RADIOFISHの『黄金時代』が奏でる音色と舞い

こんにちは、検索迷子です。


今日は、RADIOFISHの『黄金時代』の公式映像の感想を書こうと思う。
黄金時代【ENGEIグランドスラム2017披露の新曲】RADIOFISH


少し周辺の雑感を書いてから、本題にいく。
『黄金時代』のレビューをすぐに読む際は、スクロールして「黄金時代の和風テイストのEDMに惹きつけられる」の見出し箇所からご覧ください。メンバー全員のレビューがあります。

見るたびに趣を変えるパフォーマンス

この曲は何度かライブでも見て、TVでも年末の「検索ちゃん」や、2月の「ENGEIグランドスラム」でもオリラジの新曲ということで披露されているが、公式映像が出たことで読み手が追体験できるため、がぜん書きやすくなった。


特定ライブや特定番組のレビューは、日にちをおくと情報の劣化が目立つので、レビューの量産はもうあきらめている。そこはもう、ネット記事やTwitterのみなさんの声や動画のほうが、圧倒的にタイムリーで勢いがある。


RADIOFISHのパフォーマンスは、衣装や舞台演出も含め、都度考え抜かれており、観た場面での印象が違い、「再現性のないその時間」を楽しむものも多い。


今回の映像は2016年8月のワンマンライブ映像のため、これから書く話題は、パフォーマンス機会ごとに進化し続けるRADIOFISHの、今のそれとは違うところも十分わかっている。


それでも、この映像で初めてRADIOFISHに関心を持つ方もいるだろうと思い、あくまでも公式映像撮影時の黄金時代のパフォーマンスに絞って感想を書く。

感想を伝えることもスキルの一つ

とはいえ、この楽曲の感想を何度か書きかけ、あまりにも曲とパフォーマンスが好きすぎて、どんどんマニアックな方向にいきそうで、レビューをやめようと思っていた。


でも最終的に書こうと思うのは、いろんな評判があるなかで、誰もこの見方をしていないのなら、自分が書き残さなきゃと思う気持ちなのだと思う。


以前、FISHBOYさんがご自身のラジオ番組で、ダンスレッスンが他の仕事との兼ね合いで難しくなり全てやめようと思っていたが、自分では恥ずかしくてアップしないダンス動画を、毎回撮影してくれるスタジオに付加価値を感じてそこだけ今も続けている、というお話をされていた。


その理由として、動画をアップすると客観的な感想がたくさんもらえることにある、と言われていた。


観覧しつつそれを聞いたとき、あ、演者に直接感想を伝えるって大事なことなんだなと改めて思った。感想を伝えることはお礼にもなり、次のパフォーマンスにつながる小さな種くらいなるのかもと思うと、感想を言うのもスキルの一つなのかもしれないと思うようになった。


話の切り口は変わるが、昨日、(54)草なぎ剛さんに言葉の花束をー草なぎ剛さん記事まとめ2というブログを書いた後、70記事も書いてきたのだから、もっと草なぎさんの今を書いてほしいとか、未視聴だった連続ドラマの全映像を送ってくださるという驚くようなお声がけをいただき、そこまで言ってくださるなんてとありがたい気持ちになった。


長文ブログを書いていると、ご紹介いただく文面が「長文だけど読んで損はない」という言葉も多く、長文で読む負荷をかけてしまって申し訳ない気にもなり、Twitterだけで済ませようかという気にもなりかけていた。


「見たものに即、言葉を探して感想を言う」訓練を、学生時代も社会人になっても比較的多く積んできたためか、目にしたものに感想ゼロということはまずなくて、逆に感想を言うスイッチを切るのが大変なほうだ。


でも、書くエネルギーをかけられるものはごく一部ななか、書き始めたテーマは相当好きなのだと思う。


それが万人受けするかよりも、書いている自分が楽しいから書き続けているのだから、つたない感想であろうと、長文スタイルであろうと、読んでくださるかたがいるうちは、ぽつぽつと続けようと思い返した。


さて、『黄金時代』の本題に行きます。

黄金時代の和風テイストのEDMに惹きつけられる

黄金時代の好きなポイントは複数あるが、何よりも音楽が心地よく、RADIOFISHの楽曲のなかでも一番好きな曲だ。


これまでRADIOFISHのパフォーマンスについて書いてきたなかで、曲の話題はEDMというジャンルに明るくないこともあり、いっさいしていない。でも、この曲は初見の第一音から、本能で好きな曲だと思った。


