こんにちは、検索迷子です。
勝間和代(かつまかずよ)さん著、文春新書『断る力』を読了した。
- 作者: 勝間和代
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2009/02/19
- メディア: 新書
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発行から3年半ほど経過し、発行当初から気になっていたが、
やっと読める心理状況になった。
当初はタイトルの力強さに圧倒されて、自分はその域にいないと思っていた。
ちょうど先日、
交換不可能な人間になるという記事を書いた。
たぶん、これとつながるキーワードがあったからだ。
はじめに、で勝間さんが書いていた次の一文にはっとした。
ある意味、私は「断る力」を身につけるまで、「コモディティ」すなわち、他人でも十分に代替がきく汎用的な人員だったと思います。
ああ、勝間さんにもこういう時代があり、そして今があるのかと、
あらためてこの本を手にしてみた。
本書から、気になった箇所を引用していく。
「コモディティ(汎用品)」にならないために
第1章(総論)「断る力」の圧倒的な効用を理解する
■「コモディティ」にならないためには「スペシャリティ」になる環境を選び抜かなければならない
(前略)
「コモディティ」と「スペシャリティ」の一番の違いは何かというと、相手にとって、「コモディティ」はコスト勘定で処理をされるが、「スペシャリティ」は投資勘定として処理されるということです。すなわち、「コモディティ」とつき合うことはつき合う相手の売上や収益を上げることはないので、なるべく安い相手や使い勝手のいい相手を探すことになります。それに対して「スペシャリティ」になるということは、相手が実行しようとしている仕事の価値そのもおを上げるため、たとえ高い対価を払ったとしても、それ以上の利益が得られる場合には、喜んで対価を払おうとすることです。
(中略)
常に、自分の力を他社との関係性で捉え続け、どこで何をするべきなのか、せっかく1日24時間しかない私たちの時間を配分するときには考え込まないといけないわけです。なぜなら、これまで私たちが人に役立つようになれるまで、さまざまな人の時間を使ってきたわけですから、その人たちの時間を無駄にしないためにも、どこで力を発揮すれば、いちばん相手、そして社会全体に貢献できるか、考える癖をつけることです。
単に、自分目線だけで、汎用品から抜け出すことを考えるのではなく、
相手にとって何で貢献できるのかを、もっと考え抜かなければと気づかされた。
「熱狂的なファン」を作ることに集中する
コモディティから抜け出すためには、自力だけではだめなのだとわかった。
自分が何者であるかを周囲にきちんと知らせていかなければ、
汎用品から抜け出すチャンスはそもそも来ない。
第1章(総論)「断る力」の圧倒的な効用を理解する
■「熱狂的なファン」を作ることに集中する
(前略)
誰かを人に紹介してくれと頼まれたときに、紹介してくれと頼んできた人も、そして紹介する人も、どちらも自分の信用をかけるに値しない場合には、会わせるのに躊躇してしまうでしょう。(中略)
ふだんのさりげない行動、生活の中で、いかに「自分を他人に勧めてくれるくらいのファン」を作っていくか、すなわち「人に嫌われない工夫」をするよりは「自分のファンを作っていく工夫」を心がけたほうが、中長期的には効果が高くなるのです。なぜなら、中立的な人物は忘れ去られてしまうし、私がずっと言ってきた「コモディティ」から抜け切れなくなります。(中略)
<ロイヤリティの高いファンを作ることが上手な人の要素>
1.こちらが圧倒的にあこがれる個性、才能、クセがあり、私たちの代わりに何かを実現してくれる
2.1を実現するために努力を継続的に繰り返しており、その姿勢に強い共感がもてる
3.相手がまめで、こちらをわかってくれている、ケアしてくれているという感覚が持てる
4.謙虚で威張っていないため、相手と自分の関係が上下関係にならない
(中略)
人をファンにつけるには、圧倒的に強い才能が必要ですがその才能は時間の積み重ね、集中でしか磨くことが出来ないのです。そのために、どこの分野に自分の時間を集中させ、磨くのかを早期に判断し、その分野以外のことについてはなるべく「断る力」を発揮して、集中できる体制を作らないと、ファンも増えないことになります。
ここで、腑に落ちた感じがした。
本書は、「断る力」という手法そのものだけを取り上げた、
自己主張のしかたの本であり、
すべてと闘うといった印象を持っていた。
でも実際は、
はじめに、で勝間さんが書いていたように、
8〜9割の仕事を断ったことの使命として、引き受けた1〜2割の仕事については全力を尽くします。
とあるように、最大の効果のためには、集中できる環境を作るということなのだとわかった。
ただし、大前提として、
汎用品になってしまっている状況にあるとき、
何に集中するかを自分で方向性を決めていかなければ、
そもそも断る判断も難しいのは確かだ。
自分がコモディティ(汎用品)である自覚はできる。
が、何がスペシャリティである素材なのかは、
考え抜かないとならない。
依頼の9割を断ってでも、やりきりたいものが何か、
それを相手にしっかりと伝える力が必要となる。
断る力、以前のこともあると思うが、
この方向性はきちんと心に刻んでいきたいと思うし、
実行していきたいと思う。
では、また。