文章を早く書く技術

こんにちは、検索迷子です。


公私ともに文章を書く機会が多い。
そして、このパソコンが普及したなかでも、
手書きで即座に文章を書く機会も意外とある。


それは、たとえば何かの資格試験での小論文だったり、
転職する際に作文がある企業があったり、
何かの講座を受講した際の感想文だったり、
ちょっとしたレポートの作成だったり、
時には手書きでの手紙だったりする。


いずれも、制限時間や分量が決められていることが多く、
それなりに苦労をしてきた。
特に、分量については何文字以上や、A4何枚相当といった、
それなりに多く、スピード換算がしにくい一定量を手書きで書くということが、
思いのほか大変なのである。


パソコン環境でのコピーやペーストに慣れてしまった現在、
一度書き出したものを後から書き直しがきかないというのは、
かなり緊張感を強いられる。


とりあえず、何か文字を入力すればいいというのではなく、
手書きの場合は、最初に全体の構成を考えてから、
あとはその構成を破綻させないよう一気に書き上げるしかない。


文章を早く書くためには、頭の整理のスピードを上げることを痛感し、
『時速1000字で書く技術』後藤禎典(ごとう・よしのり)著を読んだ。
塾の講師である著者は、数多くの文章添削の事例をもとに、
文書を早く書くテクニックを体系化されたようだ。

時速1000字で書く技術

時速1000字で書く技術


本書に記載されていたポイントを、これから文章を書く際に参考にしたいと思う。
箇条書きされていたり、図解されていた点を引用する。
社会人も学生さんにも参考になることと思う。

文章作成のプロセス

書くための4つのステップ
1.考える − 頭の中で書くべきことを定める
2.メモを作る − 考えたことを視覚化する
3.文章化する − 読み手にわかりやすく、正確に書く
4.推敲する − 文章を客観的な目で眺める

これらのポイントはつぎのようなことだ。

1.頭の中に思いついたことをメモに書き出す
2.それを見て考えの浅さを痛感する
3.頭のなかでより深く考える
4.メモを修正したり、書き足したりする

書くためのレシピ


頭のなかで考えたことを整理するために、
書くためのレシピを提案している。それが次の内容だ。

1.「何について書くのか」(テーマ)
2.「どの文書を書くのか」(文書の種類) 例:小論文
3.「どんなことを書くのか」(内容) 例:問題点/背景/意見/論拠
4.「誰に書くのか」(対象)
5.「何のために書くのか」(目的)
  <一次目的> →読み手に思いや行動を伝えること
  <二次目的> →読み手に理解・共感してもらい、行動を促すこと
  <まとめ>
6.「どう書くのか」(方法) →客観的、尾括型

これらの事項をもう少し掘り下げて、説明している箇所がある。
あらためて、整理して考えたことがなかったため、それも引用する。

文書の種類と盛り込む項目

文書の種類 内容に盛り込むべき項目
レポート(実験/調査/観察) ・目的(実施の動機・背景) ・仮説(結果の予想)・方法 ・結果 ・考察(結論・反省)
小論文 ・論点(問題点) ・背景(問題に対する理由) ・意見(結論) ・根拠(論拠)
読書感想文 ・その作品との出合い(その作品を読もうとしたきっかけ) ・その作品の簡単な紹介・その作品を読んで一番強く感じたこと ・強く感じたことに関連ある場面と、それを読んだときの気持ち ・関連のある自分の体験 ・作品を読んだ意味(自分の中で作品を読む前と変化したこと)
報告書 ・報告すべき項目と事実 (項目例)日程・場所・参加者・費用・売上・打ち合わせ内容・経過・状況 ・事実の分析(問題点・今後の予測)
企画書 ・企画名 ・企画の意図(目的) ・企画の背景(理由) ・企画の概要(内容) ・予算案 ・スケジュール案 ・企画の効果(メリット)
提案書 ・現状と問題点 ・原因および背景 ・改善策 ・有効である根拠 ・期待される効果
手紙 ・前文<頭語−時候の挨拶−先方の安否−自分の安否(−感謝・おわびの言葉)> ・主文<起辞−本文(用件)> ・末文<結びの挨拶−結語> ・後付<日付−署名−宛名>

