香取さんの順番になった。ここから、失敗したひとは「しっぺ」をされることになる。3、4回目、順番は木村、稲垣、中居、草なぎ、香取(以下、敬称略)となっている。


ここで、球技が苦手な香取さんしっぺをされて、「自分がダンクって決まっているのはおかしい」と声を上げて、メンバーは5回目にはじゃんけんで順番を決めることになる。最近のバスケ企画ではあまり見られないが、このころは最適な順番を決めるのも、まだ誰がどこがいいかというカンも定まっていなくて、じゃんけんをするあたり、チームプレーのありかたも結構手探りだったのかもしれない。


じゃんけんによって、5、6回目の順番は自己申告となり、木村、香取、草なぎ、中居、稲垣となった。ここで、中居さんはじゃんけんに負けて、ダンクの役割となった稲垣さんに、笑いの神様がついているねといった発言をして、稲垣さんがダンクで大丈夫なのかと心配するような発言がした。このとき、稲垣さんはほぼ無表情でいた。そうやって落とされてしまうような役割もしかたないともうあきらめているような感じにもみえた。


じゃんけんで順番を変えたものの、香取さんがどうしてもボールあしらいがなれていないためか、連続して失敗してしっぺをされてしまう。そのとき中居さんが「はい、提案」と、「慎吾くんはダンクがいいと思います」と7回目の順番を、木村、稲垣、草なぎ、中居、香取にした。中居さんはこのとき、香取さんのことを特に責めてはいない。単に適性だけから順番を提案した。でも、8回目も失敗してしまった。そこでもう、香取さんを誰も責めることはなく、中居さんは草なぎさんに余裕を持ったほうがいいとアドバイスをしている。


しっぺをされ続ける香取さんはずいぶんとテンションが下がり、さあ、このあとどうするのだろうと見ていたら、もくもくと先頭をやっていた木村さんが、無言で自分のウィッグを女性のロングのポニーテールのように首から背中にぶらさげて、笑いをとりつつ場の空気を変えていた。


と、中居さんが、「木村と慎吾逆にやろう」と言い、「お前壁やったこと、ねんだべ」と言い香取さんを先頭にし、香取さんも「一番だったらどこにいっても(大丈夫)」と後ろを振り向いたら、そこには稲垣さんがいて、球技が苦手な香取さんの後ろが稲垣さんかという雰囲気にもなり、周りが失笑する空気になった。稲垣さんもそういうキャラ扱いを承知していたのか、無表情のまま笑いにするような、でも実はちょっと本気で怒っているような顔をしていた。


そして「とりあえずやってみよう」と、9回目、香取、稲垣、中居、草なぎ、木村の順番でトライをした。走り始める直前、中居さんは初めて先頭を走る香取さんに「慎吾どけよ、危ないから。すぐ飛んでくるから」とアドバイスし、香取さんは驚くほど素直に「はい」と返事をしている。あっけなくこの9回目で、木村さんは見事にダンクを決めて、連携プレイはうまくいき、競技は無事ここで終了した。


と、本来ならここで、「今週のワンワンワン」を決めるところだろうが、中居さんが、「では最後の最後、じゃ吾郎くんのダンクで締めましょう」と、嫌がる稲垣さんを前に押し出した。稲垣さんは本当に嫌そうで、でもしょうがないなと落ちにされるんだろうなという顔をした。ここであのねのねが、「ここで決まればMVPが決まります」という一言を発し、稲垣さんは、「よーし」という掛け声とともにゴールに向かい、なんと一発でダンクを決めてガッツポーズをした。なんとも晴れやかないい表情で、これを見て、木村さんも香取さんも満面の笑みで拍手をしていた。


ここでこのコーナーは終わるのだが、稲垣さんのさまざまな様子が本当に忘れられない回となった。今の年齢を重ねて落ち着いたSMAPが稲垣さんをいじるのとは違い、メンバーはちょっといじめっ子のように、運動神経があまりよくない稲垣さんに接したり、いじったりしている。稲垣さんも今のように笑顔でかわすというよりは、苛立ちながらあきらめつつ場に無理やり適応していくという感じで、運動神経の悪さをいじられる自分にまだプライドがズタズタという感情を出していた。