理由ははっきりとしていて、和風テイストだからだ。三味線の音色と楽曲のアレンジ、藤森さんの声と歌詞力について、順を追って説明したい。


【坂本マニ真二郎さん三味線の音色と、宮田リョウさんのアレンジ】
とにかく、この曲の三味線の音がめちゃくちゃ好きで、演奏されている坂本マニ真二郎さんにも、Twitterで何度か感想をお伝えしてお返事をいただいたくらい、何度聴いても三味線の音色に気持ちがかきたてられる。


私は幼稚園の頃のお遊戯会で、踊りとリズム感をほめられたことがきっかけで、日本舞踊とお琴を高校時代まで習っていた。両方とも師範をとるレッスンまで進んでいたが、ある日突然、子どもながらに踊りとお琴では職業にはならないと現実的になって、あっさりと辞めてしまった。


(誰も興味はないだろうが、この二つをやっていたと言うとおしとやかだと勘違いされるが、スポーツ少年団や体育会系部活と並行していたくらい、体育と音楽のノリだったと思う。特に日本舞踊は大人に混じって子ども一人だったこともあり、吸収の速さを褒められるのが嬉しかったようだ。)


三味線はお琴の伴奏に使われることが多く、日本舞踊も三味線演奏が多い。でも、大人になって久しく聴いていなかったのに、こんなに三味線の音色が好きだったのかと思うくらい、いろんな感情が揺さぶられ、もう長らく弾いていないお琴で、耳コピで弾けそうな気にすらなる。


でも、不思議なことに、これまでも三味線をベースにした楽曲は世の中にあったと思うが、こういう感覚になったことはなく、作曲の宮田リョウさんEDMのアレンジの良さも相まって、かき鳴らす音色が際立つのかなとも思う。


三味線がここまでできるのかという新鮮な思いと、音色の心地良さを再確認させてくれた坂本さんの演奏の素晴らしさと、宮田リョウさんには、素敵な曲を作ってくれたことにあらためてお礼をしたいくらいだ。



【藤森さんの声質と歌詞力】
楽曲が和風テイストではあるけど、純和風ではない新しい曲調に聴こえるのは、藤森さんの音域の高さや、歌詞の母音を強調した歌い方で、透明感がありつつ、ポップさが出ていることもあるような気がする。


また、この曲の歌詞、和語を連用するセンスの良さが光る。私は、高校まで国語辞典を持ち歩き(勉強好きだったのではなく、言葉をたくさん知りたかった)、今でもときどき校閲の仕事をするほど、言葉の言い回しに興味があるほうだが、この歌詞が紡ぎ出す世界観には本当にびっくりした。


日常使いしないような言葉たちや詩的表現に、いったいどこから、その単語が出てきたのだろう、どこからその語感を見つけたのだろうと思うような、驚きの連続だった。


作詞をされている藤森さんの視点の面白さ、言葉選びの秀逸さに本当に目を見張った。この作詞のためにどれほど言葉を探したのだろうと思うと、その努力の凄さがうかがえるような作詞力で、公式映像にも歌詞テロップを入れてほしいと思うほどだ。

オリラジお二人のダンスパフォーマンス

次に、中田さん、藤森さんの順で、ダンスパフォーマンス面について説明したい。スキルマスターのダンスについては、次の見出しで触れる。


【中田さんの扇子さばきと、身体の柔軟性】
扇子を使った和風の踊りは、大胆さよりもきれいさ出す動きが多く、一見平坦すぎて、素人のかたにはのっぺりと見えることも多い。


でも、RADIOFISHのパフォーマンスの良さは、振り切り度合にあると思う。特に、中田さんが扇子さばきの見事さには驚かされる。


素人のかたで、あの厚さの扇子を触ったことがあるかたは少ないかもしれないが、舞踊用の扇子は肉厚で骨も重たい。踊りながらずっと持っていると、手のひらがけいれんするほど握る力がいる。


しっかり骨の根元を握って、反動を使って勢いよくさばかないと、空気抵抗に負けてしまい、かざしたときにきれいなラインがでなかったり、扇子が途中で縮まって半開きになったりして、しゃきっとした動きが半減してしまうことがある。


