(31)中居正広さんがヒロミさんを慕う理由を、『いい訳しない生き方。』で知る

こんにちは、検索迷子です。


ヒロミさんの著書『いい訳しない生き方。』を読了した。2015年10月、KKロングセラーズ刊。

いい訳しない生き方。

いい訳しない生き方。


この本を読み始めたきっかけは、10年間芸能活動をほとんどしなかった、ヒロミさんのビジネスに対する考え方を知りたかったからだった。でも読み終えてみて、ヒロミさんのお人柄、なかでも中居さんがヒロミさんを慕う理由のようなものがわかった気がして、それに関連するところを紹介したいと思った。


今日は、「剛 しっかりしなさい!」のブログ運営者である、凪(なぎ)さんのコラボブログ 【SMAPとココカラ】(30) Relaxを受けて、コラボブログ第31回だ。「Relax」とは真逆の芸能界の厳しさみたいなものを、この書籍を通して紹介したいと思う。

ヒロミさんの多才さと人脈の広さ

中居さんとのことを書く前に、書籍を簡単に紹介したい。
この書籍、一冊で完結させるのが惜しいくらい、具だくさんで本当に読みごたえがあった。


ヒロミさんの芸能活動の歴史、生い立ちやご家族、芸能界の交友関係、ビジネス、趣味など話題が豊富なのだ。特に登場する芸能人やビジネスマンの豪華さに、ヒロミさんがしっかりと人とつながって生きてこられた様子や、人からの信頼に篤いかただというのがうかがえる。


少し難を言えば、時系列とかテーマが混在してたり、前後の説明がなく本題にいく荒削りさはある。でも、逆にどこかで連載をしてほしいと思うほどに、話題が豊富でもっと読みたいと思わせるパワーのある文章だった。


いわゆる「タレント本」というカテゴリのものは、内容が薄めのものもあるが、この書籍は文体や構成の見やすさ以上に、内容の凄さに圧倒されて、とても濃いいい本だったと思う。

中居さんとヒロミさんの絆がわかる箇所

この書籍のプロローグに、SMAP、なかでも特に中居さんとの関係性について触れているページが3ページにも及んで載っている。


本書には、数多くの芸能人のかたとのエピソードが掲載されているが、割かれているページ数の量ではなく、わざわざ本の冒頭の「プロローグ」に掲載した、とういことがまず、ヒロミさんがいかに中居さんと深い関係性にあるかがわかる。


このプロローグ、4つの小項目からなり、10年間の芸能活動をほとんどいなかった時代からの復帰の戸惑いを書いた2項目のあと、「戻って来てくれて嬉しいっす」という小項目名がある。これは中居さんの言葉からつけられている。ヒロミさんがいかにこの言葉が嬉しかったのかがうかがえる見出しだ。


最初の1ページめに、若かりしジャニーズとのかかわりがあったことが、久しぶりに復帰した際に助かったという話があり、事務所に所属するそうそうたる名前を書いている。そして、そこからSMAPの話になっていく。一部引用する。

プロローグ
「戻って来てくれて嬉しいっす」


(前略)
 今ではアイドルがバラエティー番組に出るなんて言うのは当たり前。その当たり前を作ったのは、やはり中居、香取だと思う。(中略)
 中居はその頃19か20歳くらいだったと思う。SMAPのリーダーとして責任感も強い男で、アイドルの中のアイドル木村拓哉稲垣吾郎草なぎ剛(本文中は、なぎも漢字)はアイドル以外でもドラマなどで活躍していた。そんな中、二人はバラエティーに飛び込んで来たのだ。


と始まり、バラエティー番組への取り組みの真剣さ、反省っぷりを書いていた。そして、ヒロミさんがほとんどテレビに出なかった10年間に、折にふれ中居さんから連絡がきて、番組の感想や復帰をうながす連絡がきた旨をつづっていた。


そして、数年後に中居さんの番組に呼ばれた際の、休憩時間にエピソードが続く。そこでの一言が、「戻って来てくれて嬉しいっす」だった。さらに「俺、司会上手くなりました?」という真顔の質問もされたらしい。そのやりとりのことを、続けて次のように書いている。

 番組の途中の10分間だったが、凄くいい休憩時間だった。
 後日、他の番組で、ジャニーズの先輩にはバラエティーの人はおらず、そんな時、東京のバラエティー班の俺がそばにいたので影響を受けたみたいなことを言っていた。
 彼らの何らかの足しになれたのなら嬉しいことだ。
 戻って来たことをホントに喜んでくれていた感じだった。


控えめに書かれてはいるが、中居さんにこの言葉をかけられたヒロミさんの嬉しさが伝わる、いい文章だと思った。

お世話になった人を大事にする

SMAP、中居さんの名前が出てくるのは上記だけだが、芸能界というものが特別に人とのつながりが強くて、サラリーマンの尺度では測れないのだと思った箇所があった。それが、ヒロミさんが27歳で事務所から独立した際のことを、数か所に渡り書いていたところだ。


