残念な人の思考法

こんにちは、検索迷子です。


山崎将志(やまざき・まさし)さんの『残念な人の思考法』を読んだ。

残念な人の思考法 日経プレミアシリーズ

残念な人の思考法 日経プレミアシリーズ


残念な人とは?と思いながら読み始めたのだが、
本書のプロローグによると、次の人のようである。

残念な人≒「もったいない人」


残念な人は、やる気OK、能力(読み書きそろばん)OK。しかし、何かが間違っているために、結果がいまひとつになってしまう。
だから、残念な人とは、決して「バカな人」という意味ではない。「もったいない人」と言い換えてもよい。

なお、≒という記号は、おおよそ、だいたい近いという意味のようだ。


では、どういう人が残念な人なのかという事例でいえば、
日常業務で目先のことしか処理できない、創意工夫のない人のことのようだ。
効率を考えたり、依頼者の期待に応えられないといった人で、
プラスアルファがない仕事をしている人のことをあげていた。


用語の斬新さからすると、事例がわりとごく普通の気配りだったため、
少し肩透かしをくった気分になったが、
仕事を頼む上位者から、若手にに対する見方としては納得できる例だ。


ところで、この本を読み終えたのは随分前となる。
しかし、なかなかレビューする言葉が浮かんでこなかった。
なぜかと考えてみたら、本書を一本通す思考というのが、
少し見えにくかった。


ビジネススキルの高い人がいろんなエッセンスやエピソードを紹介した本、
という読み方をすれば、部分的に使える話題はある。
が、何かメッセージ性が弱いと思った。
事例にしても、文献からの引用というよりは個人的体験の主観も多く、
インパクトや分析の信頼性が弱めに思えた。


たとえば、本書内でひんぱんに使われている「プライオリティ」の単語、
この用語の解説やどういう意味かという説明なしに、
プライオリティが連呼されている。たとえば次のようにだ。

仕事の成果=プライオリティ(の正しさ)×能力×やる気

この用語の使い方一つ見ても、
プライオリティってどんなことかわからない人を排除している気がした。
カタカナ用語になじんでいる人ならしっくりくるが、
本書が、若年層にアドバイスする本ならばなおのこと、
プライオリティという単語を使うビジネスステージにいるなら、
本書とは無縁なのではないかと思った。
「優先順位」と日本語で言ってはだめなの?と思った。

ビジネスシーンに活用するなら

ちょっとした引用している用語や解説に、自分の発見があれば、
おいしいところをピックアップして実践するというのがよいかもしれない。


たとえば、次のようなPREP(プレップ)法とそれを活用したコミュニケーションについてだ。

ゴールの見えない話し方をすると残念なヤツだと思われる


まずは、「賢いヤツ」だと思われる話し方を実行することである。論理的に、明晰に話す。ここで役立つのが「PREP法」である。
PREP(プレップ)法とは、結論を示し(Point)、理由を述べ(Reason)、具体例を述べ相手を納得へ導き(Example)、最後結論を示す(Point)、いたって単純だがとても有効な方法である。
(中略)


一般的にコミュニケーションの目的は、「相手に理解を求める」「意見をもらう」「行動してもらう」の三つである。しかし、実際問題として、結局は何らかの行動を伴わなければ、何も変わらない。だから、特に仕事においては三つ目の「行動してもらう」ことをゴールに置かねばならない。ゴールの見えない話は極度に「長い話」に感じられ、相手をイラつかせる。

本書では、具体的な文例があります。
つまり、やりたいことを話し、やりたい理由を話し、
それをやらないとどうなるか影響を話し、もう一度、だからこれをやりたいと念押しする。


そして、いくつのことをやりたいか話し、了解を求め、
相手にして欲しいことを話して、その人がそれをできるか確認する、
ということでしょうか。

エンプロイアビリティとは

これは、私が用語を知らなかったためなるほどと思ったものです。

エンプロイアビリティの裏表


エンプロイアビリティと言う言葉をご存じの方も多いだろう。エンプロイアビリティとは、個人の「こようされうる能力」のことで、Employ(雇用する)とAbility(能力)を組み合わせた造語である。
一般に「転職できるための能力」を示すが、「現在勤務している企業内において継続的に雇用されうる能力」という側面も持つ。つまり企業内外を越えた労働市場におけるビジネスパーソンとしての価値と言い換えることができる。その内容は、知識・技能にとどまらず行動特性や思考特性、価値観といった個人の内面的属性までを含めたものとして捉えられている。

雇われる、雇い続けられる能力ということのようです。


意識改革ではなく行動改革

「意識改革」はしなくていい


意識に注目するのではなく、「行動」の変革に取り組まなければならない。これは、組織レベルでも、個人レベルでもまったく同じことである。行動の変革を考えるにあたっては、「SMARTの法則」をなぞってみるのがよいだろう。ちなみに、SMARTとは以下の英語の頭文字をとったものである。
・Specitic(具体的である)
・Measurable(測定可能である)
・Agreed(納得している)
・Realistic(実現可能である)
・Timely(今やるべきことである、または期限がある)


目的「意識」を持つのではなく、目的を持つ。頭の中に置いておくだけでなく、紙に書く。そして、SMARTな行動に落とし込むのである。


この他にも、小見出しインパクトがあるものがありました。

問題に集中するな、機会に集中せよ
共有すべきは「考え方」と「前提条件」
まずは役を演じる。「自分らしさ」を付け加えるのはその次
真剣に取り組んだ仕事は、細部まで鮮明に記憶している


と、本書内でちょっと役に立ちそうということを書いていくと、
部分的には発見があるのですが、何かトータルのインパクトが、
私としては薄い本でした。
引用しようと思う内容はあったので、役立つ本ではあるのですが。


本書でいう、「残念な人」である雇われる側にアドバイスしたいのか、
あるいは「残念な人」を雇う側へのメッセージなのか、
話題によって視点が変わっていてちょっと混乱したのかもしれません。


では、また。