ちいさな言葉

こんにちは、検索迷子です。


俵万智(たわらまち)さんの、
『ちいさな言葉』岩波書店刊を読了した。

ちいさな言葉

ちいさな言葉


お子さんが、成長とともに言葉を獲得していく過程、
驚くような表現や発想は、読んでいてとても楽しかった。


そして、いつのまにか、いい間違えていた言葉を、
正しい言葉で覚え直していて、
それを使わなくなっていたということに気づく、
ほんの少しの成長のさみしさも伝わった。


俵さんがあとがきで書かれているように、
機械が苦手な自分は、運動会や学芸会を映像で撮ってやることが
できなかったけど、
かわりにこうして書き記してきたものが成長の記録だと、
いつか子どもに手渡してやりたい、
というのがとても印象的だった。


映像や写真が得意なら、それで伝えればいい。
言葉が得意なら、言葉で伝えればいい。


ましてや、言葉のプロである俵さんのお子さんは、
言葉に対する感性も鋭く、
読んでいて、
ああ、子ども個性の一部を作るのも親なのだと思わされた。


読むものには、その突拍子もなさがおかしく、
親子としては成長記録になっている、
そんな贅沢な一冊だ。


自分は子どもを持たないが、
ペットを8年育てて、言葉ではないけれど、
小さいときにこんなことをしていたのに、
いつのまにかそれが変化していた、
もっと賢くなっていたと思う瞬間にはっとする。


人間の子どものように、
言葉が話せたら、どれだけ面白いだろうと思うこともある。


自分以外の命を育てることによって、
私たちは何かをもらっている。


日々発見をさせてもらい、
それを通して自分自身の命とか、考え方を知らされることも多い。


ちいさきものの、ちいさな言葉、
ちいさな行動が大人の心を揺らす。


大人が伝えようとするものが、
ちいさきものにはどんな形であれ伝わるのだと思う。


ちいさな言葉に、
大きな意味をくれるお母さんのもとで育ったお子さんは、
羨ましい。


どんな家族にも、
ちいさな言葉にまつわるストーリーはたくさんあるだろう。
でも、それを本の形で残せるという役割は、
ごく限られた人だけができることだ。


ちいさな言葉、ちいさな行動を、
どうやっていとしきものに伝えていくのか、
そんなことを考えさせられた一冊となった。


俵万智さんのほかの本について、
過去にレビューしています。
よろしければあわせてお読みください。
サラダ記念日のような一日 - 検索迷子


では、また。