新入生にランドセルがある風景、ランドセルをギフトにする風景

こんにちは、検索迷子です。


4月になり、もうじき新学期を迎える。そこで、今日はランドセルの話題を2つ触れたい。


といっても私は、ランドセルがある景色とは全く無縁に過ごしてきて、SMAPの話題をときどき書いているから、こじつけていうわけではないが、香取慎吾さんが「ランドセルをしょっているときから、SMAPをやっていた」という発言を聞くくらいしか、ランドセルという単語を日常では耳にしなかった。


が、最近ひょんなことから、ランドセルをしょっているお子さんに文章を教えたりということもあり、ランドセルを身近に見かけるようになった。そして、たまたま以前、トークショーでもランドセルの話題を聞いていて、ブログで紹介する機会を逸していたので、今日はそれをご紹介したい。


ひとつは、これからランドセルを持つお子さんに対してのお祝いのような詩で、もう一つは、すでにランドセルを使わなくなったご家庭に、ランドセルをギフトとして贈る方法についてのご紹介だ。

ランドセルの詩

以前にも、石垣りん「ランドセル」で、ご紹介したが、好きな作品のため、あらためてご紹介したい。


『レモンとねずみ』石垣りん著、童話屋刊より、「ランドセル」。

レモンとねずみ (童話屋の詩文庫)

レモンとねずみ (童話屋の詩文庫)

ランドセル
           石垣りん


あなたはちいさい肩に
はじめて
何か、を背負う


机に向かってひらく教科書
それは級友全部と同じ持ちもの
なかには
同じことが書かれているけれど
読み上げる声の千差万別


入学のその翌日から
ほんの少しずつ
あなたたちのランドセルの重みは
違ってくるのだ


手を貸すことの出来ない
その重み


かわいい一年生よ。



『レモンとねずみ』石垣りん、童話屋刊

この解説とか、所感については、上記の過去ブログに書いているので、あらためて詳しくレビューをしないが、この詩を読み返すのは、決まってこの時期だ。


春先にこの詩を読み返すたびに、一つ年齢を重ねている自分と、新一年生との対比が不思議な感じがする。自分にもランドセルを背負った子ども時代があったのだな、そのころ何を考えていたのだろうかと、タイムマシンがあれば聞いてみたいような気がする。


子どもは意外と、何かを背負っている自覚などはなく、何かを背負ってきた大人が、これから重くなる背負う物を危惧しているだけなのかもしれないと思うと、これは、子どもに向けた詩のようであり、大人の懐古の詩なのかもとも思う。


このように、その年代しか所有できないものの意味は、もうそれを持つことができなくなった、大人にならないとわからないことなのだろうなと思う。子どもはむしろ、ランドセルや、制服のなど、一つひとつ新しいアイテムを手に入れるごとに、大人に近づいていくことが嬉しく、それを拘束とか不自由とか、その年齢の象徴だなんて思うことはないだろう。

想い出のランドセルギフト

新一年生の使うランドセルの話題から一転、では、もうお子さんがランドセルを使わなくなり、収納にも困り、でも思い出の品だから捨てにくいというかたに、以下の活動を案内したい。


昨年9月に、表参道のクレヨンハウスで、写真家の内堀タケシ(うちぼり・たけし)さんのトークショーにうかがった。


その際、内堀さんから、「ランドセルは海を越えて」というアフガニスタンにランドセルを送る活動をされているお話を聞いた。その詳細は、『ランドセルは海を越えて』(ポプラ社)でも書かれている。

ランドセルは海を越えて (シリーズ・自然 いのち ひと)

ランドセルは海を越えて (シリーズ・自然 いのち ひと)


また、歌手の平原綾香さんから直接、平原さんがお使いになったランドセルを託されて、現地に贈ったというお話もされていた。現地にランドセルを送るというのは、海外輸送費も送付する段取りも膨大な作業のようで、それでも、内堀さんは現地のお子さんの笑顔に魅了され、この活動を続けられているという。


また、アフガニスタンは、戦車とか銃が普通に生活圏にあるような危険な地域でもある。もともとは海外取材で写真を撮っていたところから、偶然ランドセルを送る活動に携わることになったようだ。その詳細は、「NEWS TOKYO ー トップインタビュー Vol.68 写真家 内堀タケシさん」で紹介されているので、良ければごらんください。


直近の内堀さんのランドセル募集は終了してしまったようだが、前出の内堀さんの活動ホームページによると、以下、内堀さんの活動に協力していただいている団体での活動は、5月末まで申し込みを受け付けているようだ。

海外輸送および現地のランドセル配布にご協力いただいている国際協力NGOジョイセフ内 「想い出のランドセルギフト」では、2016年3月10日(木)〜5月31日(火)必着分までランドセルの回収を行っています。(ジョイセフ主催のキャンペーンは、ランドセルの海外輸送経費のご負担を皆様にお願いしています。)

詳しくは国際協力NGOジョイセフ内 「想い出のランドセルギフト」
ホームページ http://www.joicfp.or.jp/jp/donation/things_to_donate/omoide_ransel/ をご覧ください。


もし、お手元に思い出のランドセルがあり、喜んでくださるかたへ届けたいと思っているかたがいれば、ぜひ、送付をご検討ください。


ちなみに、私はこの活動にはいっさい関与していないので、あくまで間接的な告知のお手伝いです。せっかく、内堀さんのトークショーを聞いて、子供たちの笑顔のパネルを見ながら、この素晴らしい活動と、ランドセルを全身で喜ぶ子どものあふれんばかりの笑顔、そのときの感動の伝え先がないなぁと思っていたが、半年経って思いがけず、ブログで書けることができて良かったと思う。


なお、アフガニスタンの授業は、室内ではなく青空教室が普通のようだ。そして、机も椅子もなく、乾燥地帯の砂のような地面にそのまま座り、ランドセル自体が机になるようだ。ある意味、日本でのランドセル以上に活用方法が多様なのかもしれない。


ぜひ上記の、「想い出のランドセルギフト」への送付をお考えいただければと思う。海を渡るランドセルも、日本で使ったお子さんの思い出とともに、また新たな子どもの人生に関われて、さぞかし幸せなランドセルの一生になるだろう。


ランドセル、という物一つは、ただのモノではないんだなとつくづく思う。ここまでいろんな人の思いが込められていて、ブログでこれ一つで記事が書けるくらい、いろんなものが詰まっているアイテムなんだなと思う。ランドセルは、ほんとうに大事にしたいと思われて、実際に大事にされ続けるものなんですね。話題にしながら、いろいろな思いがわきあがってくる不思議なアイテムだ。それも、4月の風物詩の一つだろうか。


では、また。