20歳のときに知っておきたかったこと

こんにちは、検索迷子です。



ティナ・シーリグ著『20歳のときに知っておきたかったこと スタンフォード大学集中講義』阪急コミュニケーションズ発行、を読了した。

20歳のときに知っておきたかったこと スタンフォード大学集中講義

20歳のときに知っておきたかったこと スタンフォード大学集中講義

  • 作者: ティナ・シーリグ,Tina Seelig,高遠裕子
  • 出版社/メーカー: CCCメディアハウス
  • 発売日: 2010/03/10
  • メディア: ハードカバー
  • 購入: 475人 クリック: 17,353回
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本書は、大学で講座を担当する著者が、息子さんが20歳の誕生日を前に、
自分が社会に出たとき、知っていればよかったということを伝えるため、
リストアップしたところから生まれた本だ。

あなた自身に許可を与える


この本は10章から成るが、
最終章で各章のテーマは一貫したものだと種明かしがされている。
本書から引用する。

第10章 実験的な作品


 種明かしをすると、これまでの章のタイトルはすべて、「あなた自身に許可を与える」としてもよかったのです。わたしが伝えたかったのは、常識を疑う許可、世の中を新鮮な目で見る許可、実験する許可、失敗する許可、自分自身で進路を描く許可、そして自分自身の限界を試す許可を、あなた自身に与えてください、ということなのですから。じつはこれこそ、わたしが20歳のとき、あるいは30、40歳のときに知っていたかったことであり、50歳のいまも、たえず思い出さなくてはいけないことなのです。

そして、従来の考え方に閉じこもり、ほかの可能性を排除するやり方は、人をがんじがらめにする、
としている。
最後に書いていることを、伝えるためにこの一冊には、事例が詰まっている。

 この本の物語で伝えたかったのは、快適な場所から離れ、失敗することをいとわず、不可能なことなどないと呑んでかかり、輝くためにあらゆるチャンスを活かすようにすれば、限りない可能性が広がる、ということでした。もちろん、こうした行動は、人生に混乱をもたらし、不安定にするものです。でも、それと同時に、自分では想像もできなかった場所に連れて行ってくれ、問題がじつはチャンスなのだと気づけるレンズを与えてくれます。何よりも、問題は解決できるのだという自信を与えてくれます。
 25年前に書いた詩を読んで思い出すのは、20代の頃、次のカーブに何がまちうけているのかわからなかった故に抱いた不安です。将来が不確実なのは歓迎すべきことなのだと、誰かが教えてくれればどんなにかよかったのに、と思います。この本のなかで紹介した物語が教えてくれるように、予想できる道を外れたとき、常識を疑ったとき、そしてチャンスはいくらでもあり、世界は可能性に満ちていると考えることを自分に許可したときに、飛び切り面白いことが起きるのですから。 


次のカーブに何が待ち受けているかわからないゆえの不安を、
自分もずっと抱えていた。
その状況、不確実なものをチャンスととらえる、という考えさえもてなかった。


不安なのにも関わらず、自分は不確実なものを選んできた。
飛び込むことはできる。
だけど、不確実なものを発展させていける気持ちの切り替えまでは、
なかなか追いつかず、そのチャンスを活かしきれなかった。


心の持ちよう、持続させる気持ちのあり方で、
同じ状況も違った結果になったのだろうと今では思う。
20歳の自分にというより、今このときの自分にさえ、
先の一節は染み渡り、この言葉を読めてよかったと思った。


人生は長い。
いくつからでもやり直しはできる。
タイトルは20歳のときに、とあるが、
これを知った今からが、またスタートなのだと気持ちを新たにする。

情熱とスキルと市場が重なるところが、スウィート・スポット


いくつか気になるフレーズがあったため、それらも引用しておきたい。


成功の秘訣は、と考えたとき、情熱はその出発点に過ぎないという。
では、どういうものが必要なのだろうと考えた一節を紹介する。

第6章 絶対いやだ!工学なんて女がするもんだ 無用なキャリア・アドバイス


 情熱とスキルと市場が重なり合うところ。それが、あなたにとってのスウィート・スポットです。そんなスポットを見つけられたら、仕事がただ生活の糧を得る手段で、仕事が終わった後(注:本書では傍点あり)趣味を楽しめるのではなく、仕事によって生活が豊かになるすばらしいポジションにつけることになります。こんなに楽しんでいてお金をもらっていいのかと思えることを仕事にするーーこれが理想ではないでようか? 中国の老子は、こんなことを言っています。


   生きることの達人は、仕事と遊び、労働と余暇、心と体、教育と娯楽、愛と宗教の区別をつけない。   何をやるにしろ、その道で卓越していることを目指す。
   仕事か遊びかは周りが決めてくれる。
   当人にとっては、つねに仕事であり遊びでもあるのだ。


自分が、さらに、ああ、これを人に言って欲しかったと思ったのが、同じ章の次の一文だ。

 キャリアを重ねていくうちに、いまどこにいて、どこに行こうとしているのかを頻繁に点検することが役立つようになります。そうしていれば、物事が計画通りに進まなかったときや、とびきりのチャンスが巡ってきたときに、素早く軌道修正できます。行く先が見えなくても心配しないでください。目を細めても視界がはっきりするわけではありません。これは誰にでもあてはまります。最終目的地に急ぎすぎないで。寄り道や思いがけないまわり道で、とびきり面白い人や場所、チャンスに巡り会えるものなのですから。最後にもう一言。わたしの助言もそうですが、キャリアについてあれこれアドバイスされても、うんざりしないでください。あなたにとって何が正しいかは、あなた自身が見極めるのですから。

そのほかの考え方


あと3つ気になる言葉があった。これは簡単に抜粋して、紹介する。

「どんな決断をするにしろ、後々、納得できる決断をして欲しい」
判断に迷ったときは、将来そのとこのことをどう話したいのかを考えればいいのだと気づきました。将来、胸を張って話せるように、いま物語を紡ぐのです。



席を立つべきかどうかを決めるには、ほかの選択肢を知ることです。そうすれば目の前の取引とくらべることができます。交渉学ではこれは、BATNA(不調時対策案)といいます。



ルールは破られるためにある−−こうした考え方が集約されているのが、よく耳にするフレーズ「許可を求めるな、許しを請え」です。


最後に、「輝くチャンスを逃すな」という言葉を、深くかみしてめ、
20歳のときにはできなかったこと、
これからの時間を積み重ねたいと、強く強く思う読後だったことを記しておきたい。


では、また。