こんにちは、検索迷子です。
公私ともに文章を書く機会が多い。
そして、このパソコンが普及したなかでも、
手書きで即座に文章を書く機会も意外とある。
それは、たとえば何かの資格試験での小論文だったり、
転職する際に作文がある企業があったり、
何かの講座を受講した際の感想文だったり、
ちょっとしたレポートの作成だったり、
時には手書きでの手紙だったりする。
いずれも、制限時間や分量が決められていることが多く、
それなりに苦労をしてきた。
特に、分量については何文字以上や、A4何枚相当といった、
それなりに多く、スピード換算がしにくい一定量を手書きで書くということが、
思いのほか大変なのである。
パソコン環境でのコピーやペーストに慣れてしまった現在、
一度書き出したものを後から書き直しがきかないというのは、
かなり緊張感を強いられる。
とりあえず、何か文字を入力すればいいというのではなく、
手書きの場合は、最初に全体の構成を考えてから、
あとはその構成を破綻させないよう一気に書き上げるしかない。
文章を早く書くためには、頭の整理のスピードを上げることを痛感し、
『時速1000字で書く技術』後藤禎典(ごとう・よしのり)著を読んだ。
塾の講師である著者は、数多くの文章添削の事例をもとに、
文書を早く書くテクニックを体系化されたようだ。
- 作者: 後藤禎典
- 出版社/メーカー: すばる舎
- 発売日: 2008/01/22
- メディア: 単行本
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本書に記載されていたポイントを、これから文章を書く際に参考にしたいと思う。
箇条書きされていたり、図解されていた点を引用する。
社会人も学生さんにも参考になることと思う。
文章作成のプロセス
書くための4つのステップ
1.考える − 頭の中で書くべきことを定める
2.メモを作る − 考えたことを視覚化する
3.文章化する − 読み手にわかりやすく、正確に書く
4.推敲する − 文章を客観的な目で眺める
これらのポイントはつぎのようなことだ。
1.頭の中に思いついたことをメモに書き出す
2.それを見て考えの浅さを痛感する
3.頭のなかでより深く考える
4.メモを修正したり、書き足したりする
書くためのレシピ
頭のなかで考えたことを整理するために、
書くためのレシピを提案している。それが次の内容だ。
1.「何について書くのか」(テーマ)
2.「どの文書を書くのか」(文書の種類) 例:小論文
3.「どんなことを書くのか」(内容) 例:問題点/背景/意見/論拠
4.「誰に書くのか」(対象)
5.「何のために書くのか」(目的)
<一次目的> →読み手に思いや行動を伝えること
<二次目的> →読み手に理解・共感してもらい、行動を促すこと
<まとめ>
6.「どう書くのか」(方法) →客観的、尾括型
これらの事項をもう少し掘り下げて、説明している箇所がある。
あらためて、整理して考えたことがなかったため、それも引用する。
文書の種類と盛り込む項目
文書の種類 | 内容に盛り込むべき項目 |
---|---|
レポート(実験/調査/観察) | ・目的(実施の動機・背景) ・仮説(結果の予想)・方法 ・結果 ・考察(結論・反省) |
小論文 | ・論点(問題点) ・背景(問題に対する理由) ・意見(結論) ・根拠(論拠) |
読書感想文 | ・その作品との出合い(その作品を読もうとしたきっかけ) ・その作品の簡単な紹介・その作品を読んで一番強く感じたこと ・強く感じたことに関連ある場面と、それを読んだときの気持ち ・関連のある自分の体験 ・作品を読んだ意味(自分の中で作品を読む前と変化したこと) |
報告書 | ・報告すべき項目と事実 (項目例)日程・場所・参加者・費用・売上・打ち合わせ内容・経過・状況 ・事実の分析(問題点・今後の予測) |
企画書 | ・企画名 ・企画の意図(目的) ・企画の背景(理由) ・企画の概要(内容) ・予算案 ・スケジュール案 ・企画の効果(メリット) |
提案書 | ・現状と問題点 ・原因および背景 ・改善策 ・有効である根拠 ・期待される効果 |
手紙 | ・前文<頭語−時候の挨拶−先方の安否−自分の安否(−感謝・おわびの言葉)> ・主文<起辞−本文(用件)> ・末文<結びの挨拶−結語> ・後付<日付−署名−宛名> |