中田さんはとても見事に、扇子を体の一部にして踊っている。どれだけ、扇子を使って練習したのだろう。まるでブレなく、扇子が効果的に見えるような使い方が本当に上手い。上手いどころか、全身のシルエットのきれいさが、扇子という小道具があることで、とても映える。


また、間奏でスキルマスター(ダンサーさんたち4人のこと)のソロパフォーマンスを見ながら、御神体のお遊び風に扇子をあおぐ場面も、扇子があるとないでは大きく違う場面だと思った。


舞踊では、刀や、光や、威厳さや、方向を指し示すアイテムとして使われがちな扇子を、本来のあおぐ機能を振りとしてとりいれているのが逆に新鮮で、小道具一つも世界観を生み出すアイテムとして有効活用して、細部へのこだわりがうかがえた。


それから、これは今回特に思ったのだが、扇子を刀替わりにした殺陣のシーン、この中田さんの体重移動と、反動は本当に見事だ。腰の入れ方、ひねり、足幅の広げ方、どれをとっても、きれいとしか言いようがない。


和装でこのくらいの体重の入れ方は、着物では丸見えになってしまうのでなかなかできない。でも、洋服ならではの大きく広げられる足幅によって、足さばきと立ち姿がとても映える。


少し話はそれるが、以前、オリラジとロンブーが陸上対決をしている映像を見せていただいたことがあるが、中田さんの走る姿のきれいさにびっくりしたことがある。


私は学生時代に陸上をやっていたため、人の走る姿を見るのが好きなのだが、中田さんの走りは、股関節と肩関節が軽やかで、膝が高く上がって空中を蹴り上げ、ストライド(広めの歩幅のこと)が広く、腕振りが伸びやかで、一目で足が速い人の走り方だとわかるほどだった。


失礼ながら中田さんは勉強のイメージが強く、スポーツをしてきたかたと思っていなかったが、このフォームのきれいさを見て、フォームができあがる子ども時代に、とてもスポーツができたお子さんだったのではと思い直した。


それで、中田さんの踊りの柔軟性がしっくりきた。股関節と肩関節をしっかりと使ったり、体重移動が的確だったり、反動の使い方がうまかったりする、体の機能をコントロールできる基礎力が生きているとのだと。


そのうえで、芸術性を加えたポージングや、妖艶さを出す指使いがされることで、まるで隙のない、パフォーマンス毎にぶれることにない、安定した振りと美しさが表現できているのだと妙に納得した。


【オリラジお二人の振り入れの完成度】
少し藤森さんの振りについても触れると、オリラジのお二人、武勇伝のときもラッスンのときもそうだが、完璧に振り入れをしている練習量がうかがえるほど、ブレがないきれいさを追求して、それを体に染み込ませているのが伝わってくる。


藤森さんは中田さんの後方にいるとき、マイクを持っていない右手で、部分的に振りをしている。この画面に映りにくい振りをしっかりしている藤森さんに、細部までおろそかにせず、ご自分の役割をきっちり果たす律儀な姿が画面で確認できると、妙に嬉しくなる。


他の5人に比べるとダンスパフォーマンス色は薄いとはいえ、藤森さんの振りが、シャーマンとしての役目として、いいアクセントの働きをしていると思う。オリラジのダンスへの真摯な姿勢は、もともとの専門ジャンルではないだけに、その完成に行きつくまでの道のりや完成度の高さに、時に胸が打たれる。

スキルマスター(ダンサーさん)のダンスパフォーマンス

私の過去のRADIOFISH記事を読んでいるかたは、なんとなくおわかりかもしれないが、私がブログを書きたいと思うきっかけはいつも、4人のダンスの素晴らしさに触発されることから始まる。


先にも書いたが、オリラジのお二人はいい意味でパフォーマンスが安定していて、演出や衣装やメイクは別として、楽曲のパフォーマンス機会ごとの動きの変動要素は比較的少ない。