でもこの企画から17年ほど経過して、稲垣さんもメンバーもお互いの苦手な部分、見せたくない側面とうまく折り合いをつけながら、失敗する場面を笑いにしたり、そういうキャラだとむしろ強調したりしながら、ネガティブなものにならないようにしてきたんだと思った。それに、何よりも、結果を出すまでのプロセスのちょっとした工夫の積み重ね、軌道修正というのを、気合いとか根性とかでは乗り切れなかったり、運動神経の差があるメンバーがいることによって、メンバーは頭を使ってどうすれば最高の結果がでるのかと考える機会になるんだなと思った。


そして何より、さんざんいじられてを気持ちがずたずたになっただろう稲垣さんに、最後のダンクシュートで、今週のワンワンワンを受賞させていたところが、稲垣さんがいい気持ちで収録を終えられただろうと思うと、SMAPというグループの柔軟さとか、温かみを感じるいい回だったと思っている。そうやって稲垣さんに最後の華を持たせた終わり方が、稲垣さんはSMAPの大事な一員なんだ、たいせつにされている人なんだとわかって本当に印象的だった。

「青春フープ」での流れ

二つめの回は、2001年7月の「青春フープ」だ。これは、オリンピックの新体操競技にもある、フラフープを使った5人で行うもので、指導にはロス五輪入賞者の山崎浩子(「さき」の字は、実際は山へんに立と可。以下本文中では、山崎表記)さんを迎えている。稲垣さんはもともとフラフープは得意なようで、番組冒頭では、おちゃめにうまく腰で回す姿も披露していた。


ところが実際の競技は、「ヤマトナデシコ七変化」の曲に合わせて、アップテンポでフラフープを操つる難易度の高いものだった。ブロック1の「フープランニング」ではフープを縄跳びのように飛び、ブロック2の「フープリレー」では、五人が横並びとなり、一本のフープを次の人に渡して、受け手はそれを受け取りつつジャンプして、また手渡すという繰り返しだ。ブロック3の「フープロデオ」では、スナップを利かせて遠方にスライドさせた一本のフープが戻ってくるところを五人連続でジャンプするもので、ブロック4の「フープスライダー」では一本のフープを四人同時キャッチをするものだった。


なかでも稲垣さんが特に苦労していたのが、わかる場面が二つあった。一つは、ブロック2の「フープリレー」だ。これは、草なぎさん、木村さん、中居さん、香取さん、稲垣さんの順番に当初並んでいた。この競技は、2番から4番目のメンバーは、右手側からくるフープを右手で受け取りながら同時に輪をジャンプして、さらに飛びながらフープを左手で次の人に渡す、というのを瞬時に行うものだ。


真ん中にいた中居さんは、フラフープは受け取れるものの、途中で香取さんから、「体力の限界を中居くんが感じているようです」と言われるように、ジャンプする足がもつれる場面が何度もあった。稲垣さんは5番目で、受け取ってジャンプするだけだったが、おっかなびっくりであまりうまくできないでいた。それで、司会のあのねのねから、真ん中の中居さんと、稲垣さんの順番を交替してみたらと提案された。そのとき、稲垣さんが「だんだん(フープ)の威力が弱まって難しくなってるんですけど、それでもいいですか?」と冷静に言っているのが(失礼ながら、うまく飛べていないのに冷静で)面白いと思った。


その後中居さんと順番を交替したものの、5番目のときよりもうまくできず、少し周りが責めるような空気になり始めた。そこで一人自主練をしたり、ちょっとぐちを言ったりしながら、最後は「俺、やっぱこっちがいいかもしんない」と言って「戻る?」と聞かれ、「はいっ」とおちゃめに5番目に戻っている。こういうところで、無理をしすぎないで自分のポジションを理解するというのも、稲垣さんが自分自身がどうであれば全体に迷惑をかけないか、一番わかっている点かもしれないと思った。


