スマスマ「S-LIVE」で広瀬香美さんが見せてくれたもの

こんにちは、検索迷子です。


今日は、2月29日に放送された「スマスマ」のなかで、広瀬香美さんをゲストに迎えた「S-LIVE」コーナーの話を書きたい。SMAPの話題にも少し触れるが、今日は広瀬香美さんが、この場で見せてくれた特別なパフォーマンスに注目したい。そして、アーティストのかたにとって、「S-LIVE」がどれだけ大事なパフォーマンスの場所かということを伝えていければと思う。


SMAPファンのかたからすると、「S-LIVE」はスマスマスタッフがSMAPを輝かせるために、全力でそのコーナーを作っているのは十分知られていることだと思う。実際に、ライブの完成度の高さ、見事なセット、SMAPメンバーのビジュアルを最も美しく見せるカット割りなど、他の歌番組と比べて際立っているのがわかる。


私も最近ずっとSMAPの話題を書いていることもあり、普段はSMAPに注目して、どなたがゲストでも同じように番組を視聴することが多いのだが、今回は番組を観おわったあと、広瀬香美さんの歌声がずっと気になっていた。あれ、広瀬さん歌声が変わった? と不思議な感じがずっと残っていたのだ。


私は趣味でボイストレーニングに行っている話を、(8)SMAPの「夜空ノムコウ」を歌い継ぐ景色も含めて、過去数回書いてきた。といっても、音楽的なことはほとんどわからないのだが、広瀬さんの歌声が何か透明な柔らかさを持った声として際立っていて、男性キーで落ち着いて歌うSMAPとの対比で、まさに頭一つ突き抜けた歌声がずっと残っていた。


もともと歌が上手いかたではあるが、この日歌った『ロマンスの神様』は1993年、『ゲレンデがとけるほど恋したい』1995年発売と、楽曲自体は20年以上も前の懐かしい曲のはずなのに、何か、知っているのに新しいという感じがしたのだ。

ロマンスの神様

ロマンスの神様

ロマンスの神様

ロマンスの神様

ゲレンデがとけるほど恋したい

ゲレンデがとけるほど恋したい


失礼を承知で書くと、過去にヒット曲があるアーティストのかたが、時間を経て同じ曲を歌うと、ヒット当時から歌いかたが変わっていて驚くかたや、なかには高音のクリアさが損なわれているかたもいる。が、広瀬さんの歌は昔聴いていたときより、今のほうががぜん素敵な歌声なのがびっくりした。

ロマンスの神様』キーの一個上げバージョン

どうも歌声の違いが気になって、過去の動画なども観て理由を知りたいと思った。この「S-LIVE」での広瀬さんは、原曲のキーを上げて歌っているのではないかと、まずはあたりをつけてみた。


調べてみると広瀬さんは、今年の1月から2月にかけて各地でライブを行っていた。そして、そこで披露した『ロマンスの神様』が動画サイトで多数上がっていて、えー、これ隠し撮り? こんなのいいの? とびっくりしていたのだが、実はこれは広瀬さんがライブ中に『ロマンスの神様』のみ撮影を許可し、拡散してねとお願いしていたことだったのだ。


なぜ撮影を許可したかは、ライブ映像の『ロマンスの神様』の歌いだし前のトークで理由がわかるのだが、広瀬さんは、『ロマンスの神様』の原曲キーの一個上げバージョンを、1年2か月かけて挑戦してきて、それが完成してライブで披露するに至ったようなのだ。ぜひ、動画を探して視聴していただければわかると思うが、広瀬さんの『ロマンスの神様』キーの一個上げバージョンは、まさしく、「S-LIVE」での歌声そのもののように思えたのだ。


ちなみに、拡散に協力するために『ロマンスの神様』キー一個上げバージョンの動画検索結果を貼っておくが、観客が自席から撮っているので、さまざまな角度から映像が観られるのがなかなか楽しい。


また、一般のかたの「くうねるあそぶ」というブログのなかで、実際にライブに行かれた模様や、キーを上げることについての説明が丁寧にされているので、ご参照いただければと思う。私もこのブログを拝見しなければ、なぜ動画サイトに多数、『ロマンスの神様』がアップされているのか理由がわからなかったため、今回記事を書くにあたって参考にさせていただいた。理由がクリアになったことで、私も今日の記事を書こうと触発されて、このブログ主さんに感謝したいと思う。


このかたが詳しく書いてくださっていたことによって、広瀬さんがもともと上手な歌にさらに磨きをかけるために挑戦しているのだと気づかされた。


それで肝心の「S-LIVE」での声だが、これは、ボイストレーナーの先生にも検証を手伝ってもらってわかったのだが、この時のキーは、原曲そのものだということがわかった。キーの問題でないなら、では、いったい何が違うのだろう? とさらに歌声を聴いていくと、昔と比べて発声そのものが進化していることがわかった。たとえば、リズムの取り方が小刻みになっていたり、以前は一拍ごとに単語一文字を乗せていたような歌い方が、息を早めに出したり、間合いをとったりして、細かなアレンジが加わったことによって、以前はさらりと歌っていた歌に抑揚が生まれていたのだ。


たとえば、細かいところでいくと、「そんなの嘘だと」という箇所、以前は、「そんなの、うそ、だと」と単語を刻んでいるような歌い方だったのが、「そぉんなぁのぉうぅぅそぉだぁと」と、子音の出すタイミング、母音の発生自体が変化していたのだ。その結果、昔の歌い方とはまるで違う躍動感がプラスされているのだと思った。