文章を書く「目的」
一次目的
・知識や情報や経験を記録すること
・思いや考えを記録すること
・読み手に知識や情報や経験を伝えること
・読み手に思いや考えを伝えること
・読み手に作品世界を味わってもらうこと
※本書では、「状況」や「経緯」なども「場の情報」という意味で、「情報」に含めます
二次目的
・自分があとで利用できるようにすること
・他人があとで利用できるようにすること
・読み手に理解してもらうこと
・読み手に共感してもらうこと
・読み手に感動を与えること
・読み手に理解・共感してもらい、行動を促すこと(「業務日報」以外のビジネス文書では、これを期待されることが非常に多い)
この、一次目的、二次目的の考え方は、ブログなどを書くときにも、
とても参考になる考え方だと思う。
文章の展開法
「起承転結」や「序破急」は、文学的な文章で使われる展開の仕方で、
自分の考えを相手に伝える、提案書や小論文には、
「頭括型」「尾括型」「双括型」の三つから選ぶといいらしい。
文章の展開の仕方
「頭括型」
意見・結論 → 根拠・裏付ける事例(複数)
「尾括型」
根拠・裏付ける事例(複数) → 意見・結論
「双括型」(サンドイッチ型)
意見・結論 → 根拠・裏付ける事例(複数) → 意見・結論
ビジネス文書には、「頭括型」「双括型」がいいようだ。
つまり、意見や結論を先にということだ。
メモの作り方
考えを深めて、中身を具体化させるためのメモの作り方は次の内容だ。
メモの作り方
1.テーマを意識
「何について書くのか」(テーマ)をはっきり意識する。
2.書き出し
そのテーマについて自分自身が知っていること、経験したこと、考えたこと、および、関係がありそうだと思うことを、思いつくまま、自由に書き出す。
また、集めた資料や情報からも、必要だと思う事柄をどんどん書き出す。文になっている必要はない。
3.グループ化
書き出したことを、一つの概念でまとめられるものや類似性を持つものごとに、グループ化する。このとき、グループごとに名前をつけると、あとで整理しやすくなる。
4.取捨選択
「内容に盛り込むべき項目」に基づいて、どのグループを取り上げるのかを決める。このとき、不要なグループは必ず捨てる。
5.順番・流れを作る
グループごとの関係を考えて並べる順番を決める。たとえば、因果関係がある場合に論理を意識して、筋道立て並べる。もちろん、この時点で、論として弱くなりそうな部分がある場合には、再考したり、調べたりして補強する。その際、予想される反論についても考えておくと補強がうまくいく。
問いのストックを持つ
メモをするために、問いを正しく立てるということも重要なようだ。
専門的な知識がないこと、未知な領域などで応用できそうだ。
考えを深めるためには、まず問いをしっかり持つことから始めたい。
問いのストック
問いの種類 内容 過去・現状 今どうなっているのか/そのときどうなっていたのか 問題点 何が問題か/問題点はどこにあるのか 原因 なぜそうなったのか/何が原因か/理由は何か/何が背景にあるのか 所在 誰が問題にしているのか/どこで問題になっているのか 期待される効果 どうしたいのか/どうなってほしいのか 方法・選択肢 どうすればよいのか/どんな方法があるのか/どんな選択肢があるのか 類例 似た問題はあるのか/その解決策はあるのか 根拠 なぜそうするとよいのか/なぜそうしてはいけないのか 効果・リスク どんな効果があるのか/どんなリスクがあるのか メリット・デメリット どんなメリットがあるのか/どんなデメリットがあるのか 成否の判断 どうなれば成功なのか/どうなれば失敗なのか 基準 どこに基準があるのか/基準は何か
文章を早く書き上げるための思考の整理方法は、
こうしたちょっとしたテクニックの積み重ねによって、
随分とスピードが上がるように思える。
時速何文字ということよりも、思考をアウトプットするためのスピードアップ、
そういうとらえかたをしていくと、とても重要なエッセンスがたくさんつかめた。
無意識にやっていることもあれば、知らずに来たこともある。
メモ一つでも、再利用のためにものだと思えば、
書くこと一つ一つに意味があるのだと思った。
少しでも習慣化できるように取り入れたいものだ。
では、また。