本書は2015年に刊行されているため、SMAPの年初の報道とは無縁のものだが、いま現在SMAPが置かれている環境を考えながら読むと、どきりとさせられる。


ヒロミさんが大けがによる長期療養のあと、5年間所属した事務所を辞めることを社長に申し出た際の言葉は次のもので、これを機に自分で会社を興すことになる。

1 決めたら動く、頭で考えない
一気にブームに乗ってブレイク


(前略)
 独立の話を社長と話した時「他の事務所に行くのは駄目、芸能界のルールだ」と言われた。選択肢は自分で立ち上げるしかない。


また、別な箇所では不良といわれる存在のマインドとからめて、お世話になった人との関係、会社の辞め方についても語っている。以下は、中居さんがヒロミさんを慕う理由がこうした考え方にあるのではないかと思わされた箇所だ。

2 いい訳しない人生
不良は義理、筋、忠誠心がある


 おれは不良の方が、やれば、社会には適合しやすいような気がする。
 子供の頃から、上下関係、グループの中の協調性や、周りをよく見て空気を読んで行動することを体で学んでいく。空気を読み間違えると大変なことになるからだ。
 理不尽なことを言われても、ハイって言って、やらなくてはならない。不良のくせにいろんなルールの中で生きていた。(中略)


 俺が不良の何が良いかという一番の理由は、古いけど、義理だとか筋だとか、忠誠心みたいなものは普通の人達よりあるような気がするからだ。
 一度でもお世話になった人は、大事にする。(中略)


 筋、これもわからない人が多い。(中略)
 この筋が大切なんだ。
 仕事でも絶対生きてくる。(中略)
 

 たとえ、会社を辞めることになっても、不義理をしない方がいい。どうせ辞めるんだからいいじゃんって思うかもしれないが、これって男の世界では凄く大事なことで、不義理をする人間は、その後自分も不義理をされる、そんな気がする。(中略)


 何か嫌なことがあっても、辞めるにしても「飛ぶ鳥、跡を濁さず」だ。

裏切られる経験をしたからこそ

ヒロミさんが凄いのは、実はこの考え方だけではない。
ヒロミさんはスポーツジム経営を通して芸能界の経験だけでなく、経営者として「育てた従業員にいきなり辞められる、引き抜かれる」という多数の経験をしている。


そこで、芸能界とサラリーマンの体質の違いを肌身で実感し、自分がルールだと思っていたことが通用しないという痛みを経験しているのだ。その両者の違いを認めつつ、やはり子供時代や芸能界で身につけたルールである、「義理、筋、忠誠心」を何よりも大事にするぶれない考え方で生きていることがわかる。

3 これも社長の仕事
ビジネスの世界は弱肉強食だ


(前略)
 俺の育った芸能界はその辺のルールはしっかりしていた。事務所の独立や引き抜き、ルール違反をすると周りもいいイメージを持たない。きちんと筋を通して円満に、不義理をしないで次へ。育てた、育ててもらったがハッキリしている世界だ。
 でも、一般社会は厳しい。そんなの関係ないのだ。弱肉強食だ、昨日の友は今日の敵。
 これは、勉強になった。芸能界は一人勝ち出来ない世界なので、助ける時もあれば助けられることも沢山あるのだ。
 俺が憧れていたビジネスの世界は厳しい。


あらためて、こうして引用していくと、ヒロミさんは「ルール」という考え方をしっかりと持っていて本書中にもよく登場する言葉だなと思った。中居さんは、こういう軸がぶれないヒロミさんを芸能界の先輩として見習ってきたんだなと思ったり、芸能界ってサラリーマン社会の尺度では測れないほど、人と人との関係性の深さがあるんだなと思わされた。


自分はSMAPと事務所の関係を素人目線で論じるつもりはないし、これまでも書いてこなかったが、ヒロミさんの文章を読んで、自分には想像もできない芸能界の常識を、知ったかぶりで書いてはいけないという気持ちを新たにした。


本書にはもっと紹介したいポイントがあるが、SMAPと関連性の深いところだけを今日は紹介した。もともとヒロミさんが大ブレイク時代にも、頭の回転の速さに好感を持っていたが、50歳を過ぎたヒロミさんの多様な経験による、どっしりとした考え方に好感度がぐんとあがった。やんちゃなイメージだったヒロミさんが、とてもかっこいい男性として生きていて、思った以上にこの本から得るものが大きかった。


ヒロミさんは人を何より大事にし、そういう考え方のかただからこそ、人を大事にする中居さんとも出会うべくして出会い、縁が途切れず、慕われ続けたんだなと思える一冊だった。


人を大事にしてきたからこそ、人に大事にされる存在になっている、そんな当たり前だけどなかなか難しいことに気づかせてもらった。人に大事にされたいと嘆く前に、そもそも、人を大事にしているかと問いかけていこうと思う。


では、また。

コラボブログの主旨

ブログ主旨については、下記にリンク先を掲載している。
【コラボブログ:SMAPとココカラ】(2)SMAPとファンは、もはや一つの組織の最下段、【コラボブログ:SMAPとココカラ】(4)木村拓哉さんの自己犠牲の精神の序盤で紹介している。