こんにちは、検索迷子です。
先日、どんな本が、本なのかと疑問に思って、
読む本の質を見直したいと思う話を書いた。
さっそく、文芸寄りの本を読もうと思い、手にした一冊がある。
みすず書房<<大人の本棚>>『本についての詩集』長田弘(おさだ・ひろし)選だ。
- 作者: 長田弘
- 出版社/メーカー: みすず書房
- 発売日: 2002/11
- メディア: 単行本
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92人、92編の詩から編まれている。
ちなみに、
詞華とは、しか、と読みます。
私は最初、詩歌(しいか)かと文字だけ見て思っていましたが、勘違いでした。
本の紹介のまえに、補足として用語の解説を引用します。
コトバンク − し‐か 〔‐クワ〕 【詞華/詞花】
詩歌や文章で、巧みに美しく表現したことば。すぐれた詩文。詞藻。
コトバンク − 詩歌【しいか】
詩歌には、主に和歌や俳句が挙げられます。
アンソロジー(英:anthology, 仏:anthologie)は、異なる作者による詩を集めたもの。詩撰、歌撰。
Wikipedia − アンソロジー
前置きが長くなりましたが、
この『本についての詩集』で、なんと昨日の私の問いに対する答えがあった。
選者である長田弘さんによる、序詩として一番最初に飛び込んできた。
全文掲載したいところですが、抜粋します。
世界は一冊の本
長田弘
本を読もう。
もっと本を読もう。
もっともっと本を読もう。
書かれた文字だけが本ではない。
日の光り、星の瞬き、鳥の声、
川の音だって、本なのだ。
(中略)
本でないものはない。
世界というのは開かれた本で、
その本は見えない言葉で書かれている。
(中略)
人生という本を、人は胸に抱いている。
一個の人間は一冊の本なのだ。
記憶をなくした老人の表情も、本だ。
(中略)
200億光年のなかの小さな星。
どんなことでもない。生きるとは、
考えることができるということだ。
本を読もう。
もっと本を読もう。
もっともっと本を読もう。
『世界は一冊の本』の書籍はこちらです。
初出誌は1994年刊行ですが、今年また出版されているようですね。
- 作者: 長田弘
- 出版社/メーカー: 晶文社
- 発売日: 1994/05/30
- メディア: 単行本
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- 作者: 長田弘
- 出版社/メーカー: みすず書房
- 発売日: 2010/05/20
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どんな本を読むかとか、どう読むかとか、
ジャンルはとかそんな小さな次元のことではない。
五感を研ぎ澄ませながら、考えながら生きていく、
そのなかに本がある。
その本も、書物だけでなく、
自分であり他者であり、世界であり日常であり、
目に飛び込んでくるもの、全てを本ととらえる。
何かを見て、何かを感じることができるもの、それが本なのだと。
この詩の心地よいところは、
ともすれば、本を読みなさい!と命令口調になりそうなことを、
軽やかにまさに歌うように、楽しい出来事として綴っていることだ。
ああ、本を読めば、何かいいことがありそうという気持ちになる、
押し付けがましさではなく、楽しいよという誘いのような詩だ。
本書の他の詩については、後日また書きますが、
長田さんのこの詩一遍だけ読んでも、詩の力強さを実感できた。
確かに、どんなことでも、何かをくれる。
もっと本を読もう。
うん。
もっともっと本を読もう。
長田弘さんについては、夏休みにゆっくりと読みたい絵本のエントリーで、
『深呼吸の必要』の本をとりあげたことがあります。
こちらも名著なので、ご興味があればあわせてお読みください。
では、また。