香取慎吾さんの年齢相応の演技への挑戦

こんにちは、検索迷子です。


香取慎吾さんが39歳になった。香取さん、お誕生日おめでとうございます。
と今日は、香取さんのお祝いメッセージのブログ記事ではなく、香取さんの「家族ノカタチ」の演技の話題を書きたいと思う。香取さんをタイトルにした記事は、今日初めて書く。

SMAPファンがメンバーの誕生日にしていること

香取さんを書こうと思ったきっかけは、誕生日だったことも大きい。今日はずっと、お誕生日のお祝いメッセージが、Twitterで流れるのをながめながら、幸せがあふれるいい時間だなと思った。


私は以前、木村さんの誕生日に、草なぎ剛さんと木村拓哉さんという記事を書いたが、その時が私がSMAPを話題にしてからの最初のメンバーの誕生日だった。実はそのとき、Twitterやファンブログで見ていたSMAPファンのかたたちの行動で、とても驚いたことがひとつあった。でも、その時は書かなかったことがある。その後、【コラボブログ:SMAPとココカラ】(2)SMAPとファンは、もはや一つの組織]の、「SMAPファンのかたたちの自発的な活動」という話題に触れたが、そこにも書き落としていた内容だ。


それは、ファンのかたたちは、メンバーの誕生日にお祝いメッセージを書いたり、イラストを描いたりと、ご自分の得意分野を持ち寄り、お祝いの気持ちを表現しているということだ。ここまではなんとなく日常的な応援の延長線で想像できた。さらに驚いたのは、ファン同士がお誕生日会をリアルに行っていたり、ケーキでお祝いするかたがびっくりするほどに多いことだ。それも、きちんとケーキ屋さんでお祝いのメッセージプレートをつけてもらっていたり、きちんと事前準備をして、お祝いの日に備えているということだ。


小さなお子さんのいるご家庭なら、お子さんのために準備をするというのはわかるが、主役が目の前にいないファンという立場でも同じように準備やお祝いをするなんて、タレントさんがそこまで身近で、愛を注ぐ存在なのかと思うと感動すら覚える。


これは茶化しているのではなくて、それほどまで「生まれてきてくれてありがとう」「またいい一年を過ごそうね」という思いを、どんな形でも伝えようとするファンの温かい思いを感じる素敵な行動だと思った。おいしそうなケーキの画像や、きれいにメンバーカラーなどでディスプレイされた画像などがTwitterのタイムラインで流れるのを見ながら、この幸福感あふれる時間が、次のメンバーの誕生日である草なぎさんの時も続くことを願った。そして、誕生日を機に一度香取さんを話題に書いてみようと思った。

「家族のカタチ」に見る香取さんの挑戦

香取さんが現在、出演している「家族ノカタチ」を初回から観ている。実は、香取さんのドラマを観るのは久しぶりだ。草なぎさんのドラマと、スマスマ以外、ほぼテレビを観ない私からするとリアルタイムで視聴するのはめずらしいことだ。見始めたのは、報道以降、何かSMAPを少しでも応援したいという気持ちがあったからだが、継続して見ようと思った理由は、香取さんの演技に興味を覚えたからだ。


香取さんは、芸術のセンスにあふれ、「SmaSTATION!!」やNHKの「のど自慢」でのMC、映画やドラマなど多方面で活躍されている。SMAPの末っ子として、大きな口をめいっぱい開けた笑顔は人を笑顔にし、愛嬌のあるキャラクターを演じ、観客を笑わせることへの貪欲さも素晴らしいものがある。小学生から芸能界にいて、永遠に年を取らないのではないかというかわいらしさに、天性のアイドルなんだと思わされる。


私が香取さんを、末っ子という目線から、この人も年齢相応の大人なのだと見直した番組がある。それが、いま、Twitterなどでも再放送の希望が多数あがっている、NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀 SMAPスペシャル」の一場面だ。番組中、中国公演でのMC時間が、現地通訳を交えるとあまり時間がないからどう進めるかとメンバーが議論しているシーンがあり、たくさんの質問に答えられるよう「一つの質問に、メンバー1人だけが答える」という結論を導き出した。そして香取さんが、現地のMCのかたに挨拶がてら「お願いしてくる」とスタッフとともに楽屋まで出向くシーンがある。