でも、ダンサーさんたちは、基本的な振り付けが同じでも、そのときの思いがダイレクトに身体能力に出たり、歓声やコンディションによって、動きが都度変わる。


何より、ベースとするダンスの専門ジャンルの違いによって、同じ振り付けでも、4人が全く違うダンスをすることによって輝く個性が、何度見ても本当に楽しい。


全身で踊る姿を見せることで、文字通り身体を張って生きてきた、その生きざまを洗いざらい見せてもらうような思いがして、ダンスが踊れるって素晴らしいスキルだと毎回感動する。


これから一人ずつレビューをしようと思うが、私は個人ごとのソロ動画も好んで見ているが、できるだけ『黄金時代』に限定した、俯瞰した感想を書こうと思う。


格好良く踊るのが本業の4人が、お笑いのパフォーマンスとしてこの楽曲を踊っているのを見ていると、ソロとは全く違う側面や、対比によって際立つ部分が見えてきて、とても興味深い。


もしかしたら、そんなこと書かれても嬉しくないという部分もあるかもしれないが、これもまた、お笑いとしてのダンス中の、見え方の一つと思っていただければと思う。


本当なら動画の先頭から一秒単位で感想を書きたいところだが、自分なりのハイライト的なことにできるだけ絞って書きたい。お一人ずつの分量にばらつきがあるが、これはたまたまのことで、まんべんなくお一人ずつ映像を見返したうえで書いている。


【SHiNさんの少年性のある闘志】
SHiNさんには、ナイスファイト賞(ダサい言いかただが、これしか浮かばない)を差し上げたいくらい、殺陣のシーンの構えのきりっとした表情、助走の勢いの良さ、斬られた後の全身の使い方が本当に素敵だ。


不謹慎な言いかたかもしれないが、少年特攻隊のような、まだ若くて未来もある少年が闘志とともに敵方に突っ込み、空に散ってしまうようなはかなさと美しさがある。


そして何よりSHiNさんの見せ場であり凄いと思ったのは、斬られた後の、空中での足の回転具合だ。


この動きに既視感があって、どこで見たのだろうとしばらくしっくりこなかったが、『PERFECT HUMAN』MVのソロダンス箇所(1分39秒あたり)の足の使い方だとわかった。
PERFECT HUMAN【MV】RADIO FISH/Full ver.紅白発表楽曲


SHiNさんのアカウント名にも入っている、ブレイクダンスの技である「1990」は、片手で逆立ちして回転する動きのことを言うようで、SHiNさんはこの動きを得意とされているようだ(詳しくないので断定はできないが、Twitterなどでダンサーさんによる評判も見かけて)。


殺陣のシーンでは床に手はついていないので、厳密にその技とは言えないと思うが、空中で横っ飛びするときの足さばき、回転のきれいさは本当に見事だ。


助走が長距離であればあるほど、SHiNさんの闘志が伝わるので、TVで見ていた時よりがぜん公式映像のSHiNさんはいいと思った。


また、下側からあおるようなアングルが多いと、SHiNさんの長身で足元さばきのきれいなところが映えることや、ステージが広いほうが圧倒的に伸びやかさが出ると思ったりして、公式映像ならではのアングルで気づくSHiNさんの長所は多かった。


【RIHITO(つとむ)さんの描く直線のきれいさ】
リヒトさんと書くより、つとむさんのほうがしっくりくるので、そちらで書かせていただくが、つとむさんって和風のダンスがとても似合うと思った。


それは、つとむさんが別活動として、TRIQSTAR(トリックスター)のチームで和風テイストのダンスを着物で踊っている場面をよく見るから、先入観もあるのかもしれないが、つとむさんの動きをよく見ると、自分が日本舞踊でやっていたような所作を感じさせられるのだ。


たとえば、手首や手のひら全体の力の入れ方は、つとむさんが圧倒的にきれいだ。洋風のダンスは、こういう手先、指先に集中するような力の入れ方をしないのかもしれないと、つとむさんを見て気づいたくらいだ。


他に見せ場がないというわけではないが、わかりやすく書くと、つとむさんの描く直線のきれいさは、公式動画の先頭から20秒めのロックダンスに入るまでの間に、かなり凝縮されている。


冒頭で、忍者のごとく位置移動するときの腕のまっすぐとした伸び、立ち姿のシルエットのきれいさ、藤森さんの後ろで腕を上げていき、手をきれいにそろえ最後に手首を弾くところ、後ろに下がる場面での、きれいな腕のひきかたなど、ひじを伸ばし、指をそろえる直線的なラインがでる動きが、つとむさんは本当に映える。


