購買の心理的トリガー

こんにちは、検索迷子です。


今、このタイミングで地震以外の話題を書くのは、とても抵抗がある。


でも、人として生きていこうという希望を何かにつなげるため、
知的好奇心を失くしたくない、
失くして欲しくないという気持ちになった。
だから、今日はあえて違う話題を書いてみようと思う。


購買の心理的トリガー(引き金)を知る本


ジョセフ・シュガーマン著の
シュガーマンマーケティング30の法則 お客がモノを買ってしまう心理的トリガーとは』を
読んだ。

シュガーマンのマーケティング30の法則 お客がモノを買ってしまう心理的トリガーとは

シュガーマンのマーケティング30の法則 お客がモノを買ってしまう心理的トリガーとは


ジョセフ・シュガーマンは、自社である通信販売会社JS&Aで、
信販売広告のコピーライターを30年以上経験してきた人である。
そのため、本書は実体験に基づいた事例や文例、効果が記されている。
文章のタッチも親しみやすい。


新聞広告や、インフォマーシャル(訳注・テレビの時間枠を買い、あらかじめ録画・
編集したものを流す)を通じて、
数多くの、お客様の心に働きかけ、心を動かし、ついに購入を決定させる、
心理的トリガー(引き金)や、その言葉の力を伝えてくれている。


本書を知るきっかけは、弁護士の谷原誠さんの著書『弁護士が教える気弱なあなたの交渉術』の
巻末に紹介されていたのを見たためだ。そちらの本は過去のエントリーに記載している。
気弱な人の交渉術

谷原さんの紹介によると本書は、
マーケティングの本ではあるが、交渉術の考え方としてとても参考になる。
セールスに関わらない人でも読み応えがある一冊となっている。
実際に読了して、確かにそう思う点が多かった。

シュガーマンマーケティング30の法則


本書で取り上げられている30の法則を引用していく。
30のエピソードの章末に記載されているトリガーと、
アクションステップを記載する。

シュガーマンマーケティング30の法則


心理的トリガー1.一貫性の法則
いったん購買決定をしたお客は、「ついで買い」をするなど、最初の購買行動と一致した行動を取り続けようとする。

アクションステップ
・買い手が購入を決めた瞬間に、ほかの商品を勧めよう。
・電話セールスでは、注文を受けたあと、すぐに別の商品を売り込もう。
・対面販売では、今買ってもらった品の付属品やそれに類した商品も一緒に買ってもらおう。

                                                                      • -

心理的トリガー2.適切なアピールポイント
どの商品にもそれぞれ特有の性質や個性があり、お客が共感できる特徴がある。商品特性を認識し、お客との接点を見つけることができれば、売るための手掛かりになる。

アクションステップ
・あなたの商品を買いたくさせるような主な理由を感情と合理性の両サイドから見極め、その理由を前面に打ち出すセールスを組み立てよう。
・お客があなたの商品に興味を示すのは、どんな理由からか考えよう。

                                                                      • -

心理的トリガー3.顧客の特徴
お客を知ること。何がお客を買う気にさせるのか、あなたの商品を買う感情的・合理的理由が分かれば、売れる手掛かりをつかんだも同然となる。

アクションステップ
・あなたの商品のどんな点が重要なのか、お客から聴き出そう。
・さまざまなアピールポイントを使ってテストを行い、最も効果のあるものを選ぼう。

                                                                      • -

心理的トリガー4.欠点の告知
あなたは商品特性を把握し、お客を理解し、すばらしい商品を持っているとしよう。しかし、もし致命的な欠点があるのなら、広告コピーや売り込みで、あなたの商品の欠点や難点を真っ先に伝えなければならない。

アクションステップ
・あなたの商品の中で、一般的にマイナスとされる特徴を判断し、セールスの早い段階で取り上げよう。

                                                                      • -

心理的トリガー5.抵抗感の克服
広告コピーまたはセールスの初めに、お客の感じる抵抗感を取り上げたら、次にそれを克服すること。克服なしには、お客は買うべきでない理由を強く持ったままになる。