これを観たときに、香取さんがライブの構成を行っているというのは知っていたが、こういう現場にかかわる人への交渉事までをしているんだと驚いたのだ。なんとなく、そういう役割は中居さんがしているのだと思っていたからだ。人見知りという印象のある香取さんが、年齢相応の働く人間として、自分から相手先に出向き、依頼ごとをしっかりと伝えて、相手の納得と了解を得る姿を見て、ああ、スタッフ任せにしないで自分できっちりと動くかたなんだと思った。相手先にタレント自らが出向き、しっかりと顔を見てお願いをしている姿に、なんて謙虚で、ファンの期待に沿うために細部までライブに手を抜かない、なんと素晴らしい仕事人なのだろうと思った。


でも、香取さんの日常的なお仕事での役割では、香取さんは笑顔やお茶目さを求められることも多いせいか、実際の年齢よりも幼い感じがしていた。香取さんの「かわいい」「面白い」「末っ子の愛らしさ」とは違う面を見たいと、なんとなく思っていた。もちろんそういうドラマの役割もあったと思うが、特殊能力やカッコよさというのすら排除したような、30代後半の普通の男性という側面ももっとあるのではないかと思っていた。そんななか、この「家族ノカタチ」のドラマは、やっと香取さんに求められる役割が年齢相応になったと、今までにない新鮮さがある。


香取さんは、スマスマでの「おいしー」の場面やコント、アニメなどの実写化などで、何か完全コピーをする能力がとても高いと思う(これはSMAP全員にも言えるが)。でも実は、市井の普通に生活する人を演じるのは、それなりに難しいと思う。


ずっと芸能界で活躍されていて、普通の何か、普通のサラリーマン、普通の恋愛、普通の結婚、普通の暮らしというものの経験がほとんどないだろう。何をして普通というかは難しいが、毎日同じ場所に通勤し、毎日同じ顔触れで仕事をし、家族や友人と日常的に過ごしというのは、ほとんどないだろう。だから、一般人の役割を演じることすら、役を作らなければできない難しいことだと思うのだ。


そんななか、「家族ノカタチ」で39歳独身男性として、企業に勤め、普通に人との距離を測り、コミュニケーションに悩む一人の人間として、役を演じる香取さんには新鮮なものがある。何より、まず、ほとんど笑わない香取さんの表情、大きな口を開いた表情をほどんど見ないということに驚く。常に、ちょっといらいらと怒っている、眉間にしわを寄せている、じっと考えている、何かを思いあぐねているなど、オーバーアクションではなく、細かく表情筋を使って感情を表現するというところに見入ってしまう。


このお芝居、香取さんにとっては今までのお芝居のお仕事のなかでも、難しいのではないかと思わされる。ある意味、香取慎吾というカラーを一度リセットした、香取さんの挑戦ではないかと思う。役柄の設定は、こじらせ男子、結婚しない男性といったキーワードがあるもので、部分的にいろいろ強調されているところはあるが、それは台詞の極端さだったり、いらだちや短気さや、自分時間を大事にするという部分に出ている。でも、そういう人いるいるとか、独身ってそういう風に思うよねとか、時に情に厚い部分とかも、共感できるような演技をするというのは、本当にたいへんなことだと思うのだ。


タレントさんのなかには、企業勤めの経験がないかたも多いだろうが、それでもお芝居として成立させるためには役をしっかり理解して、その役を生きようとして、視聴者に共感が得られるような演技を見せてくれるかたも多いが、香取さんもこのドラマを通して、まさにご自身の年齢と一致した役柄を演じ切れる自分になるよう、今まであまり見せたことのない部分も出し切っているように思う。少なくとも、ご自分が経験してきた引き出しをフル活用して、または監督さんと相談しながら、未知なるものを吸収して、このドラマにのぞんでいる姿が想像される。


香取さんは何かを演じるとき、ほどよくその役割を自分の個性と切り離して、そこに自分の身体を預けているものの内面は役に自分の精神を投下しているように感じる。外見はどうしても、かっこいい香取慎吾さんであることから抜けきれないが、その内面は役柄に集中しているのが伺える。