そのほかにも、歌舞伎でいうところの「見得を切る」ポーズの、手のひらでのメリハリのつけかたや、殺陣の場面での待ち姿など、部分停止するような場面での決めポーズがいつもきれいだ。


つとむさんはキャラクター的に朗らかなため、ぐにゃぐにゃしたダンス箇所のインパクトが強かったが、この黄金時代ではつとむさんが基本の振りに忠実で、きれいに踊るかたなのかもと見方を変えたくらいだ。


偶然かもしれないが、私が過去観たいろんなライブや映像などで、振りミス(すみません、細かくて。悪口ではないです)を一度も見たことがないのはつとむさんだけで、正確で安定感があるかたなんだなと思っていた。


ソロの箇所は別として、全員で同じ振りをするときは、チームとしての全体のバランスをとても重視していて、極端に目立つ動きをしていない印象もある。


それでなんとなく、安定したベースラインのきれいさを維持しているのは、つとむさんの女性性を持った、直線的なダンスの部分ではないかという気がしていた。


ソロ以外の箇所で、大振りで観客の目を引く動きをあまりしないためか、なかなか映像でそのラインのきれいさが映りにくいが、逆を言うとどのタイミングでつとむさんを映しても、指先に神経が行き届き、ポージングが安定し、もれなくきれいな映像だと思っている。


女性性という言葉を補足すると日本舞踊的な目線では「男踊り」「女踊り」と分かれていて、今回のRADIOFISHのダンスは、男性性が出ているのはSHiNさんとFISHBOYさん藤森さんで、女性性はつとむさんとShow-heyさんと中田さんだ。指や首使い、立ち姿、脚の角度や腰の入れ方の微妙な違いなどで、どちらに見えるかの印象はがらりと変わる。


【Show-heyさんの視点を中心に集める動き】
Show-heyさんのRADIOFISH以外での活動のダンスを見れば見るほど、格好良さを生み出す職人ともいえる、Show-heyさんがこんなにコミカルなダンスをしていることのおかしみが増す。


とはいえ、一般のかたはそういう見方をしていないと思うので、あえてこの楽曲だけの、俯瞰した映像の印象で書くと、Show-heyさんがこの全員でダンスをするときは、ダサめの振り付けのほうがとてもキャッチーに映る。


いい意味で身長を生かすようなコンパクトさを出す動き、華奢で可憐で、実際よりもより小さく愛らしく見える動きのほうが他の5人との対比で、ふとしたときに、はっとする。視線を中心に集めるような、シルエットが小さければ小さくなるほど、インパクトが強くなるのだ。


特に、「信長?家康?否 中田」の歌詞あたりで、『PERFECT HUMAN』の中田さんの、マイクを持って首をかしげる箇所、ここのShow-heyさんのキュートさは全員との対比で、格段に引き立ち、チームに一人、女子が紛れ込んでいるような感じすらする。


また、もはや振りといえるのか、全員が中田さんに向かってうつむきながら手を弾く箇所のShow-heyさんは、いやいやをしているような子どものような感じに見えて、中田さんの後ろにいて必ず映る箇所でもあり、見るたびに妙に面白いと思ってしまう。


でも、さすがに魅せ方がうまいShow-heyさんだと思ったのが、ソロダンス箇所だ。後方から手をついて、足元から前方に繰り出して立ち上がる場面は、検索ちゃんのときも、立ち上がった瞬間にうわっと思い、パフォーマンス全体で一番印象に残った箇所かもしれない。


この一瞬でShow-heyさんの曲中の印象ががらりと変わるくらい、この箇所のインパクトは大きい。ソロダンスはカットしないほうが、ダサさと格好良さの対比が際立ち、楽曲内のダンスに抑揚が生まれて、面白さが増すような気がする。


Show-heyさんのこのダンスを見てふと思い出したのが、矢口真里さんの「セクシービーム」や、中居正広さんの『青いイナズマ』でひゅんと軽やかに、高くジャンプする姿だ(例が古くてわからないかたは、動画などを探してください)。身長とパフォーマンスのインパクトにギャップが生まれたとき、それは強烈に印象に残り、忘れがたい一瞬になる。


