エースと呼ばれる人は何をしているのか

こんにちは、検索迷子です。


夏まゆみさん著、エースと呼ばれる人は何をしているのか、
サンマーク出版刊を読了した。

エースと呼ばれる人は何をしているのか

エースと呼ばれる人は何をしているのか


本書を読もうと思ったきっかけは、
鬼コーチから見たタレントさんとは何か、
他人が誰かに潜在能力を見出すのはどんな時か、
という、コーチの目利きのその視点に興味があった。


目利きの人に見出してもらうにはどうしたらいいのか、
という、誰かに見出されるためには何が必要なのか、
シンデレラストーリーの裏話みたいな部分を知りたいと思った。


でも、実際に読了してみて感じたのは、
誰かに見つけてもらうのではなく、
自らが行動したり思考することの重みだった。


タレント本としての知られざるエピソードみたいなものを期待すると、
本書は少し違うと思った。
あくまでも、この本にあるのは事例に過ぎない。
タレントさんの話題よりむしろ、夏さんの仕事の経歴のほうに、
気持ちが惹かれた。


もともとは会社勤めをして、
そこで意に沿わぬ異動をして、その異動した部署があったフロアの真向いに
ダンス教室があって通い始めた、そして今の仕事につながった、
というこの一連の流れのなかに夏さんの行動力や、
意思の強さや、思いを叶えるための試行錯誤がかいまみえた。


その夏さんの経歴は、
オーディションに応募して、ある意味、
敷かれたレールに乗ってタレントとして成功した人の話よりも、
無から何かを作りだしてきた分、重みがあると思った。


もちろん、与えられた平等なチャンスに対して、
行動によって差が生まれるという、
いかにして人はエースになるかという表題のテーマも面白い。


そのエースを生み出すサポートをする夏さん自身に、
さまざまな葛藤があったからこそ、
エースが生み出される環境が整っていたのだと思った。


実体験にのっとり、言葉で人を鼓舞できるからこそ、
オーディションやトレーニングの場が深みのあるものになり、
エースがその魂に心を揺さぶられていったのかなと思う。


本書で繰り返し語られているエースの資格を持つ人は、
自己を確立し、自信を持ち、前に向かって進む人、
この三点をあげているが、
これはまさに夏さん自身が意識して成し遂げたのだと思った。


成功したタレントさんと同じ方法は、
当然、誰もたどれない。
これをアレンジして、自分のスタイルを模索して、
成長を続けられる人だけが、
いずれ誰かからエースと呼ばれるのだなと思う。


エースと呼ばれる人はエースと呼ばれたくてなるのではない。
それは、結果でしかないし、他人からの評価でしかない。
あらためて、自分がどうなりたいかは自分が決めることだと感じた。


目からビーム、手からパワー、手穴からオーラ、
というタレントさんに伝えてきた言葉は、
一般人にはそれを勢いよく使う場はないと思いがちだが、
タレントではなかったとしても、
自分の今の環境なりに、そうやって力を出したほうがいいことが、
きっとあるのだろうとはっとした。


人から見られる仕事ではないとか、
選ばれしものと自分は違うとか、
一度自分から本書に書かれたような世界を切り離すと、
そこのはもう成長はない気がした。


好きじゃない、向いてない仕事も簡単に辞めると、
あきらめる癖がつくから、いつまでたってもエースなれない、
そういう仕事にも感謝しなさい、というのはなるほどと思った。
ましてや、夏さんはそういう日々のなかで、ダンス教室を見つけたのだ。


心に響く言葉はたくさんある。
でも、それを今すぐ何の行動につなげるかは自分自身。
ためになった、だけで終わらせずに、
まずは何を行動するか、
何で自己を確立し、自信を持ち、前に向かって進めるか。


他人と同じようには生きられない。
だから、自分はどうしたいのか。
そう、突きつけられたような気がする。


優れたコーチは、自分自身との葛藤があったからこそ、
他人を育成する力がある。


自分のやりたいことにしっかり向き合おう、そう思った。
誰かになんとかしてもらうのではなく、
自発的に生きるためにはどうしたらいいか、
それを本書は教えてくれた気がする。


表面化しない行動や意思は、
さすがに誰も見抜けない。
優れた指導者に出会って引きあげてもらうことだって、
自分の意思なのだなと思う。


では、また。