制約のなかで仕事をする

こんにちは、検索迷子です。


以前、「プレゼン準備に使える書籍」でご紹介した
ガー・レイノルズ著『プレゼンテーション Zen』を読み返していて、
印象的なくだりを見つけた。

プレゼンテーションzen

プレゼンテーションzen

  • 作者: Garr Reynolds,ガー・レイノルズ,熊谷小百合
  • 出版社/メーカー: ピアソン桐原
  • 発売日: 2009/09/04
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
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第2章の創造性と制約の部分に、次のような内容が書いてあった。

P.51
制約の中で仕事をするということ


厳しい制約の中で仕事をすることを強いられたとき、
創造力は最大限に引き伸ばされる。
−−そして最も豊かなアイデアが生まれてくる。
完全な自由を与えられると、
仕事が散漫になる可能性が高い。
−T.S.エリオット

(中略)
ジョン・マエダが著書『シンプリシティの法則』(東洋経済新報社)で
指摘しているように「デザインの分野では、制約が多ければ多いほど、素晴らしいソリューションが生まれるという節がある」のである。
例えば、タイムリミットやそれに伴う切迫感は通常は制約になるが、
マエダは「切迫感と創造的精神は連動している」と言っている。

(中略)
プロのデザイナーから学ぶべきことは以下の2点である。
(1)制約は敵ではなく、心強い見方である。
(2)自らに条件や制約を課すことは、良質で創造的な仕事に欠かせない要素であることが多い。

引用文中に紹介されている、ジョン・マエダ著『シンプリシティの法則』

シンプリシティの法則

シンプリシティの法則


この部分を読んだとき、
先日自分が書いた、制約と自由度のエントリーが、
なんと稚拙で単一的な物の見方なのかと思った。


世の中には、クライアントや上司から、より大きな制約、
桁違いの時間、空間、予算面での要求度合いに応えながら、
創造性を発揮する人たちがいる。


どんな条件であっても、
どんなに追いつめられても、
人の心に届く情報を発信する人たちがいる。


制約とうまくつきあっていくことが、仕事を楽しみ、
成果を生み出せる人となれるのだと思わされた。


自分は長く、マニュアル化が可能な、
大量情報処理系に関与することが多かった。
創造力を発揮したり、独創性のある差別化されたものは、
制約条件からそもそも省き、意識のなかから追い出していた。


でも、そうするとデザイン面での面白さ、
訴求力が弱くなるWebサービスの立ち上げに関わり、
創造力と制約の関係を考えることが増えた。


条件を絞り込むことが制約との付き合い方ではなく、
制約を丸ごと受け止めて、創造性を発揮する方法を、
これからもっと深めていきたいと思う。


ところで、話は少し変わるが、
同じ本を見ていても、目に飛び込んでくる一行がその都度違い、
今、まさにこの一行に出会いたかったという言葉に触れると、
その運命的な出会いに驚くことがある。


偶然飛び込んでくるのか、
意識が集中しているからその一行が見つけやすく、
過敏になっているのかはわからないが、
言葉と出会いは神秘的だなと思う。


つい先日書いたエントリーをいさめてくれるような、
新たな切り口を見せてくれた引用箇所は、
狭くなりがちな視点をぐいっと広げてくれたようです。


では、また。