そこを何とかクリアした最後のアクションこそが、最大の難関だった。そして、ここで稲垣さんの粘り強さが発揮される。全員が一番左隅にいる稲垣さんにフープを渡し、稲垣さんはその4本のフープを同時に空中に放ち、メンバーは側転をしたあと、各自でそれをキャッチして、最後にフープを掲げて決めポーズをする場面だ。


しかし、稲垣さんはフープを束ねるのにまごつき、フープはバラバラな方向に飛んでしまった。これは投げる役割が責任重大なものだったが、投げる人はブロック2の立ち位置で、一番右手にいた稲垣さんだったため、メンバーは一人で投げる練習をする稲垣さんを、不安そうに見つめながらもがんばれと応援するしかなかった。上手く4人に投げることができるようになったものの、次は、メンバーが走りながらバラバラに持ってくる4本のフープを束ねるのにまごつき、投げる前に曲が終わってしまうことばかりが繰り返された。


途中で、走るタイミングや、フープの渡し方や、稲垣さんの立ち位置の確認など、うまくいかないポイントを軌道修正しながら、もうすぐできるのかと思ったら、そこからが長かった。後半に向かって音楽のリズムが乗ってきたり、メンバーや場の空気が、もうすぐできて帰れるんじゃないかという高揚感もあり、場のテンションは上がっているものの、何度やってもうまくいかず、次第にいままでできていた前半ブロックすらぐだぐだになってきた。


それで、あのねのねが途中で「休憩」と言ったとき、稲垣さん以外のメンバーはパタリと座ったり横になったり、水分をとっていた。でも稲垣さんは、座ることなく「ちょっと練習しよう」と一人でフープを束ねる練習を始めた。それを中居さんと木村さんはじっと見ていた。手伝いたいけど役割分担上、稲垣さんが乗り越えるしかないと思っていたのだろうか。そんななか、木村さんはフープの束ね方のコツをつかみ、稲垣さんに教えにいった。稲垣さんはそのヒントに納得して、ほっとした表情を見せた。ここで教えにいける木村さんも、素直に耳を傾けられる稲垣さんもいいなと思った。


そして、休憩後の演技では、一見うまく通しでできたように見えたが、評価を求められた山崎さんが「自分たちで後で悔いが残らないように」と言われて、本人たちの自己評価に、再度トライをするかが委ねられた。そして、あのねのねに「OKと思うか」と尋ねられ、ここで香取さんは「OKだと思います」、中居さんは「120点」と苦笑いしながら発言した。木村さんは「8点」と厳しい評価をし、ここまで番組中にほとんど喋っていなかった草なぎさんは「正直言うと、最後中居くん(フープを)取れてなかった」とカミングアウトをした。


SMAPってバラエティを忘れないメンバーもいて、厳しく自己評価をして場を引き締めたり、正直であろうとするメンバーもいて、こういう極度の疲労のときに見え隠れする個性というのも面白いなと思った。そのあと、山崎さんより、「美しさを出そうとすると上手にできるはず」と言われて、香取さんが「美しさを忘れてました」とハイテンションではしゃぎだすのだが、メンバーは疲れ切っていて無反応だったが、その香取さんの無邪気さに場の空気もまた変わり、最後の挑戦で、全員が「ワンツースリーフォー」とカウントの声を大きく出していき、結果的に成功することになる。


私がSMAPのスポーツ企画が好きな理由は、この成功しそうな時の空気には、失敗しているときは明らかに違う迫力が見えるところにある。声が全員出ているのもそうだうだが、成功するときは、各ブロックの動きがきれいなのだ。たとえば、この成功した回では、冒頭の「官能のポーズ」もそうだが(疲れ切って、それゆえに競技が進むに従い次第に美しくなっていくというところも面白かったが)、全員の息がそろっているのがわかるうえに、「フープリレー」もいい間合いで進み、最後の4人の側転では全員の手足が伸びきって美しいのだ。まさに文字通り、一つになったというのが映像から伝わってくる瞬間、その奇跡のような時間を見せてもらえる。


