気弱な人の交渉術

こんにちは、検索迷子です。


谷原誠さんの『弁護士が教える気弱なあなたの交渉術』を読んだ。

弁護士が教える 気弱なあなたの交渉術

弁護士が教える 気弱なあなたの交渉術


弁護士さんと言えば、交渉のプロであり、
がんがん押していくという印象があったが、
本書のタイトルがあまりにも意外だったため手にした。


谷原さんご自身が気弱な少年であり、
大学3年生で司法試験を目指すようになるまで、
交渉とは無縁であったらしい。

ハーバード流交渉術から、心理面へ


弁護士を目指して、仕事に就いていくプロセスで、
ハードな交渉をしていたこともあったが、
それでもうまくまとまらないときに出会ったのが、
『ハーバード流交渉術』(ロジャー・フィッシャー、ウィリアム・ユーリー著)だ。

ハーバード流交渉術 (知的生きかた文庫)

ハーバード流交渉術 (知的生きかた文庫)


本書によると、ハーバード流交渉術は4つの原則がある。
1.人と問題とを分離せよ
2.立場でなく利害に焦点をあてよ
3.行動について決定する前に多くの可能性を考え出せ
4.結果はあくまでも客観的基準によるべきことを強調せよ


これはいいと試したものの、この交渉術は相手が理性的になって
はじめてその力を発揮することに気づく。


そんなときに出会ったのが、
『影響力の武器 −なぜ、人は動かされるのか』(ロバート・B・チャルディーニ著)だ。

影響力の武器[第二版]―なぜ、人は動かされるのか

影響力の武器[第二版]―なぜ、人は動かされるのか


この本により、人はいかに理性以外の部分で動かされているか、
心理の法則を知り、それおW取り入れた交渉のスタイルへと、
変化していったようです。
つまり、相手の感情、理性のモードにあわせた交渉ということです。


気弱だからできる交渉の成果


本書では、気弱だからこそとれる交渉のテクニックを複数紹介しています。
どれも、なるほどと気づかされます。


たとえば、
気弱だから勝ち負けに捉われない交渉ができる。
勝ち負けにこだわらないから、絶妙なタイミングで譲歩できる。
話しすぎないからミスを防げる。
いい人だから力関係に気を配る。
気が弱いからアイデアで勝負する。
といったことなどです。


特に、話しすぎないというのは、最大の武器になると思いました。


逆転交渉術とは


では、どうしたら交渉に勝てるようになるのかというポイントも挙げています。


それは、
相手にまず言いたいことを全部言わせる。
言いたいことを言った相手は、初めて聞く耳を持つということのようです。


そして、相手から情報を聞き出す5項目を挙げています。
1.相手のニーズ
2.相手の強みと弱み
3・相手の期限
4.相手の限界値(価格)
5.交渉が決裂したときの代替手段
相手に喋らせながら、情報を拾うということです。


さらに、相手を動かす3つの限定法というのもあります。
1.競合法−他にも引き合いがあることを伝える
2.期間限定法−期間を限定する
3.数量限定法−数を限定する
いまだけ、ここだけというシチュエーションを作れば、
相手は譲歩するということのようです。


他にも、
強く押せなければ、質問でさりげなく要求する。
仮に話法(「仮に○○なら・・・」)で相手の情報を引き出す。
断り文句の裏にある、それを肯定する条件を見つける。
定型的な断り文句に対応する返答を考えておく。
といったことがあります。


どれも、テクニックが必要そうだが、
それでも、慣れてくればできそうな気もする。
どんな交渉の場面も苦手という人は、何か一つでも
試してみるとよさそうだ。


なお、
マシンガントークの相手には、
休憩させてくださいとか、
もう一度はじめからお願いします、
と同じ話を繰り返させ、戦意を喪失させるのがいいらしい。


気弱な人っていうのは、
実はハードな交渉をする人よりも、
とてもしたたかに戦略を練っていたりするものなんだ、
そういうことを考えさせられた一冊です。


もう一度はじめから、と言われたら、
確かにもういいやっていう気持ちになるかもしれませんね。


ふわっとしたもの言いの人は、
何かペースがつかめず、かえって手ごわいと思わされました。


では、また。