アクションステップ
・お客の抵抗感が実は大した問題ではないことを証明しよう。
・商品の長所、もしくは商品の長所に比べれば短所など取るに足らないことを示そう。

                                                                      • -

心理的トリガー6.巻き込みとオーナーシップ
お客に話し掛けるときは、あたかも相手があなたの商品を所有しているかのように話す。お客の想像力をかき立て、購買プロセスへの参加意欲をそそる。

アクションステップ
・広告ではお客がすでに商品を使用しているか所有しているかのような表現を用いてみよう。たとえば、「この手触りを感じてください」など「感覚」に訴えてみよう。
・人的販売では、商品に関係するものを手に取る、チャンネルを回す、試乗する、タイヤを蹴飛ばすなど、お客に体験してもらおう。

                                                                      • -

心理的トリガー7.誠実さ
あなたは約束を守っているだろうか? あなたの言葉は本当にあなたの行動を表しているだろうか? あなたの行動はあなたの言葉と一致しているだろうか?
言行一致はすべてにおいて決定的に重要なことだ。対応に誠実さがないと微塵にでも感じたらお客が買ってくれる可能性は低い。

アクションステップ
・絶対に嘘をつかず、言行を一致させよう。
・お客の満足を左右する可能性のある事柄は、決して隠さないようにしよう。

                                                                      • -

心理的トリガー8.物語(ストーリー)
子どもの頃から慣れ親しんできたために、人は皆物語が好きである。物語はセールスに人間味を与え、あなたとお客をつなぐ役割を果たす。

アクションステップ
・あなたの商品やサービスをお客が使っているシーンを想像してみよう。
・使っているシーンのうち、お客がピンときそうなものを物語に選ぼう。

                                                                      • -

心理的トリガー9.権威
購買決定をする際、お客は誰もが権威に頼りたがる。その分野の専門家とされる人や企業から商品を買うことができれば、お客にとって大きな価値となる。

アクションステップ
・あなたの会社がどんな専門領域に権威があるのかを見極め、専門性をお客に伝えよう。
・規模、実力、設備、あるいは勤勉さといったものを含め、どんな優位性があっても、権威あるものとしてお客に見せよう。

                                                                      • -

心理的トリガー10.お買い得感
どんなに金持ちのお客であっても、本当に値段相応のものを提供されているかどうか知りたいと思っている。ほかの商品との嘘のない比較や、どれだけ節約できるか、あるいは単純に値引きしたことなどを強調する。

アクションステップ
・類似商品と比較してお買い得感を与えよう。正直な比較をし、なぜお値打ちなのかの裏付けをきちんとしておこう。

                                                                      • -

心理的トリガー11.感覚
セールスでは、感覚で売り理屈で納得させる。どんな言葉にも感覚的意味合いがあり、どんな言葉も感覚的なストーリー性を持つ。

アクションステップ
・お客があなたの商品を買いたいと思う感覚的な理由を考え、広告コピーやセールスで表現してみよう。
・これまでの広告コピーやセールスを見直し、情熱的な言い回しを考えてみよう。

                                                                      • -

心理的トリガー12.理屈による正当化
感覚がお客の買うきっかけならば、理屈は納得するためのもの。多くの商品やサービスでは、なぜそれを買うべきかという論理的理由をお客に与える必要がある。技術的優位性や節約、効率性などの特徴を強調する。

アクションステップ
・お客に買いたいと思わせる感覚的理由ができたら、適切な判断だという理由を説明して買い物を納得してもらおう。

                                                                      • -

心理的トリガー13.強欲
世界で商売というものが始まって以来、人を説得する際に利用されてきた感覚的で基本的な要素が「強欲」。人は自分が受け取る資格があると思う以上のものを欲しがる。商品の価格を下げ、商品に対して感じる価値を高めると物は売れる。

アクションステップ
・あなたの扱い商品の価格を、できるだけ割安に感じられるようにしよう。
・見かけの価値を高めて、お客の欲求を高めよう。

                                                                      • -

心理的トリガー14.信頼性・信憑性
あなたのメッセージに信憑性に欠ける部分があったら、お客に気づかれる可能性は大きい。どんなときも本当のことを誇張し過ぎず、全面的に信じてもらえるようにする。

アクションステップ
・あなたのひと言ひと言が、正確であるかどうかチェックしよう。
・もし裁判で自分の言ったことを、すべて自分で弁護しなければならなくなったとしたら、あなたは無罪になるか、有罪になるかを考えてみよう。

