プロの交渉術

こんにちは、検索迷子です。


交渉の場面において、まだまだだなと感じることが多い。
そのため、実際にタフに交渉をしている方の本から、
何か自分でもできそうなことはないかとヒントを探している。


長野慶太(ながの・けいた)さん著の、
『プロの交渉術。 −どんな場面でも絶対負けない28の最強ノウハウ』を読んだ。

プロの交渉術。どんな場面でも絶対負けない28の最強ノウハウ

プロの交渉術。どんな場面でも絶対負けない28の最強ノウハウ


本書の位置づけは、
営業的交渉(プレゼン術、企画書作成術、セールストーク)と、
対立的交渉(ビジネス紛争解決、契約書のまとめ方)との中間のようだ。
「話をまとめる」ゴールに向かって心理戦を展開するプロセスにおいて、
あいまいとなる境目部分を補う形で、両方に活用できるものとしている。


個人同士であれ、チーム同士の交渉であれ、
どんな交渉でも、最後は一人でやり抜くという一言が、
身にしみてわかるような気がする。
自分でやり抜くための28のルールを引用してご紹介したい。

どんな場面でも絶対負けない28の最強ノウハウ

ルール名は原文ままで、その下の要素については本文から抜粋して引用します。

PART 1 覚悟(ハラ)を先に決めて優位に立つ

 RULE 1 交渉は「得意」と言った人に敵わないようにできている 
 RULE 2 慣れた場所に引きこめ。「ホーム」で戦うメリット
       断るときは必ず出向け
 RULE 3 交渉であがらないためにはどうしたらいいか?
       愛用品(ペンなど)を掌に握る
 RULE 4 冒頭から相手の心を鷲づかみにするオバマトーク
       同じことをテンポよく繰り返す
       主語をずらしていくテクニック(あなた→あなたがた→私たち)
       「ぼそぼそ声」で耳を傾けさせる(聞くことに集中させる)
 RULE 5 言い分を通したければ、決して目をそらすな
 RULE 6 断る交渉は簡単。目を合わせなければいい
 RULE 7 あなたのネクタイは何色か? 色で感情を支配しろ

PART 2 ゲームプランを作る

そして、次のパートでは著者はゲームプランを提案している。
ゲームプランとは、自分たちの布陣やリソースの近い方、時間によってどう戦うか、
交渉のプランのことのようだ。
交渉の作戦を明確にし、書面にして、
自陣の関係者に意思統一のために配布するといいとしている。


そして、そのゲームプランのイメージを3色のイメージで、
コンセプトを考えるという。
・赤は、上品い親しみ深く自信を示すとき
・黄色は、きっぱりというべき態度で言うべきことをいうとき
・青は、落としどころに落とし込んで頭低く和む
ということらしい。

RULE 8 うまくまとまるゲームプランは「赤→黄色→青」
RULE 9 最後は「自分がどうしたいか」。その決意に尽きる
RULE 10 主導権を握りたければ「段取り」を相手に見せるな
RULE 11 結果は覆らない。時間内にすべての手を打て
RULE 12 相手の立場で考えればゲームプランが湧いてくる
      最初に小さく出たら勝機を殺す
RULE 13 相手の望みは何か? 担当者の本音を見抜け
      「窓口」の人間を落としているか
      相手の「欲望」がわかれば話は早い
      相手とこの交渉の「相関性(コリレーション)」がわかれば攻め方も変わる
RULE 14 とにかく「ディシジョンメーカー」(意思決定権者)を引っ張りだせ

PART 3 話術を磨け。自分で決めたと思わせろ

RULE 15 ゲームプランではこの二つは絶対に見逃すな
      コミュニケーション・ルールを決めろ
      戦略なしに弁護士は呼ぶな      
RULE 16 怒鳴る相手を、もっと怒鳴らせろ
      話を聞きつづけるだけでいい
      全部聞いたら、自分の言い分をぶつける
RULE 17 「。」を発音しろ。説得力を増せ
      早くしゃべっても説得力は出ない
      センテンスは短いほうがいい
      「無言」にこそ語らせろ
RULE 18 相手が取れる選択肢を洗いざらい見せてしまえ
      あなたは「アテ馬」を用意したか
      コストのかかるオプションから見せろ
RULE 19 トイレ重奏術。相手が無防備なときを狙え
      大事な相手とサシで話す機会
      ふいをついて本音を聞きだせ

コミュニケーション・ルールとは、
どんなとこにどんなコミュニケーションを持つかの取り決めで、
電話なのか、メールなのか、誰をCCに入れるか、
訪問はどうするかといったようなことだ。
意外とこれを決めていないところが多いということらしい。


PART 4 資料を見せるな。自分を見せろ

RULE 20 ラクに終わらせたければ、自分から契約書をつくれ
      書面にするまで何も終わらない
      チェックのほうがじつは厄介
      「定義」ですべてがひっくりかえる
RULE 21 手触り感のある「果実」を見せろ
      交渉の結果得られる果実を「聞かせる」だけでなく「感じさせる」
      資料に笑顔の写真をそっと入れる
RULE 22 交渉は木曜日に終わらせよう。それはなぜか?
      人は時間を使い切るように行動する 
RULE 23 「説明」をしても説得できない。資料より自分を見せろ
      「資料の出来」は印象に残らない
      交渉中に図版を書け
      三つの「ワォ!」を刷り込め(相手の記憶に自分が何を刷り込めるか)

人は時間を使い切るように行動する、というのは納得感がある。
これは次のことのようだ。

イギリスのパーキンソンという人が、役人の行動観察を通じて、役人は仕事のあるなしにかかわらず自己増殖するということを発表し、そこから「人間は、時間や労働力などの与えられた資源を目いっぱいに使って仕事をする」という法則を引き出した。

締め切りがなければ行動ははかどらず、
締め切りがあっても、締め切り直前までやらないということだ。

PART 5 笑顔で押して話をまとめる

RULE 24 吠える者は真ん中に、見る者は端に置け
RULE 25 相手の目玉に潜りこんで、自分を見つめろ
      話を聞くか、表情を読むか
      自分は相手からどう見えているか
RULE 26 「マジックフレーズ」で都合のいい言葉を引き出せ
      不利な暗示を自分にかけるな
      うなずきを繰り返すほど、自分に暗示をかけてしまう
      慎重にうなずく
      「あなたのせいじゃない」で口を開かせる
      「個人の人格攻撃ではない」と確認しあう
RULE 27 笑えないときの笑いがすべてを打開する
RULE 28 「最初から最後まで」のイメージを持て
      「最後は握手」と思いつづけろ
      アジェンダ(工程表)をつくる
      「喧嘩腰」には融和した姿のイメージで


著者は、アメリカ在住でコンサルタントをしている。
本書から、強烈な交渉の場面に何度もいたことがうかがえるため、
自分にこんな状況は無縁だと思うこともあるだろうが、
基本的な考え方として交渉の参考になることが多いと思う一冊だった。


最後まで交渉を一人でやり抜くという力がある人とは、
これくらいの観点で物事を考えるのかと知ることができた。
緻密で繊細なテクニックを知れたように思う。


では、また。