脳を活かす仕事術(6)

こんにちは、検索迷子です。


茂木健一郎(もぎ・けんいちろう)さんの、
『脳を活かす仕事術−「わかる」を「できる」に変える』の感想の続きを書きます。

何回かに分けて、一見ばらばらに引用してしまったのですが、
今日書こうと思っていたことが一番気になる話題でした。
6回目の今日で一応、最後としたいと思います。


本書の中でも繰り返し書かれていたことなのですが、
私が気になった話題は、
でも、どうやって行動に落とすか、
それが自分としては大きな課題であることがわかり、
この一言を認めて、引用するが何かとても勇気がいることでした。
後半、その話題に触れたいと思います。

脳を活かす仕事術(1)
脳を活かす仕事術(2)
脳を活かす仕事術(3)
脳を活かす仕事術(4)
脳を活かす仕事術(5)

脳を活かす仕事術

脳を活かす仕事術


生命の輝きを放つ五つの行動


意欲や意識を司る前頭葉を活性化させて、
自分の「生命の輝き」を放つための五つの行動とういうものがあるようです。

1.クリエイティビティ(創造性)をもっていること
2.セレンディピティ(偶然の幸福に出会う力)があること
3.オプティミスト楽天家)であること
4.ダイナミックレンジ(情報の受信範囲)が広いこと
5.イノベーション(改革・革新)を忘れないこと


それぞれに解説があります。
本書では、章ごとにページを割いているのですが、気になったフレーズだけを抜粋します。

1.なぜ創造性が必要か


「周囲が自分に求めること」と「自分がやりたいこと」のギャップを埋めるために必要だということが挙げられます。
往々にして、社会が求めることと自分がやりたいことの間には、ギャップが生じます。僕自身も、つい最近までそのことに悩んでいました。
(中略)
若い時は、どうしても自分の中の世界にこだわって、それを世間に発信したいとか、自分なりの新しいスタイルを作り出したいと思うものです。しかし、それだけではなかなかうまくはいきません。そこでは、「社会の需要を満たしつつ、自分の欲求も満足させるためにはどうしたらいいか」が大切になります。つまり、自分と社会の関係性を、新たに「創造」しなければならないのです。

2.セレンディピティ(偶然の幸福に出会う力)


どんなすばらしいアイデアがあっても、それだけで道が開けることはありません。アイデアを具現化するためには、人や状況との偶然で幸福な出会いがなければ最初のきっかけがつかめないことが多いのです。
(中略)
僕は、出会いを活かすためには、二つの要素が欠かせないと考えています。
一つは、偶然の幸運に出会う力「セレンディピティ」。もう一つは、巡り会った偶然をつかみとるために必要な力「コミットメント」です。


脱線しますが、「セレンディピティ」の語源についても、本書では説明があります。

18世紀のイギリスの作家、ホラス・ウォルポールが作った造語です。セレンディプとは、いまのスリランカを表す古い言葉です。ホラスが子どものころに読んだ童話『セレンディップの三人の王子』にちなんで名付けられました。
この話の中で、三人の王子たちは旅の途中で様々な「本来、自分が求めていなかったもの」に出会います。しかし最終的には、その偶然の出会いが王子たちに幸運をもたらすという話です。
最初は、この話を読んだウォルポールが「偶然の幸運に出会う能力をセレンディピティと名づけよう」と、友人に宛てた手紙の中で提案したものだったのですがそれが広まり、今日まで使われるようになったのです。

コミットメントでチャンスを引き寄せる


出会いを活かすための条件の一つに、コミットメントが挙げられている。
この、コミットメントがチャンスとつながるという点が、
どうしてもしっくりこなかった。


でも、ここが本書で最も茂木さんが言いたいことかもしれないと思っていた。
茂木さんが本書内で、相手の要求に応えることの重要性を再三書いており、
茂木さん自身が、なかなか発信できないジレンマに陥っていたとき、
自分が思う自分と、他者の要求に折り合いをつけてきた葛藤がうかがえた。

コミットメントとは、直訳すると「委任」や「約束」「責任」という意味です。現在、ビジネスシーンでは「目標を共有して、それを果たすために全力を尽くす」といったニュアンスで使われています。別のいい方をすれば「仕事と自分を一体化させること」「仕事に全人格を注ぎ込むこと」です。「プロ意識」といってもいいでしょう。
具体的には、自分のところに来た球を一つずつ、誠心誠意打ち返していくことです。そこでいいかげんにやっていては、絶対に次のチャンスは来ません。目標を達成するために、さいごまであきらめずに全力で応えていくのです。
なぜなら、仕事で「自分のやりたいこと」を実現するには、まず「相手の要求に応える」ことが大切だからです。
(中略)
仕事に本当に没入している時は「自分の頭は動いているか」と考える暇はありません。逆に「頭を使おう」とか「こんなに苦しいのに、俺は一体何をやっているんだ」と考えているときこそ、脳が使われていないことが多いのです。
自我の意識すらなく、目の前の仕事に没頭する。これが仕事と自分を一体化させる「コミットメント」という感覚です。

コミットメント、していますか?

やりたいことと、周囲の期待の両立


周囲の期待に応える前に、やりたいことを主張したり、
こだわりすぎると偶然の出会いを逃す可能性もあると茂木さんは書く。
茂木さん自身が悩んでいたのが、
メディアに登場するようになり「脳科学者」としてのコメントだけを、
求められるジレンマだったようだ。
他にもっと経験してきたことも、学んだこともあるのにそれが不満だったのだ。
それが、ある気づきによって変化したらしい。

しかし、あるとき「脳科学者という肩書きなのだから、脳について答えるのは当たり前だ」と気づきました。それが「自分の見え方」なのです。
それ以来、他に言いたいことがあっても、必ず脳の働きについても触れながら答えることにしました。まず「世間の期待」に応えて、それから「自分のやりたいこと」をやる。この順番でやったほうが、うまくいくことが多いように思います。

自己主張し続ければ、淘汰されるし、
かといって指示されたことだけやっていたら、世界は広がらない。
このバランスを保つということを実践を通して発見されたようだった。

やりたいことと周囲が求めること。この二つは、決して相反するものではありません。やり方や工夫によって、必ず両立するものなのです。周囲の期待に応えつつ、自分のやりたいことも実現していく。考えてみると多くのプロフェッショナルがそうした働き方をしているように思います。


奥深い言葉だなと思う。
やりたいことと求められることを同時に満たす仕事。
そういうものを見つけられれば幸せだなと思うし、
今、身近にもそういう可能性が眠っているものもあるのだろうかと思う。


いずれにしても、出会い、コミットメントをすることで、
開ける世界があるということなのだろう。
そして、やりたい方向を見失わないということも。


引用が長くなりましたが、偶然に出会う力を発揮させるために、
まずは自分が思う自分の殻を抜け出すことだ大事なのかもと思わされた。


他者の要求を満たしつつ、やりたいことを実現する。
それがうまくバランスがとれるような仕事、したいものです。


では、また。