引き合う縁の力

こんにちは、検索迷子です。


あることを決めるのに、複数のところから打診を受けた。
条件などを加味して選択するつもりで、
全てが出揃うのを待とうと思っていた。


ところが、一番最初に連絡をくれたところが、
今、この場で即決してほしいと言ってきた。
その後の段取りまで万全で、自分がイエスと言うだけの状態だった。


これは正直、焦った。
参ってしまった。
条件の確認だと思って訪問していたのが、
それが最終決断の場だという心の準備ができていなかった。
関係者との調整もあり、まだ時間の猶予が欲しいところだった。


切り口を変えて、何度も今日でなければだめかを聞き、
もし、今日決めなければどうなるかということも聞いた。
それでも、断らないで欲しいと言われて、
熱烈なアピールを受けた。
社内のほかの人も登場して、プレゼンまで受けた。


あまりに強引な進め方に当初は閉口し、
脅迫めいたものすら感じ、不信感を持った。
だけど、熱意をアピールされるに従って、
それほどまでに思いを伝えてくれて、
自分と関わっていきたいと思ってくれるならば、
信じてみようと思った。


相手の方から、これはもう結婚みたいなものなので、
縁を信じてくださいと言われた。


関係者に電話をさせてもらう猶予はあったものの、
もはや会議室から出られる状態ではなくなり、
本当に今ここで決めるしかなくなった。
自分一人で決断するしかなくなった。


困り果てて、数分悩んで、
そして、口から出た言葉は、
お受けします。よろしくお願いします。
だった。


この言葉を口にしたことに責任を持とうと思った。
言っていいんだよねと心に問いかけた。
そして、もう引き返せない、前に進もうと思った。


契約書類を差し出されて、
サインをする手が震えた。
これで、決まったのだなと思った。


もともと、かなりの確率でそこを選ぼうと思っていたが、
全部のところを押しなべて再検討するつもりだったのが、
一転して、あっという間に決断を迫られた。
こういうときこそ、時間がないからこそ、
本心というものが出るのかもしれないなと思った。


他社との交渉をしてきたなかで、
一番後発でありながら、一番最初に条件提示をしてきた。
そういう勢いもあった。
だけど、これこそ縁の力なのだと思った。


引き合う縁があるからこそ、
自分は今ここにいて、こういう状況なのだと思うと、
その強力な磁石みたいな力、縁を信じようと思った。


引き返せない状況だからこそ、
即決を求められたような気になったが、
他の調整事項を含めたところで、
逆に関係者に気を遣いすぎて、より混沌として、
どこも中途半端だったかもしれないと思うと、
勢いで全てを片付けて良かったのだろう。


縁の力が、どれほど強いのか、
縁の力が弱いところと比較できたからこそ実感できた。


引き合う縁の力は、見えるものではない。
それが幻想だとしても、今、この瞬間は、
それに賭けてみようと思っている。


たとえ偶然だったとしても、
さまざまな判断要素があるなかで、即決できる何かがあった。


そのあいまいだった感情を、
瞬時に発散しなければならなかったとき、
本音が出たのだと思っている。


縁の力がある人はある。
ない人は、タッチの差で縁が切れる。


そういうことを、まるでドラマのような急展開のなか、
縁の力を大事にしていこうと思った。


どんなに密に関わっていても、会う回数が多くても、
タッチの差で縁が切れたところは、
何か違うかもという気持ちだけが残っていた。


会う回数が少なくても、勢いで縁の強力さをアピールする、
そんな存在に会ってみて、その違いは明らかだった。


引き合う縁の力、大切にしようと思った。


では、また。