                                                                      • -

心理的トリガー15.満足の確約
満足の確約とは、お客に「私はあなたが満足することを確信しているので、たとえ自分のお金を使ってでも、そんなにしてもらったら損をするのではと、逆にあなたが心配するくらいのことをして差し上げます」という意味をメッセージなどで伝える。

アクションステップ
・あなたが商品やサービスを売っているのはそれが非常に優れているからであり、そうでなければ売らないとお客に思ってもらえるほどの満足の確約とは何かを考えよう。

                                                                      • -

心理的トリガー16.リンキング
あなたの売ろうとしている商品やサービスと、消費者がすでによく知っているものとを関連づければ、お客はあなたの商品を理解しやすくなり、自分との接点を見つけやすくなる。リンキングは商品とそれに付加価値を与えるものとをダブらせたり、流行に便乗したりするときに使う。蓄積してきた経験や知識を、日常的に接しているものとを結びつける。

アクションステップ
・あなたの商品やサービスに付加価値を与えてくれるようなリンクをいくつか挙げてみよう。
・あなたの商品やサービスを、お客がすでに知っているものと重ね合わせてみよう。

                                                                      • -

心理的トリガー17.帰属欲求
人が特定の商品やブランドを買うのには、ブランドをすでに所有している人たちの仲間入りをしあいという強い心理的理由がある。商品の所有者グループを見てそのブランドに共感する人々がいる。

アクションステップ
・あなたの商品の所有者グループを特定し、なぜ彼らがその商品に共感しているのか見極めよう。
・所有者グループから得た情報を活かすセールスを組み立てよう。

                                                                      • -

心理的トリガー18.収集欲求
人間の心理には、収集したいという強い衝動がある。切手集めやコイン集めといった明らかな収集品に限らず、どんな商品も収集品になり得る。

アクションステップ
・あなたの商品を一番買いそうなお客が、同じような商品を買う可能性の高い見込み客でもあることを認識しよう。
・お客の中に潜む収集衝動を調べよう。

                                                                      • -

心理的トリガー19.切迫感
説得したにもかかわらず、お客にもう少し考えたいと言われたら、その客を逃がした可能性が高い。どんな最高のセールストークも時間とともに風化し、遠い記憶と化してしまう。購買をうながすには切迫感を使い、先送りさせないこと。

アクションステップ
・なぜあなたの商品やサービスをすぐに手に入れなければならないのか、具体的な理由を考えよう。
・お客に動機付けや今すぐ買ったほうがよい理由を与えて働きかけよう。

                                                                      • -

心理的トリガー20.限定
自分以外にはわずかな人しか持っていないものを所有するというのは、人間の強い動機付けの1つとなる。収集品や限定版、短期生産、超高級品などは少数の人しか所有できないため、どれもお客に買いたいと思わせる強い動機付けとなる。

アクションステップ
・より限られたものにするために商品の供給を制限し、そのことをお客に知らせよう。
・限定の度合いを高めるためには、サイン入り商品にしたり、数量を抑えた商品をほかの商品の供給量と比較したりして、商品の価値を示そう。

                                                                      • -

心理的トリガー21.単純明快さ
単純明快さは極めて重要で、提案が持つ複雑さの分だけ販売効率は下がる。提案をシンプルにするということは、ひと言で言えば、お客に代わって選択をしてあげること。

アクションステップ
・提案をシンプルにするために省けるものは何かを考えよう。
・最終的な提案は誰でも理解できるほど単純明快か、お客の選択を助けるためにできることはないかを考えよう。

                                                                      • -

心理的トリガー22.罪悪感
うまみを得ようとする人は、たいてい腹の底では「人に何かを与えれば、自動的にギブ・アンド・テイクの関係が生まれる」と考えている。これは罪悪感に基づくもので、相手はもらった以上にお返しをしてくれる。

アクションステップ
・あまりお金をかけずに見込み客に罪悪感やギブ・アンド・テイクの必要性を植えつけるには、何を送ったり、あげたりできるかを考えよう。
・お客が恩を感じ、買いたくなるようなすばらしいサービスを提供するにはどうしたらいいかを考えよう。