そして、稲垣さんはこの回で初めて、「今週のワンワンワン」をもらうことになり、「初めてだー」と大喜びしている。まさか自分がもらえるとは思わなかったのだろう。番組のナレーションが初めてのワンワンワンといい、中居さんも「はじめてだねー」という一言もあり、疲労気味ではあったが、スポーツ企画で稲垣さんがこの賞をとったのが感慨深かったのだろう。



実は、私も今記事を書くまで、稲垣さんが初めて、ワンワンワンをとったのは2001年7月の「青春フープ」だと思っていたが、実際は「スーパーバスケ」でもらっていたのだ。でも、指導するゲストからもらったという点では、これが初めての賞で、事実上はこれが初めてといってもあながち間違いではないのかもしれない。



と、二つの稲垣さんが「今週のワンワンワン」をとった回を紹介した。私は普段、番組のレポはしないので、わかりにくい点があれば申し訳ないが、どちらの回も、運動神経があまりよくないとされる稲垣さんご自身の努力と、メンバーがそういう稲垣さんと一緒にSMAPとしてどうやって、スポーツ企画を成功させてきたかという一例として、とても好きな回だ。最近のスポーツ企画は、メンバー同士がもっとスマートにお互いをカバーしあっているため、ここまであからさまに「運動が苦手なひと、得意なひと」というちょっと子供じみたような構造は、映像からはそれほど強く出ていない。でも2000年前後には、こうした双方の気持ちがまだお互いの弱点をきっちりと補いきれていないはざまの、感情の揺れのようなものが映像に残っている。


今日の話題に大きく取り上げなかったが、香取さんもバスケではそれなりに苦戦している場面が多数ある。ただ、稲垣さんほど大きな失敗とか運動神経をネタにされていないだけで、スポーツ企画は稲垣さんと香取さんの得手不得手をうまくほかのメンバーが把握して、その部分をスマートにカバーすることがポイントなんだなと思ったりした。


また、稲垣さんの話題を書いていて気づいたが、草なぎさんはアイドルキックオフでほとんど喋らないとよく言われてネタにされているが、草なぎさんは運動神経が良くて、スポーツ企画で派手に失敗をしないどころか、中核となる役割を失敗せずに担い、突っ込まれるポイントがないのだとわかった。


稲垣さんのことを少しでも理解したいと思って見返した、この稲垣さんが活躍したアイドルキックオフは、SMAPSMAPというチームワークを作ってきたそのベースの一つなんだと思っている。もちろん、テレビに映らない場面でもそういうシーンはたくさんあるだろうが、今となっては貴重ともいえる、まだ20代前半から中盤の彼らが見せる、チームを形成する基礎の一つがここにあったのだと思う。


完璧に何かを成し遂げる姿も人の心を打つと思うが、稲垣さんには特に、苦手な部分を必死に乗り越えるその姿に心が打たれる。そして、こういう時期があったからこそ、自分の弱さとも向き合って、努力をいとわず、穏やかで温かい心の持ち主になり、SMAPのなかで独自の存在感を放っているのだと思った。


こうして稲垣さんが真ん中にいるからこそ、SMAPSMAPでいられると、森さんの言葉ではないが、本当につくづくと実感するのである。稲垣さんがいるから、メンバーが自分と違う個性を持つ存在を意識して、歩み寄って、理解しようとするいい雰囲気がはぐくまれたような気がする。横並びで歩く必要がある場面では、皆が歩調をそろえたほうがいいと、一人ひとりが意識するようになったことのひとつに、稲垣さんの運動神経の部分もあったのかと思う。


今日は、稲垣さんの運動神経について、失礼なことを多々書いたが、基本にはそこを乗り越える姿のリスペクトがあってのことなのでお許しいただいたい。またいつか、もっと新しい事例を見つけた際はそれで書いてみようと思う。また、頻繁に一人の話題を書けないため、長文となってわかりにくい点はお許しいただきたい。


それではコラボブログのバトンを、凪さんに渡します。


では、また。