経済の考え方がわかる本

こんにちは、検索迷子です。


経済学とは何か、その学問に足を踏み入れたことがない人はわかりにくだろうと思う。
そんな人にこの本をお勧めしたい。
『経済の考え方がわかる本』新井明(あらい・あきら)、柳川範之(やながわ・のりゆき)、新井紀子(あらい・のりこ)、e-教室編著だ。

経済の考え方がわかる本 (岩波ジュニア新書)

経済の考え方がわかる本 (岩波ジュニア新書)


実際に私も経済学がわからない一人だった。
できの悪い経済学部生として、
必須科目も専門科目も最後まで単位をとるのに苦しんだ。


あるときレポートがなかなか通らず、
大学図書館の棚にある経済学入門の類を片っ端から読んで、
これなら自分にもわかると思える一冊を探した。
でも、その時の自分の学力レベルに合う経済の入門書はなく、
とうとう開き直った。


ここにある本のなかから理解できるようになるしかない、
私がいる大学で求めるレベルはこれなんだと、やっと目が覚めた。
自分がその経済学の本のレベルに追いつくために、
まずは必死に暗記をしたり、テキストを熟読したりした。
それでいくつも試験をパスはしたものの、わかるレベルには程遠い理解度だった。
この本は、そういう時期に読みたかった一冊だ。


本書の対象は、中高生向けだが、
本書の元となったe-教室のサイトを見ると、
「IDの発行対象をおおよそ「中高校生・大学の初年度程度の方」に限っています。」とあるように、
大学生でも、経済学を学び始めた人には適していると思う。
そして、教育者や社会人にもぜひ読んでもらいたい。
日常的な経済活動を通して、事例に引き寄せて考えながら学ぶ本なのだ。


大学を卒業して時間が経過すると、
一時しのぎで覚えたことが若干あいまいになっていると気がつく。
大学で勉強した分、日経新聞に出てくる基本的な用語は理解でき、
新聞を読むのはそんなに大変ではない。用語はわかる。
ただ、その理論の根っこをもう少し掘り下げて考え出すと、
あれ、これはどうだっけと心もとない状態だ。


それで、時々思い返して経済学の本を手にとる。
大学時代に棚で眺めた本は、実はどれも良書のロングセラーで、
レポートの呪縛から解かれた今、
読み物として読むととても面白かったりするから不思議だ。
しかし、今それを経済学の初心者に勧めたいかというとやはり戸惑う。
経済学の本は、経済学を学んだ人には読みやすいが、
経済学をこれから学ぶ人には難しい本が多い。


本書では、実際にe-教室でやりとりされた中高生の投稿を元に編まれているため、
質問内容がとても素朴で、単刀直入だったりする。
それに答える形で本書が構成されていて、とても読みやすい。


本書の内容は、e-教室サイト内にも記載があるが、
そこから引用しつつ、目次を補足して紹介する。
〔〕書きがサイトには記載されていないが、社会人になり役立つ用語は、
こっちの〔〕書きのほうにあると思ったので追記した。

目次
1.帰省ラッシュは解消できるか〔希少性と選択〕
2.失敗した買い物は〔機会費用
3.値段はどうやって決まるんだろう?〔市場と価格〕
4.値段があるもの・ないもの〔さまざまな価格〕
5.産地値段は安くない?〔裁定取引
6.勇者のもちものは?〔貨幣〕
7.おこづかいアンケート〔所得と財政〕
8.どんな会社をつくるか〔企業と起業〕
9.無人島脱出大作戦〔比較優位〕
10.ケーキの分け方・つくり方〔資源配分、資源分配〕
11.為替市場の風雲児登場〔為替レート〕
12.経済が発展する条件は〔経済成長〕
13.この格差をどう埋めるか〔南北問題と援助〕
14.経済を学ぶと幸せになれるか?


機会費用の用語を、会社の誰かが作ったパワポで見て、
わかったような気になっている人は、この本でおさらいをしたほうがいいだろう。
経済学で普通に使われている用語は、経済学を学ばない人には、
何のことかわからないものが多いのだ。


ところで、このe-教室は今、活動をほとんどしていないのが残念です。
2002年開設と本書にあり、ログインできる年齢ではないので中身はわかりませんが、
いいサイトなので続けて欲しいですね。
そして、この続編の本をぜひ出して欲しいです。


経済がわからないあなた、難しい本の手前にこんないい本があります。
まずは、これからです。経済って日常のことで考えると本当に面白いものです。
暮らすことそのものと直結していますからね。
学問でなく、知恵として使えるようになると楽しいですね。


経済学でぴーぴー言っていた学生が、経済の本を勧めるなんて、
ちょっとおかしいかもしれませんが、経済って学んで損のない学問です。
やっておいて良かった、経済学部を選んで良かったと卒業してから、何度も思います。


では、また。