                                                                      • -

心理的トリガー23.具体性
具体性のあるコピーは非常に信憑性が高い。ありきたりの宣伝文句では一般的過ぎて単なる賛美と簡単に片付けられてしまう。具体性を用いることによって、より魅力的で信頼性のある提案が可能になる。

アクションステップ
・コメントには具体性を持たせる。そのために、事実を調べてディテールを作ってみよう。

                                                                      • -

心理的トリガー24.親近感
人はブランドネームや商品、または商品を販売している会社になじみがあれば買う可能性が高くなる。お客があなたの商品ブランドや会社になじみがあればあるほど、あなたの言うことを受け入れて買おうという気になる。

アクションステップ
・宣伝を繰り返したり認知度の高いデザインを使うなどして、お客にとってなじみ深い会社にしよう。

                                                                      • -

心理的トリガー25.パターンニング
似たような商品を売った成功経験のある人々がいたら、彼らがどのような手を使ったのかを探り、自分の手本にしてみる。単に真似るのではなく、自分なりの新しい方法を開拓する。

アクションステップ
・あなたの業界で最も成功している人々を見つけ、どんなところが優れているのかを研究してみよう。
・彼らの手法を用いて、自分なりの独自のひねりを加えてみよう。

                                                                      • -

心理的トリガー26.期待感
あなたの商品に何かを期待させる力があれば、お客に買わせる非常に強い動機付けになる。お客がやりたい、なりたい、持ちたいと思うあらゆることは、すべて期待という力によって生じている。

アクションステップ
・あなたの商品に将来的利益があるという期待をお客が持つとしたら、どんなものがあり得るか考えよう。
・利益の保証はできないが、商品を買うだけで得られるかもしれない可能性を伝えよう。

                                                                      • -

心理的トリガー27.好奇心
セールスの冒頭で読み手や視聴者を広告メッセージに釘付けにするために活用する。お客が最後まで興味を持ち続け、参加し続けるようにする。

アクションステップ
・セールスの導入部で「好奇心の種」を使い、あとで種明かしをすることを約束して、お客に注意を払い続けさせよう。

                                                                      • -

心理的トリガー28.市場とのマッチング
お客やお客のニーズに合わせること。お客が必要としないアピールポイントをアピールしない。あなたの正確で信憑性のある言葉にお客を同意させ、首を縦に振ってもらう。

アクションステップ
・広告メッセージのひと言ひと言を吟味し、お客に同意されるか受け入れられることを確認しよう。
・「ノー」の答えを導きそうな文章は1つ残らず取り除くか、書き替えよう。

                                                                      • -

心理的トリガー29.考えさせる力
セールストークを分かりやすくし過ぎず、お客に頭を使わせることにより、結果的にあなたのメッセージに対する好印象を残すことができる。

アクションステップ
・お客に一から十まで説明し、慇懃無礼ととられるような話し方は避けよう。
・お客の脳4つの領域(思考、直感、感覚、感情)をすべて刺激し、販売プロセスに巻き込もう。

                                                                      • -

心理的トリガー30.正直さ
すべての心理的トリガーの中で最も強力なものの1つ。嘘を隠そうとしてもお客が本当のことを感じ取ればセールスは台なしになる。いつでも本当のことを話すこと、無防備なまでに正直であることで、お客を味方にすることができる。

アクションステップ
・あなたのセールス・メッセージを見直し、言っていることがすべて本当かどうか確認してみよう。

引用は以上だが、個別の意味合いについては箇条書きとして覚えるのではなく、
本書内のエピソードとともに読むと納得感が深まるだろう。

31番目の心理的トリガー

さらに監訳者である、佐藤昌弘さんが巻末の解説で、
日本人ならではの商習慣により、もう1つのトリガーを追加している。
それは、「思いやる力」ということだ。


日本人は言い訳や自己主張、断わることさえ下手だからこそ、
それをしなくていい配慮が大切ということのようである。


販売の仕事に関与していようといまいと、
私たちは誰かに何かを伝えて、何かを成し遂げていく。
どう伝えれば伝わるのかを考え続けることは、
どんなときにも大切になってくるのだ。


何か1つでも、取り入れられるものから活用してみたいと思う。

では、また。