簡潔に話をまとめる技術

こんにちは、検索迷子です。


とっさに指名されて、人前で話すことはあまり苦にならないほうだが、
もう少し効果的に相手に伝わる話をしたいと思うことがある。


なかには、とっさに指名されると口ごもったり、
頭が真っ白になる人もいるから、
自分としては、このとっさに話せる瞬発力は、
それはそれでいいのだと思ってきた。


でも、準備をしていない話というのは、なぜか話が、
行きつ戻りつしてしまうような気がしたり、
冗長になったりして切れがよくなくて、
話し始めたもののとりあえずの話でつないでいると思ったり、
こんなことならあまり話さなくてもよかったかも、
という感が否めなかった。


意表をつかれて挨拶を振られて、
そつなくその場を切り抜けることはできても、
それが伝わるかどうかは別物というジレンマのなか、
瞬時に話をまとめる力をつけたいと思っていた。


そう思いながら一冊の本を手にした。
それが、『「頭がいい人」が武器にする1分で話をまとめる技術』
樋口裕一(ひぐち・ゆういち)さんの本だ。

「頭がいい人」が武器にする 1分で話をまとめる技術

「頭がいい人」が武器にする 1分で話をまとめる技術

1分で話をまとめるメリット


本書によると、頭がいい人ほど、話は短い傾向が強いらしい。
そして、三分間スピーチは、ふつうの会話としては長く、
相手を引き付けられる話術を持った人はまれだとしている。


1分で話をまとめるメリットとして、次の点があげられている。

相手を引きつける
−新聞のリード文と同じ400文字程度


仕事の効率が上がる
−「締め切り」効果でどんな内容でも短くまとめる技術が磨かれる


考えの質が上がる
−主張したい内容に優先順位をつけるクセがつく


論理力が磨かれる
−短い話の中で筋道を立てる思考訓練になる


コミュニケーション能力が磨かれる
−意見を小マメに交換して、さらに良い意見が生まれる

その結果、頭がどんどんよくなる、ということのようだ。

なにが話をわかりにくくしているか


話がどうして、わかりにくいのか次のなかに気づきがあった。
あ、自分はこれが原因だったのだと発見できたことで、
改善ポイントが見えてきた気がする。

話を長く、わかりにくくしている9つの盲点

1.相手に気を遣うあまり、言いたいことが言えなくなる。
特徴:「なるほど」「おっしゃるとおり」「そうですね」を多用する


2.具体例を言ううちに、話がズレてしまう
特徴:「そういえば」を多用する


3.イエス・ノーを決められず、何を言いたいかわからない
特徴:「確かに〜しかし…しかし…」を多用する


4.何をしゃべっても、すぐ得意ネタ、自慢話になる
特徴:「そもそも」「自分の場合は」を多用する


5.前提となる説明をすっ飛ばす
特徴:「それで」「そして」を多用する


6.相手がわかっていることをクドく説明する
特徴:「だから」を多用する


7.細かいことを正確に伝えないと気がすまない
特徴:「まず」で始まり、本題まで時間がかかる


8.言い訳が多い
特徴:「と思われるかもしれませんが」を多用する


9.へりくつを言う
特徴:「だからこそ」を多用する

それぞれのタイプに具体例が記載されているため、
自分の会話癖を知ることが簡潔さへの近道のようだ。


わかりやすい説明へのステップと技術


思考の整理の方法として、4つのステップが紹介されている。

4ステップ話法

ステップ1.相手の立場を確認する(的外れな話をするのを防げる)
ステップ2.相手の不安を探る(相手が何に反対しているかチェック)
ステップ3.自分のスタンスを決める(話がズレるのを防げる)
ステップ4.話の構成を決める(A型、B型、C型のいずれかを使って説得する)(わかりやすく意見を主張できる)


それぞれのステップで補足されている内容がある。

ステップ1.での相手の立場を確認する方法では、論点の見つけ方を紹介している。

相手の主張を聞く技術「3WHAT・3W・1H」


3WHAT
・何を意味しているのか(定義)のWHAT
・現在、何が起こっているのか(現象)のWHAT
・今後、何が起こるのか(結果)のWHAT


3W
・なぜ起こっているか(理由・背景)のWHY
・どこで? よそではどうか(地理的状況)のWHERE
・いつから? かつてはどうだったろうか(歴史的状況)のWHEN


1H
・どうやって? どう改善するか(対策)のHOW


この「3WHAT・3W・1H」を使えば問題点がカンタンに整理できる


さらに、説得力のある話の展開方法の3パターンについては、
次のいずれかから選ぶといいということだ。

説得力のある話は、こうつくる!


