こんにちは、検索迷子です。
かねてから、もし万が一、天災にあったとき、
自分は何を生きる糧として生きていけるだろうかと考えていた。
組織に属するということは、何もないときは、
固定給の安定感があるものだ。
だけど、いざ、頼る母体が揺らいだらどうするか。
自分の身ひとつで生きていかなければならないとき、
あるいは、困難な状況のなかで、誰かと助け合うとき、
自分は何で役に立てる人間なのだろうかと思っていた。
そういったことも踏まえて、
いつか、会社の肩書きなしで働けるスキルを身につけたい、
それを長期的に考えている。
そんなとき、一冊の本に出会った。
それが、渋井真帆(しぶい・まほ)さんの、
『何をやってもダメだった私が、教わったこと。気づいたこと。実行したこと。』だ。
何をやってもダメだった私が、教わったこと。気づいたこと。実行したこと。
- 作者: 渋井真帆
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2009/11/28
- メディア: 単行本
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渋井さんは、主に女性に向けたビジネスセミナーを主催している方だ。
現在は順調にご活躍されているが、本書では、
起業当初になかなか仕事がとれず、苦悩していた時期に、
どのような発見をして、それを実行につなげてきたかをストーリー形式で
紹介している。
女性をターゲットにした本のようで、
旦那様からビジネスの教え請う自宅レッスン形式の会話調で、
ビジネスの基本を学び、それを実践していくスタイルが骨格となっている。
柔らかいトーンで書かれているが、内容はしっかりしていて、
男性でも読みやすいと思う。
また、ポイントとなる点が文中に黄色いマーカーでラインを引いたように、
色づけされていたり、
脚注の見せ方も肩の張らない作りになっていて親しみが持てる。
テーマの核となるのは、起業とか事業の持続性だが、
起業に限らず、日常的なビジネスの面でも気づきもあるだろう。
また、ビジネスだけでなく、人とのコミュニケーションを考える本としても、
読むことができると思う。
夢や想いがなぜ空回りして、成功につながらないのだろうと、
閉塞感を持っている人であれば、開けてくる世界もありそうだ。
起業を考えている人は直接的に参考になるし、
起業ではなかったとしても、何かを成し遂げたい人にとっては、
考え方のエッセンスを参考にするといいだろう。
想いと事業プランは別物
本書から言葉を引用しながら、紹介していく。
事業プランとは、お金を払ってもらう仕組みをどう作って、維持・発展させていくかについてのプランのこと。
(中略)
それには、顧客を創造して、その顧客に納得してお金を払ってもらえるような価値を商品やサービスを通して生み出し、これらの価値の対価として顧客に納得してもらってお金を払ってもらうしかない。(中略)
1.誰にお金を払ってもらうのか?
2.何の価値にお金を払ってもらうのか?
3.単発ではなくお金を払い続けてもらうためにどういう仕組みを作るのか?この3つをどうやっていくのかについて思考を練って、他者にもわかるよう数字データなども使ってまとめた文書なり話が、事業プランというものになるわけだ。
本書によると、起業家コンテストの発表会での審査員の経験した際には、
多くの発表者が想い先行型で、肝心なビジネスプラン(儲ける仕組み)の話が足りず、
アイディアのみでプランがないということが多いようです。
ビジネス基礎力が大切
事業プランの作成だけでなく、ビジネス基礎力の重要性が綴られており、
それは5つあるということだ。
本書では、この5つの要素で章が分かれて具体的な事例が書かれている。
ビジネス基礎力
1.ビジネス思考力
2.コミュニケーションスキル
3.事業プラン作成
4.マーケティング
5.プロフェッショナル資質
また、各章の終わりにキーポイントの記載がある。
こちらを章ごとに紹介すると次の内容である。
第01章 夢と想いはあるのに、なぜ成功できないのか?
想いだけ語っても、他人は迷惑なだけ。想いをプランにしてこそ評価される。「お金を払ってもらい続ける」にはどうしたらいいか?を考える。
第02章 正解のない課題を考える方法
人手から人材に変わろう。正解のない課題に対して、考え、発想し、形にしていこう。人材になるには、自分自身でビジネス基礎力を身につけよう。
第03章 ビジネス思考力を強化する方法
思考は、フレームワークで強化する。価値観は、人から盗ませてもらう。自分の未熟さは、応援されるチャンスでもある。
第04章 究極のコミュニケーションを行う方法
人は自分にしか興味がない、ということを理解する。自分の視線や興味、関心を、少しでも真剣に相手に向けてみる。「自分を見て」ではなく「あなたを見てます」というメッセージを伝える。
第05章 プロフェッショナルの資質を身につける方法
仕事で期待されている役割を果たせ。どんな仕事でも、それができれば一流のプロフェッショナル。経営者は、その上で、責任を引き受けなければならない。
第06章 最強の事業プランを作る方法
供給者の視点と、消費者の視点の2つの視点で考える。モレなく、ズレなく、ダブリなく考える。マーケティングの4Pで考える。
用語の補足
マーケティング関連の本にはどれにも記載がありますが、
本書を通して初めてマーケティングに触れる方には、
以下のような用語も、比較的すんなり会話のなかで説明があります。
なんとなくわかっている方も、再学習にいいかもしれません。
マーケティングの4P
Product 製品戦略(品質、種類、デザイン、億町、ネーミング、パッケージ、大きさなど)
Price 価格戦略(希望価格、値引き、割引、優待、ポイント、分割など)
Place 流通戦略(販売チャネル(デパート、専門店、通販、インターネットなど)、輸送、在庫、範囲、場所など)
Promotion プロモーション戦略(広報、広告(TVCM、チラシ、看板など)、販売促進(イベント、景品など)、人的販売、クチコミなど)
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事業分析の3C
Customer 顧客
Company 自社
Competitor 競合
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マネジメントサイクルのPDCA
Plan 計画
Do 実行
Check 評価
Act 改善
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供給者の視点…お金を払ってもらう人の視点
消費者の視点…お金を払う人の視点
実際の本書では、こういった無機質な箇条書きではなく、
話の流れのなかですっと入ってくるような構成になっています。
それは、読みながら、著者の経験を追体験しながら、
実際に理解を深めていくのがよさそうです。
起業という大きな壁とか、別世界のようなことを、
考えやすいものにしてくれる一冊だと思います。
なお、渋井真帆さんの別の著書『マンガお金の超常識』について、
過去にエントリーを書いています。
お金の常識
起業をするかしないかと迷う前に、
この本に書いてある考え方がすっと来るかどうかで、
自分の本気度合いを確認してみるのもいいでしょう。
先に失敗を繰り返してきた人の言葉は、参考になることが多い。
人の話に耳を傾けて、アドバイスを受け止められるかどうか、
それも起業には必要な要素のようです。
夢と想いを成功につなげるためには、誰かの力を借りる謙虚な心が、
キーになりそうな気がした。
では、また。