卒業が別れの日

こんにちは、検索迷子です。


地元で最寄り駅に向かう朝、
毎日見かける高校生のカップルがいた。


大人びた風貌と背が高い2人で、
地元にある有名な附属高校に通っていた。


なんとなく毎日すれ違うな、と意識して見るようになり、
最初は、てっきり3年生かと思っていた。

でも、4月になるたび、あ、まだ卒業じゃないんだとわかり、
結局、4月を2回迎え、
私は1年から見てたんだと、後からわかった。


ときどき、1人ずつで登校する姿を見ては、
あれ、別れたのかなと思ったら、
どうやらスポーツの遠征だったりしたようで、
また、同じように登校する姿を何度も見た。

私が早めに自宅を出たときには、
男子が駅にあるコンビニの休憩スペースて、
朝ごはんを食べつつ女子を待ち合わせしてる姿も見た。


3年になった夏休み明けのある日、
2人が初めて手をつないで通学をしてる姿を見たときは、
なぜかドキドキした。


それまでは、たんたんと歩いていた2人が、
少年少女じゃなくなったかのようで、
すれ違うとき、見ないように目をそらしたりした。


そして、もう卒業式を終えたのか、2人をぱたりと見かけなくなった。


学業で優秀とされるそこを卒業し、
2人はどんな道を歩きだしたのだろう。


つきあいは続いてるのか、
自然消滅してしまったのか。


もちろん名前も知らない2人の、
その先を私は知ることはないだろう。


自分が卒業するとき、
まさか、同級生が生涯会わない、
みたいな関係になるとは思わなかった。


ばいばい、は一時的で、
また会うこともあるんだろうと。


でも、私は数少ない地元を離れた側にいた。


もう、ずっと会わないとわかりつつ、
現実を見ないようにしていた。


2人はどうなっただろう。
どうなるんだろう。


卒業が永遠に近い別れになるなんて、
大人になるまで知らなかったよ、
丁寧に、今を過ごしなよ、
と、今は卒業式の自分に教えてあげたい。


さよなら、ばいばい、またね。


この3月が、輝く思い出になるか、
ただのフェードアウトになるか。


少なくとも、
この通学路を歩き、
毎日、見知らぬ大人が2人を見ていた日々が、
2人にとって優しい思い出になることを祈りたい。


卒業が別れの日にならんことを。


では、また。