TOKYO初夜ものがたり


こんにちは、検索迷子です。


就職や入学で、
地方から東京に引っ越し、
住み慣れた場所から離れ、
東京で初めて夜を迎えた日のことを覚えているだろうか。


梯久美子(かけはしくみこ)さん著、
TOKYO初夜ものがたり、角川書店刊を読了し、
あの日、自分はどうしていたのかと思い返した。

TOKYO初夜ものがたり

TOKYO初夜ものがたり


タイトルは一見色っぽいが、簡単に言えば、
上京物語、という内容だ。


今まで思い返したこともなかったが、
私の場合は、
研修がホテルで数日あり、
その帰路、人事担当者に引率され、
入寮する同期とともに寮に向かった。


寮が2人部屋だったことや、
同期が多かったせいか、
1人で東京で暮らす、という感覚はまるでなかった。
家具も備え付けで、新しく用意するものもあまりなかった。


本当に1人で暮らすと実感したのは、
それから数年経過し、
自分で引っ越し先を探したり、
電気やガス、水道、電話の手続きをして、
まだ家具も届かず、カーテンもなく、
がらんとしたなかで引っ越し初日を迎えた日だ。


社会人になって何年も経っていたけど、
1人で暮らすって心細く、
でも自由だなと思った。


今、初めて気づいたが、
ずっと1人で暮らしたのは、
その引っ越しの一度きりだ。


ペットを飼うために、
ペット不可だったそこから今いる場に引っ越し、
初日からペットを迎え入れた。


1人で暮らした場所は、
今いる場所から徒歩3分のところにある。


ときどきペットと散歩がてら、
その建物の前を通り、
自分が住んでいた部屋の灯りを見ると、
やけにきゅんとする。


言葉にはしがたい思いが、
あの場所には詰まっている。


たまたま見つけた、梯さんの著者だが、
季節がちょうど春の引っ越しシーズンにフィットして、
思いがけず、心の奥底にしまいこんだものを見つけ、
はっとすることが多かった。


面白い企画の本で、自分も周囲に、
それぞれのTOKYO初夜ものがたりを聞いてみたくなった。


本書に登場する著名人のように、
サクセスストーリーにつながる助走期間、
みたいな感動や、
こんな時代があったのね、という驚きには、
一般人はなりにくいけど、
一人ひとりにそれぞれの重みや深みがあるだろう。


あの日から始まった。


たぶん、そう思える、
人それぞれの、初夜、があると思う。


忘れがたい夜。
あの日、誓った想いは、どうなったのかな。


では、また。