広瀬さんは何度もこの曲を歌ってこられただろうが、声の伸びやかさや丸みが増して、ぐんと生き生きとした楽曲となっていて、古さどころか新しい曲のような新鮮さをくれたのだ。こうして、同じ曲を丁寧に歌い継ぎ、レッスンを積み重ね、過去のご自分を上回るパフォーマンスを見せてくれたのだと思った。それで改めて、「S-LIVE」はアーティストの本気のパフォーマンスの場所で、SMAPはそのアーティストのかたのパワーを全身全霊で受け止めて、自分たちもパフォーマンスをしているのだなと気づいたのだ。


広瀬さんは、国立音楽大学作曲学科で学び、「広瀬香美音楽学校」の校長もされていて、音楽に対する真摯な姿勢がもともとあるかただという印象があったが、私は今回さらに、広瀬さんの素晴らしさがわかったような気がした。


現在、広瀬さんはロサンゼルスに拠点を置いて活動されているようだが、当然、日本国内を揺るがすようなSMAPにまつわるニュースなどは耳にしているだろう。スマスマの番組にこの時期、出演するということはゲストのかたにとっても物思う部分もあるかもしれない。


でも、私は今回の広瀬香美さんが、過去も同じ場所で歌った同じ楽曲を、歌い方のバージョンアップにチャレンジしてきた成果をテレビで披露する場として、スマスマの「S-LIVE」を選んでくれて、それを拝見することができて良かったと思っている。SMAPと真剣に渡り合ってリハーサルを重ね、美声を響かせてくれたことに本当に感動した。そして、SMAPは広瀬さんの高音を引き立てるかのように、自分たちの声が広瀬さんの声とケンカしないよう、自分たちの声量のバランスに配慮して、声を調整していたのではないかと思ったのだ。


広瀬さんが、スマスマのライブでSMAPとコラボするのは1997年7月以来、2回目だと思うが、広瀬さんはその時のご自分の楽曲をさらに上回る努力を続けてこられて、そのパフォーマンスによって、新鮮な思いで過去の楽曲を聴かせてくれた。そこに純粋に歌に聞き入ってしまい、感動をもらったように思う。


スマスマの「S-LIVE」を観て、これまでアーティストのかたが、スマスマのこのコーナーに本気でぶつかっていっていると実感したことはなかった。SMAP冠番組でありながら、SMAPが輝くだけのコーナーではなく、アーティストのかたの素晴らしさやメッセージ性も、きちんと受け止めていきたいと今回つくづく思った。


視聴者の一人として、ごく普通に毎週スマスマを視聴してきたが、アーティストのかたにとってはこの場所は、もしかしたら紅白にも匹敵するような晴れ舞台というかたもいるだろう。その晴れの場を、SMAPはごく自然にアーティストかたを受け入れていて、それゆえに気づかない面があったが、この「S-LIVE」って実はものすごいコーナーなんだと実感できたような気がする。そして、そういう素晴らしいゲストと同じステージに上がり続けるSMAPもまた、常にエネルギーを持って輝き続けるかたと対等でいられるほどに、ずっと努力しているのだということも。


広瀬さんの、努力が結実した歌声の変化は、原因がわかるまで、私をしばらく不思議な感覚にさせていた。そして、何が気になるんだろうかとひっかかる思いの理由が知りたいと思って、たまたま調べて探ったことによって、思いがけず広瀬さんの歌声の進化に努力のプロセスを知ることができて、こうした場面を見せてくれる「S-LIVE」そのものの価値や、SMAPの凄さも見直すことができた。


今回の「S-LIVE」は、歌声から直接力を与えてもらう力だけでなく、別なものも受け取らせてもらった。そしてきっと広瀬さんの歌声は、SMAPにもいいエネルギーをダイレクトに伝えてくれたようにも思う。美しい声は、人の心を癒し、励まし、生きる力を与えてくれる。本当にいいライブだったと思う。広瀬さんとSMAP、「S-LIVE」作りに携わっているすべてのかたに、素晴らしい歌に出会う時間をもらえて、「『ロマンスの神様』、どうもありがとう。」と感謝したい。


では、また。


(追記)
「S-LIVE」での広瀬さんの歌声が「キーの一つ上げと思った」というトーンで、当初記事を書いていましたが内容を3月3日6:00に全体的に編集し直しました。


多くのかたに当記事を読んでいただいたため、私の仮説による主観記事によって、広瀬さんにご迷惑をかけることがあってはならない思っていたところ、たまたま、私のブログをボイストレーナーの先生が見てくださっていたこともあり、思い切ってレッスン中にお願いをして検証をしました。


1990年代の過去音源、2016年ライブ音源、スマスマ音源の3種類を使って、キーの検証と、歌声の違いを顕著に感じた場所を説明して、変化している場所を教えていただきました。その結果、「S-LIVE」は過去音源から発声とリズムの取り方の変化であって、原曲キーによるパフォーマンスだとわかりましたので、訂正しておきます。誤解を招くような表現を当初してしまったことをお詫びいたします。私の仮説は違っていましたが、歌声から受けた感動は確かなものだったため、記事で伝えたかった内容の大枠に変化はありません。


先生には、歌い方の変化がわかっただけでも耳がいいと言っていただきましたが、キーの違いと歌い方の変化の違いを、しっかり聞き分けられるよう、もっと耳を鍛えていこうと思いました。まだまだ素人の耳ですが、「声」に興味があるので、こうした、違いに気づいた経験を恐れずに文字に書くことで、自分自身の音感や、音楽面で言葉にしにくい情報を正しく伝える力をもっと磨いていこうと思いました。