こんにちは、検索迷子です。
Webサイトを作成するとき、私は、「導線」と「動線」をとても意識しています。
この二つの言葉の違いが、Web業界でどう使われているのか、
調べたことはありませんが、私がいたプロジェクトではこの二つを厳密に使い分けていました。
よく、インターネット広告では、「誘導」という言い方をします。
それはバナー広告やリンク文字列をきっかけに興味関心をもたせ、
購買意欲を刺激して、消費活動につなげるまでの一連の仕掛けだったりします。
このような、営利目的に作成されたものは、
ショッピングサイトなどの目的サイトまで誘導するために、
「導線」を用意していると考えています。
利用者はこのとき、受身で、まさしく誘われるように導かれていく感覚です。
あ、面白そうとバナー広告の画像をぽちっと押す感じです。
気付いたら、買っちゃった!ということです。
対して、「動線」は、能動的な、自発的な行動を伴った、
自ら探して調べに行く行為の助けとなるナビゲーションだと思っています。
実は、その調べる行為のプロセスで、裏には十分仕掛けがあって、
「誘導」されているものであっても、
調べている当人は、自らの意志でリンク先をたどっている気分です。
自らがキーワードを考えて、検索行動して、
自己責任でリンク文字列を押し、探したい場所にたどり着く。
知らないうちに知らない場所にたどり着いた感覚ではなく、
自分が探したものが見つかったという軽い達成感が生まれます。
私は、サイト運営者として、最適な「導線」を考えたとき、
できるだけ「動線」を自ら選んでいけるような、自発性を促すような、
画面遷移や文字列を考えたいと思っていました。
それは、導かれた後、ふと気付けば、
あれ?どこから来たんだっけという迷子になる感覚をなくすためです。
夢中になって、どんどん深い階層にやってきたけど、
元のサイトに戻れない、
そもそもどこから始めたんだっけ、
トップページに戻れない、
ドメインが変わっているけど一体いつ、どこから?
操作をやり直したいけど、もうパニック!
受身でリンクを押し続けてしまうと、
自分の立ち位置を見失ってしまうことがあります。
さっき見つけたあの情報はどこにいったの??と途方にくれることもあります。
見たサイトが見られるらしいけど、その探し方がわからない。。
この傾向は初心者に多く見られるような気がします。
インターネット歴が浅い方は、このような悩みが今このときもあるかもしれません。
私はそういう人たちを混乱させないよう、
柔らかな導線で誘導しながら、
動線として自覚しながら探す行動をして、動いてもらいたいという意識があります。
私は、インターネットを始めたばかりのころ、
さらに言えば、インターネット企業に勤め始めたころでさえ、
実は、戻るボタンを知りませんでした。
また、多くのサイトで現在標準的に装備されている、
サービスID(このブログでいえば、左上のHatenaの文字)や、
ブログタイトル(検索迷子というタイトル)など、
そのページの固有の名称を押せば、
必ずトップページに戻れるということも知りませんでした。
他の人が操作するのを見たとき、
えーそこって押せるの?と衝撃的でした。
どこにも押すって書いてないじゃない、なんでそんなこと知ってるの?と。
どうやってトップページに戻っていたかというと、
毎回ドメインを入力し直していました。
メモ用紙を片手に、
今はここから出発ね、たかたかたか、、、
あー、まちがえたー。今どこにいるのかわからなくなったー。
しょうがないと、メモを見て、じゃ、またドメインを入力して、、と、
とんでもないことをしていました。
同僚が私の操作を見かねて、なんでそんなことやってるの?と驚いて、
戻り方を教えてくれました。
そして、URLを文字列としてきちんと見るようにと教えてくれました。
知らないということは、迷いのなかから抜けられないということです。
検索迷子である私は、戻るボタンは覚えたものの、
ドメインがくるくる変わるのになじめず、
迷ったときいつもトップページに戻って、
いったんリセット状態にしてから、何度もやり直しをしていました。
迷路に迷い込んだら、入口に戻ってしまうかのように。
トップページに戻りさえすればなんとかなると。
その後遺症なのか、今でもトップページに戻りにくいサイトは苦手です。
URLの構造を一応は知っているつもりですが、それでも。
あまり良くない画面構成のサイトは、
魔のページがあり、何度同じことを調べようとしても、
いつも途中で引き返し、振り出しに戻らされてしまう要素があります。
いつもそこで止まってしまう行き止まりのようなページがある。
こういうページを見ると、
どこにいけっていうんだよーと毒づきたくなります。
戻るなら、せめて一画面前にしたい、
どこにいるか、戻れるようにしてあげたいと思うようになったのは、
こんな自分の経験からです。
検索迷子にしないスムーズな導線を考えつつ、
最初から、お客様自身が動線を考えて行動することが楽しくなり、
押し付けではないナビゲートをしたいなといつも思っています。
それは、使いやすさの追求や、
ストレスを感じさせないユーザビリティ向上と対極にあるようでいて、
実は本人のためになると思っています。
インターネットで何か行動を起こすという行為は、
共同作業ではなく、自分一人の作業です。
やさしくしすぎても、だめなのです。
自分一人でできるようにならなければならない面も大きいのです。
そのため、自己解決力を高められるよう、
緩やかな導線でそっと導き、
一人ひとりのスキルにあった、
どんなリンクもうかつに押させず、
押す場所を意志的に選ぶ、
そんな動線行動を支えるサイトを作りたいと思います。
リンクを押してもらいたいと日々考えている、
商用サイトの運営者には向かない考え方かもしれませんね。
本当は、やさしくやさしく導きたいという思いがあります。
過剰なくらい、滑らかな導線にこだわったこともありました。
でも、インターネットの世界には、
残念ながら安全なよい場所だけが存在しているわけではありません。
負の場所に誘導をするフィッシング詐欺や、ワンクリック誘導サイトなど、
だます行為に誘導センスを発揮して人たちも少なからずいるのです。
導線にふりまわされず、動線を意識させる。
それが、私ができるインターネットの使い方の提案です。
今でこそ、ディレクトリパスを読めるようになりましたが、
それでも、うかつにぽちっとして、
慌てて戻るボタンを押している自分がいます。
検索迷子はこうした失敗を重ね、
他の人にはこんな迷子行動はさせたくないなと失敗体験を心にきざみます。
魔のページ、魔のリンクは作るまいと思います。
誘われて周遊するのもインターネットならではの楽しさですが、
調べたいことがはっきりしているお客様には、
一瞬でも早く、解決の出口までナビゲートしたいなと思います。
では、また。