Show-heyさんは、一気に時を進めるごとく、ひゅん、と一瞬で人の印象の総取りする動きができる凄いスキルがある。


楽曲中の大半の時間は、可憐に斬られたり、いやいやをしたり、女性っぽい華奢に見える動きが多いが、そこを逆手にとって相手を油断させておいて、ここぞという一瞬に一刀両断して立ち去るような動きを、これからも極めてほしいと思う。


【FISHBOYさんは時間を止めながら跳ぶ】
FISHBOYさんの時間を止めたり、空気を重くする力は、どのダンスパフォーマンスで何度見ても不思議でならないが、この楽曲中の殺陣での玉砕っぷりは、見事としか言いようがない。


ちなみに、「玉砕」は「自爆」という意味でとられがちだが、本当の意味は、「玉のように美しく砕け散ること」で、全力で戦う潔い死に方を表す。


まさに、FISHBOYさんの砕け散りかたは、散る瞬間の美しさがある。そして、静止画をコマ送りするかのような、時間の止めかたをしている。確実に今、時間が止まった、と思うような時間のねじれを感じる。


滞空時間といえばいいのだろうか。斬られた瞬間に横っ跳びしながら、空中にしばらく身体が浮遊し、存在していると思うくらい、そこに留まっている。


冷静に見れば、首とか背筋の支える力を感じるような動きだが、なぜか身体の特定部位に負荷をかけているような動きには見えず、どこかで一時停止ボタンを押しているのではないかと錯覚するくらいなめらかな場面で、最終的には凄いとしか言葉が出てこない。


また、FISHBOYさんの見得を切る場面を初めて見たとき、歌舞伎のような荘厳な舞いが似合うのではないかと以前から思っていたのが実現して、これだと思った。


どこがそうなのかと考えると、見得を切るために手をパーンと開くところや、最後に首を回してにらみをきかせるところが、FISHBOYさんの専門ジャンルのダンスと親和性があるような気がしたからだ。


先に、つとむさんの見得を切る場面の話を書いたが、つとむさんは和風ダンスの経験値の多さからこの振りをきれいにこなしているように見えるが、FISHBOYさんはこの動きをやってみたら、想像以上にはまっていたという感じがする。


あっているかどうかわからないが、FISHBOYさんのダンスは、筋肉の弛緩と緊張のバランスを使い分け、筋肉を弾いたとき視覚的なインパクトのピークを持ってきているような気がする。だから、メリハリがはっきりした舞いであればあるほど、持ち味が生きる。


そして、FISHBOYさんの首の強さや回し方は、抜群にいいなと思う。首を回す動きで、ここまで人の目を惹きつけることができるんだと思うくらい、首の動き一つで威圧感を出している。首の使い方が本当にうまいと思う。


そういえば先日のラジオで、ダンス未経験のゲストのかたに、上手く踊るコツを聞かれていて、しばらく考えたFISHBOYさんが答えたのは「首の使い方」だった。


ダンスを始めた中学時代、思春期にありがちな考えで腰パンとか猫背を格好いいと勘違いしていたが、「姿勢のいい」外国人を見たことで、この格好良さってどこから来るのだろうと考えるようになったという。


それを聞いたとき、ああ、だから首を中心にすえるかのような、身体の中心の一本柱を感じさせる立ち姿なんだと納得した。それで、さっきの跳ぶシーンも、背中にある支柱の揺らぎなさで静止画のように見えるんだと、霧が晴れるような思いがした。


【最後に】
これほどの言葉を尽くしても、RADIOFISHのパフォーマンスの良さは語り切れない。


それでも無知をさらしながら、少しずつ理解できたことを書こうと思うのは、一人ひとりのパフォーマンスに感動し、さらに6人全員そろったときの完成度の高さに、エンタメの力を感じるからだ。


気づけは、最初に記事を書いてから半年経った。
書いたことによって、この半年で少しは理解が進み、RADIOFISHの素晴らしさを伝えることができているといいのだが。


これは何だろう、どこが素晴らしいのだろうと、自分が謎解きをするごとく知りたいと気持ちが続くうちは、動画を見て、また飽きずに書き続けるのだと思う。


演者としてのRADIOFISHに、常にパフォーマンスへの感謝と、リスペクトを込めて。


では、また。