文章を書く「目的」

一次目的
・知識や情報や経験を記録すること
・思いや考えを記録すること
・読み手に知識や情報や経験を伝えること
・読み手に思いや考えを伝えること
・読み手に作品世界を味わってもらうこと
※本書では、「状況」や「経緯」なども「場の情報」という意味で、「情報」に含めます


二次目的
・自分があとで利用できるようにすること
・他人があとで利用できるようにすること
・読み手に理解してもらうこと
・読み手に共感してもらうこと
・読み手に感動を与えること
・読み手に理解・共感してもらい、行動を促すこと(「業務日報」以外のビジネス文書では、これを期待されることが非常に多い)

この、一次目的、二次目的の考え方は、ブログなどを書くときにも、
とても参考になる考え方だと思う。

文章の展開法


「起承転結」や「序破急」は、文学的な文章で使われる展開の仕方で、
自分の考えを相手に伝える、提案書や小論文には、
「頭括型」「尾括型」「双括型」の三つから選ぶといいらしい。

文章の展開の仕方


「頭括型」
意見・結論 → 根拠・裏付ける事例(複数)


「尾括型」 
根拠・裏付ける事例(複数) → 意見・結論


「双括型」(サンドイッチ型)
意見・結論 → 根拠・裏付ける事例(複数) → 意見・結論

ビジネス文書には、「頭括型」「双括型」がいいようだ。
つまり、意見や結論を先にということだ。


メモの作り方


考えを深めて、中身を具体化させるためのメモの作り方は次の内容だ。

メモの作り方


1.テーマを意識
「何について書くのか」(テーマ)をはっきり意識する。


2.書き出し
そのテーマについて自分自身が知っていること、経験したこと、考えたこと、および、関係がありそうだと思うことを、思いつくまま、自由に書き出す。
また、集めた資料や情報からも、必要だと思う事柄をどんどん書き出す。文になっている必要はない。


3.グループ化
書き出したことを、一つの概念でまとめられるものや類似性を持つものごとに、グループ化する。このとき、グループごとに名前をつけると、あとで整理しやすくなる。


4.取捨選択
「内容に盛り込むべき項目」に基づいて、どのグループを取り上げるのかを決める。このとき、不要なグループは必ず捨てる。


5.順番・流れを作る
グループごとの関係を考えて並べる順番を決める。たとえば、因果関係がある場合に論理を意識して、筋道立て並べる。もちろん、この時点で、論として弱くなりそうな部分がある場合には、再考したり、調べたりして補強する。その際、予想される反論についても考えておくと補強がうまくいく。

問いのストックを持つ


メモをするために、問いを正しく立てるということも重要なようだ。
専門的な知識がないこと、未知な領域などで応用できそうだ。
考えを深めるためには、まず問いをしっかり持つことから始めたい。

問いのストック

問いの種類 内容
過去・現状 今どうなっているのか/そのときどうなっていたのか
問題点 何が問題か/問題点はどこにあるのか
原因 なぜそうなったのか/何が原因か/理由は何か/何が背景にあるのか
所在 誰が問題にしているのか/どこで問題になっているのか
期待される効果 どうしたいのか/どうなってほしいのか
方法・選択肢 どうすればよいのか/どんな方法があるのか/どんな選択肢があるのか
類例 似た問題はあるのか/その解決策はあるのか
根拠 なぜそうするとよいのか/なぜそうしてはいけないのか
効果・リスク どんな効果があるのか/どんなリスクがあるのか
メリット・デメリット どんなメリットがあるのか/どんなデメリットがあるのか
成否の判断 どうなれば成功なのか/どうなれば失敗なのか
基準 どこに基準があるのか/基準は何か


文章を早く書き上げるための思考の整理方法は、
こうしたちょっとしたテクニックの積み重ねによって、
随分とスピードが上がるように思える。
時速何文字ということよりも、思考をアウトプットするためのスピードアップ、
そういうとらえかたをしていくと、とても重要なエッセンスがたくさんつかめた。


無意識にやっていることもあれば、知らずに来たこともある。
メモ一つでも、再利用のためにものだと思えば、
書くこと一つ一つに意味があるのだと思った。
少しでも習慣化できるように取り入れたいものだ。


では、また。