稲垣吾郎さんの「September Rain」

こんにちは、検索迷子です。


九月の雨の多い時期、
稲垣吾郎さんのソロ曲、「September Rain」を繰り返し聴いた。
1993年発売『SMAP004』に収録の、
作詞:覚和歌子、作曲・編曲:長岡成貢、コーラスアレンジ:岩田雅之、の曲だ。

SMAP 004

SMAP 004


スマスマで、草なぎさんや香取さんのソロ曲が話題となったとき、
「5月の風を抱きしめて」と、
「日曜日のアニキの役」の歌詞が面白くて、聴きたいと思っていたところ、
2曲とも『SMAP004』に収録されていて、
でも、一番はまったのが一緒に収録されていた「September Rain」だった。


ちょうどその頃は大雨が続いていて、まさに九月の雨の時期。
それで、稲垣さんの「September Rain」が思いのほかフィットしたのだ。
アルバムのなかで、こればかりを集中して聴いていた。


稲垣さんは、エンジェルボイスと言われているようだが、
この曲を歌う稲垣さんは確か19歳で、でも、
驚くほど大人びた憂いを漂わせている。
お別れを手紙で告げる側の気持ちのせつなさや、
けだるいような、でも甘い雰囲気をかもしだした曲だ。


特に、

インクはブルーブラック 曇り空に文字が
乾かない
もうすぐ降り出すよ
夏を連れ去る September Rain

の部分が好きで、
この詩の世界観と声質が、稲垣さんに合っていると思った。


と、9月にずっとこの曲をリピしていたところ、
先日偶然にも、この「September Rain」の作詞をされた、
覚和歌子(かく・わかこ)さんとお仕事でご一緒することになった。


覚和歌子さんは、作詞家・詩人であり、
朗読や歌手としてライブを行うなど、精力的にご活躍だ。
千と千尋の神隠し』の主題歌「いつも何度でも」、
崖の上のポニョ』のオープニング主題歌「海のおかあさん」を
宮崎駿監督と共作もされている。


以前から、朗読会も拝見させていただいていたが、
本当に素敵な女性で、素晴らしいパフォーマンスを見せてくださる。


そして、当日の懇親会で、数名で雨の歌の話題で盛り上がり、
ついご本人を前に、最近「September Rain」をずっと聴いてました、
インクは、の部分の歌詞が特に素敵ですよね、いう話をしたところ、
「あら、ずいぶん前の曲を聴いてくれてるのね」と笑ってくださった。


後から考えると、もっと作詞のエピソードとか、
言葉の使い方とかを聞かせていただければよかったと思った。


覚さんという作詞者のかたとお話しできたことで、
稲垣さんが歌っている歌が、
雲の上の存在のアルバムという感じではなくなり、
何か非現実的なふわふわした感じなものが、身近な存在となったが、
そこまでお話しするのが精いっぱいだった。


そして、つくづく思ったのが、
楽曲数が多いSMAPというグループのなかでも、
特にソロ曲はそうだと思うが、
頻繁にテレビで歌ったり、ライブで歌ったり、
メンバー間の話題に上がったりしない曲というのはあるのだなと思った。


失礼ながら、この曲はもともとは存知あげず、
でも、そんななかで、
作詞者に会える直前のタイミングで知って、
まさか繰り返し聴いていたなんて、すごい偶然だと思った。


この二か月くらい、草なぎさんのことをブログで書いていて、
まるで草なぎさんが触媒となるかのように、
これまでバラバラだった興味関心のものが、
シンクロし始めるという、不思議な偶然が続いている。


なにより、稲垣さんの曲を集中して聴いて、
稲垣さんをタイトルに記事を一つ書くなんて、
今日は自分が一番驚いている。


「September Rain」、今の年齢の稲垣さんの声で、
ぜひ聴いてみたいものです。
当時は大人びた歌詞だったものを、今の稲垣さんに、
もう一度表現してみてほしいと思う。
また、この曲は映像化されたものがあるのかどうか、
ちょっと興味もわいてきた。


素晴らしい歌詞と歌声でも、埋もれてしまう歌があるのだと、
少しせつない気持ちで思いながら、
それを見つけたからには、
一度、私なりに光を当ててみたいと思い、
今日は「September Rain」をご紹介しました。


タイトルは9月だけれど、テーマは普遍的だ。
熱のように弾けたようななにかが、終わるときの悲しみと痛み、
それを乗り越えようとする気持ちは、
季節に関係なく、心のどこかの傷口をそっと開き、
そして、時間が癒してくれるのだと、気づいていくのだと思う。


「September Rain」と聞くだけで、
せつなさのスイッチを押されてしまう。
この感覚の不思議さを、
稲垣さんの歌でぜひ味わってほしいと思う。


では、また。