あさになったのでまどをあけますよ

こんにちは、検索迷子です。


憂鬱な朝を変えてくれそうな絵本に出会った。
『あさになったのでまどをあけますよ』、
荒井良二(あらいりょうじ)さん作、偕成社刊だ。

あさになったのでまどをあけますよ

あさになったのでまどをあけますよ


この絵本との出会いは、
月刊MOE(モエ)だった。
第5回MOE絵本屋さん大賞2012を発表した号で、
この『あさになったのでまどをあけますよ』が、
絵本屋さんが選んだ作品のなかで1位に選ばれていた。

月刊MOE - 絵本屋さん大賞


評価が良かったからということだけではなく、
紹介されていた絵が美しいということもあり、
すぐに探して手にしてみた。


朝をたいせつにすることの喜び、
毎日を迎えられることの幸せ、
何気ない日常のなかで、
ああ、自分はこれが好きなんだ、
ここが好きなんだという気づきなど、
しばらく消えかかっていた、朝の喜びを思い出させてくれた。


子どものころ、朝は憂鬱なんかじゃなかった。
朝からスポーツをしたりして、
朝からやることがいっぱいあったりして、
出かける間際まで眠っていたいという今とは大違いだった。


朝、窓を開ける。
それだけのシーンが、
あさになったのでまどをあけますよ、
という言葉とともに、何シーンも広がる。


絵の力強さ、色の美しさ、
光や空気や大地や空や海を感じる壮大さ。
そして、生まれた故郷を感じさせる懐かしさ。


あのころ見た、あの風景を、
どこかの絵で必ず見つけられそうな絵が広がる。


ああ、この風景が自分は好きだったと、
いきなり閉じていた思い出のドアが開いたようだった。


絵のなかで、窓を開けるシーンがいくつも出てくる。
でも、人はほんとうに小さく描かれていて、
人は自然のなかの一部で、
私たちはこの自然のなかで、
毎日のサイクルの中で生かしてもらっている生き物の一部なんだ、
というごく当たり前のことに気づいた。


人ばかりが目に入る本ではなく、
風景の一部に人がいる。


それは人間がちっぽけという意味ではなく、
人間もこの風景のなかの一部で、
こうして自然に溶け込み、
自然の時間を借りながら、
自分の生活リズムを合わせて生きてるんだと思った。


朝という時間を自然からもらい、
その時間を楽しくスタートさせるのも自分なのだと思った。


あさになったのでまどをあけますよ。


誰に対してというよりも、
自分にそう言ってあげたい。


この朝を迎えられる、
この場所に住んでいること、
この朝を迎えられる、
この生き方を選んだことに喜びを見つけて、
毎日を丁寧に、新鮮な思いで生きたい。


本文の絵も素敵だが、
裏表紙の柴犬の表情がまたかわいらしく、
人に贈りたい絵本になりそうだ。


あさになったのでまどをあけますよ。


では、また。