私は、香取さんの演技をずっと観ているわけではないので、思い込みもあるだろうが、この作品が香取さんにとって、いい意味で香取さんのかわいらしさや愛嬌を感じさせない、新境地を開けそうな作品だと思っている。顔の表情筋を細かく動かし、ほとんど笑わない香取さんがどこまで普通の39歳の男性を演じ切り、どこまで普通に働くかたたちの心をとらえられるか、これからも楽しみにしたいと思う。


そして、逆に2話で見せた、父親が作るおつまみをうまい、とつぶやき、笑顔を西田敏行さん演じる父親に写真を撮られたときの笑顔を観ながら、香取さんの笑顔の最強さも知った。ほぼ笑顔がない演技のなかで、ぱーっと光が差し込むような場面で、あの瞬間は本当にびっくりした。普段の笑顔全開の香取さんとはまた違い、この笑顔のシーンは香取さんの良さを引き出す、とても効果的なシーンだったと思う。



こんな状況のなかで、香取さんは仕事を通してご自分の演技に磨きをかけ、ご自身の内面の未知なる引き出しを開けたり、経験を蓄えたりして、新しいことに挑戦し続けているのだと思うと、その仕事に対する強い精神力に頭が下がる思いだ。

思いは言葉で、カタチにして伝える

少し話はそれるが、私が過去に勤めていた企業がこの番組スポンサーのうちの一社で、CMが流れるたびに、ああここにCMを出しているのか、いくらくらい出稿料がかかったのだろうとか、これは視聴率が気になるだろうな、CMで流している製品なりサービスの反響はどれくらいあるのだろうかと、ふと我に返る。


いまは何のつながりもない会社だが、投資している以上、投資効果にこだわるであろう現実に引き戻されたとき、ふと、タレントさんは主演作の視聴率を背負い、ご自分の評価につながるプレッシャーと戦っているのだと気づかされる。番組が面白いとか、タレントさんがいいとか、そういう感想は心に留めず表現していこうと思って、今日は香取さんのことを書いた。タレントさんの個性に好感を持って、なんとなくひっそり応援するだけでなく、アウトプットしてくれたものの評価が、目に見える方向で表現しようと思った。


タレントさんを応援する方法は、視聴率という指標だけがすべてではないと観ている側は思うが、少なくとも、香取さん個人を応援したいと思うならば、香取さんが世の中に生み出したお仕事の成果、身を削ってアウトプットしている作品に対して、いいものはいいと伝えたいと思う。私はSMAPのことを書きながら、何かを購入するようなファンではないが、せめても言葉でのエールを送りたいと思う。


香取さんが以前、どこかで発言していて印象深かったことがある。どこでの話かうろ覚えのため、発言元を知っているかたがいれば教えていただきたいのだが、プライベートの時間でも街中で普通にファンサービスをするのは、自分の誕生日とかまで知ってくれてる人がたくさんいるお仕事をしているのだから、手を振ったり笑顔を見せることには抵抗がない、という発言だ。言葉のニュアンスしか覚えていないので、言いかたは違っているかもしれない。私もインターネットでの情報の有無にかかわらず、香取さんの誕生日を知っている人間だ。SMAP全員の誕生日を普通に言えるくらい、SMAPというグループに関心を持っている。


香取さんの39歳の誕生日に、私ができるささやかなお祝いとして今日は記事を書いた。こうして一人でも多くのかたに、香取さんの素晴らしさを伝える文章を書くために、自分なりに懸命に香取さんのことを考えた。香取さんをテーマにブログを書こうと思ったことは一度もなかったが、せめても私ができる小さな応援を形にしておきたいと思った。素晴らしいと思う気持ちは言葉にしなければ伝わらない。カタチにすることにこだわろうと思う。たとえどんなに小さな思いでも。


あらためて、香取慎吾さん、お誕生日おめでとうございます。あなたの作品を通して、心が動いている人間がここに一人はいて、あなたの素晴らしさを記録したいと思いました。その美しき精神と、仕事に取り組む姿、生み出す作品の多様性が、ずっと続いてくれることを願ってやみません。



では、また。