営業ができる人の思考

こんにちは、検索迷子です。


和田裕美(わだ・ひろみ)さんの『人づきあいのレッスン 自分と相手を受け入れる方法』を読んだ。

人づきあいのレッスン―自分と相手を受け入れる方法

人づきあいのレッスン―自分と相手を受け入れる方法


テーマは人づきあいだが、実は私はあまりそれに悩むことはなく、
どちらかというと和田さんのような、
スーパー営業ウーマンといった肩書きのような人が、
どんな考え方をする人なのかに興味があった。


和田裕美さんといえば、本書でもご本人が書かれているが、
英語教材のブリタニカ社でフルコミッション営業で、
世界142か国のうちナンバー2になったことで有名な方だ。
Wikipedia - 和田裕美



どちらかと言えば、和田さんというよりも、
営業を仕事にできる人の思考ってどうなのかとつねづね思っていた。


私の先入観と狭い世界での経験で恐縮なのだが、
営業職で感じのいいといわれているひとほど、
同僚として働いたり、あるいは取引相手だったりしたときに、
感じが悪いと思うことが多かったからだ。
これは個人差というより、職業的な特性なのかと思っていた。


自分が多く時間を過ごしてきた人たちは、
いわゆる現場といわれるところで、物を作る人が多く、
対人折衝面では問題があったり、
言いすぎたり、機嫌をあからさまに態度に出したりということもあったが、
それでも、慣れてしまえばつきあいやすく、わかりやすい人が多かった。


でも、営業職の人たちとともに仕事をすることが増えてくると、
上司あるいは顧客に対して、評判や印象がいい人ほど、
非常に裏があり、打算的な面が気になり、
人として心を割って話ができるという気持ちにはなりにくいと思っていた。


そして、和田さんのこの本を読んで、なんとなくわかった。
感情発散型で、割り切りも早く、
人とたくさん接することで感じた痛みさえも、
人が好きということで経験の一つとして取り込んでいる、
そういう人が営業に向いているのかなと思った。


現場の人と言うのは、作るものを優先するあまり、
時として感じのいい人を演じることさえしなくなる。
営業職の人は、どんなときでも、感じのいい人で比較的いられるように思う。
だから、なんとなくかみ合わないときがある。
嘘っぽいなと思ったり、裏でどんなことを思っているのかと思うこともある。


現に、和田さんの容姿からは想像できないような、
くそー、と一人で叫んでいるといった表現もあり、
へー、そういう言葉で感情を処理するのかと思った。
確かに私が見た女性営業職の人たちは、さわやかそうに見えて、
実は、社内では暴言だらけだったような気がする。
だから、余計に怖いと思っていた。


この本自体は、本当に人づきあいのレッスンになるようなエッセンスはあると思いますが、
私としては、この本を書くにあたって、
営業経験者がどんな言葉で、どんな感情表現をするのかに興味があったため、
内容がという見方ではなかったです。


計算高く人との距離を測ることができるひとでないと、
やはり営業には向かないかなと思いました。
和田さんが計算高いというより、
コミュニケーションをテクニックとして教えられたり、
言葉として本にできるということは、
やはり、感じのいい人でいられることは技術なのだと思いました。


誰からも好かれるように、
誰をも嫌わないように、立ち振る舞いができるというだけで、
それが逆に怖いと思いました。


それにしても、読む前と読んだ後と、
営業職の人は、人が好きと言う割には人を物扱いしているような、
そんな思いが拭い去れず、
ちょっと感じが悪いなという印象はあまり変わらなかったです。


たぶん、コミュニケーション能力以前に、
自分で完璧にいいと思っていないものでも、
仕事だから売り文句が平気で言えるという、
そういう物づくりとは違った割り切りができる点なのだと思いますが。


私が見てきた営業の一部には、
あなた自分ではそれ買わないでしょと思うようなものや、
この値段でこれはおかしいと思うものでも、
売り上げ目標という名のもとに、平気で売っている姿を見たからなのかもしれません。
人に買わせる度胸がある仕事は、やはり想像しにくいものがあります。


うーん、営業はたいへんだ、という読後感です。


では、また。