A型(言いたいことをズバリ言う)
結論「…だ」「…だと考える」 → 根拠・理由「なぜなら…」「だから…」


B型(相手を少しずつ納得させる)
根拠・理由「…という状況だ」 → 結論「したがって…」「このような理由で…」


C型(相手を立てつつ自分の意見を主張する)
問題提起「…だろうか」 → 意見提示「確かに〜」「しかし…」 → 展開「なぜなら…」 → 結論「したがって…」

これらを、相手にあわせて効果的に使えるといいようだ。


また、C型の四部構成の手法は、相手の話を聞くときや、
小論文にも応用できる方法なので、覚えておくといいだろう。

問題提起「このテーマについて述べると伝える」
→ 意見提示「自分はこういう意見ですと表明する」
→ 展開「なぜその意見か理由を説明する」
→ 結論「再度、自分の意見を表明する」

説得トークの裏ワザ


複数の裏ワザが紹介されているが、そのなかのいくつかを紹介する。

仮想敵をつくって、常識の否定をする


この仮想敵は、世の中の「常識」と言ってもいい。世間の人たちが「常識」と思っていることについて、「そうではない。本当はこうだ」と訴える。これを誰もが納得するかたちで、わかりやすく示すことができれば、本なら売れるし、会話なら興味をもって聞いてもらえるのだ。

「理由は3つある」という効用


この三つは、基本的に「弱いもの」から順番に話すことだ。
インパクトを与えようとすると最初に強いものをもってきたくなるが、これだとあとがつらくなる。自分でも話が尻すぼみになっているのを感じるから、しやべり方にも自信がなくなる。逆に最後にいちばん強いものをもってくれば、最後まで自信をもって話せる。
また、最初に強いものを言うと、つい、「ここで相手を引きつけよう」と力が入って、話が長くなりやすい。相手を退屈させるもとだし、長い話→短い話→短い話というのは、聞いていて落ち着きが悪い。
最初は短く、次は少し長くなって、最後にドーンと鳴り物入りで長く話したほうがいいのだ。

話の「間」は、少し長めにあけてみる


話すスピードが速いかゆっくりしているかは、早口で話すかどうかより、むしろ「間」の問題と考えたほうがいい。たとえ早口でなくても、文と文の間に「間」を置けば、ゆっくり余裕をもって話しているように聞こえる。
「間」は、相手の頭の中で、こちらが話したことを「醸成」する時間だからだ。一つ話したあと、ちょっとでも「間」があれば、相手はいま聞いた内容について考えることができる。
考える時間を与えられないまま聞く話は、どこかダマされている気がするものだ。一方、考える時間を与えられれば、一つひとつ納得して聞いている気になれる。

ここで紹介したものの他にも、
日常的にどのように論理力を鍛えていくか、
どのような思考法でメディアに接するかなどのヒントが多数ある。


話をまとめるということは、
常に意見を求められたときにアウトプットができるよう、
日常からの予習が大事ということのようだ。


意見を持っていないことは言葉にはできない。
だから、テクニックに走ろうとしても、肝心な内容がなければ、
1分で話をまとめることはできないだろう。
いつも考えていることを、いざというときに短時間で効果的に伝えられるよう、
普段からの考える力が大切なのだと思った。
たくさんの言葉のストックがなければ、絞ることもできないのだ。


1分で話すことを意識しながら、スピーチをしてみよう、
そう心がけていくだけでもちょっとした変化がありそうだ。
短く話すのって、奥が深くて難しいとつくづく思った。
できることから話のなかに取り込んでいこう。


伝えたい一言が、多くの言葉に埋もれる。
伝えたい思いのあまり、そのワナにはまっていたかもしれない。
言いたいことは何かを、もっと考えて話そうと思う。


では、また。