人に嫌われない技術(2)

こんにちは、検索迷子です。


内藤誼人(ないとう・よしひと)さんの、
『ぜったい人に嫌われない技術』を読んだ感想の続きです。
人に嫌われない技術(1)

ぜったい人に嫌われない技術

ぜったい人に嫌われない技術


先日は、自分の笑顔が相手に影響するということを取り上げましたが、
今日は仕事の場面において、よくある状況ではどうすれば嫌われないか、
という点について引用したいと思います。

どんな働き方をすれば嫌われないか


この仕事術の章が、自分としては、
こう考えるのかとびっくりするような提案があった。

イヤな奴とうまく仕事をするのも、給料のうちと心得よ


社内の人間関係が煩わしいと嘆く人がいる。
(中略)
会社の経営者は、あなたが他の人たちと仲良くやってくれることを期待して、あなたを雇っているわけである。周囲とあつれきを生じて、ごちゃごちゃさせないことを期待しているのである。そして、その期待をこめて、あなたに給料を支払っているわけである。
だから、イヤな奴とでも仲良くやることも仕事のうちなのだ。
(中略)
たとえ雇用契約書に、「他の人と仲良くすること」という一文が書かれていなくとも、それは社会人として当然守るべき常識なので書かれていないだけなのである。

こういうことって、わざわざ文字にした文章を見たことがなく、
確かにそうだなと思った。
でも、そうは言っても結構見落としがちで、
人間関係を極力排除し、好きに自分のバリアの中で仕事をするスタイルを
貫く人も見かけるため、これも給与のうちと書かれるとなるほどと感じた。

他人には、100点満点の大盤振る舞いをせよ


他人を評価するときには、マイナスの評価をしてはいけない。
他人を評価するときには、いつでも100点を相手につけてあげよう。
自分に対して悪い点数をつけてくる人を、私たちが好きになることは、まずない。悪く評価されれば、そういう評価をつけてくる人間を憎らしく思うものだからである。
上司が自分につける勤務評価がCやDであれば、「こんなヤツの下で働きたくない」と思うのが人情である。

評価査定でいい思いをしたことがない人は、これは納得がいくだろう。
これも学生の先生に対する評価というデータで証明されている。

学生というのはゲンキンなもので、自分によい成績をつけてくれた先生ほど好きになり、自分に悪い成績をつけた先生は逆に嫌いになったという。しかもまた、その授業の満足度も、自分によい成績をつけてくれた先生ほど高かったそうである。

として、相手につけたマイナス評価は、自分に跳ね返ってくるということだ。
逆恨みとまではいかないにしても、他者を嬉しい気分にさせないと、
嫌われるということのようだ。


さらに、自分の後輩や部下に対しての接し方もコツがあるようだ。

お節介は最小限に留めよ


基本的には、先輩面、上司面をして、指導などは行わないほうがいい。
失敗することが火を見るより明らかであっても、それでも黙ってみていよう。
(中略)
何でもあなたが手とり足とり指導をしてしまうと、その部下は”失敗に慣れる”ことを経験できない。若いうちには、どんどん失敗させたほうがいいから、失敗に対しての抵抗力をつけたほうがいいこともあるのだ。
(中略)
自分としては「親切な上司」だと思っているのだろうが、部下の側からすると、まったくお節介焼きだと思われているかもしれない。むしろ、部下の好きなようにやらせ、その結果についての責任もきちんととらせるようにしたほうが、いい上司なのである。
(中略)
だいたいあなたが口を出そうとしても、むこうは「口うるさいヤツだな」と思うのがオチである。口を出してもいいのは、部下のほうから「助けてください」とはっきりと頼まれたときだけなのである。

親切心が仇になるということですね。

根回し、ゴマすりも技術


根回しも、ゴマすりも、何か社会に魂を売ったような気になり、
本意ではないとできない人も見かける。
でも、使い方次第なのかと思った。

根回しを意識せずにできたら一人前


「根回し」という言葉は、きわめて日本的な意味あいの強い言葉のように思われるが、似たようなことは、どの国においても行われる。
たとえば、アメリカの議会では、「ロビー活動」という根回しを専門にやっている人がいる。また、政府の高官や大臣たちが、せっせと各国を飛び回っていることは、どの国でも普通に行われることだが、外交というのは、いわば根回しである。彼らが一生懸命根回しをしておくからこそ、首相や大統領のトップでの階段がスムーズに運ぶのだ。
仕事の商談においても、根回しは重要で、「舞台裏の交渉」(ビハインド・ザ・シーン・ネゴシエーション)という言葉は、まさに根回し以外の何物でもない。


ご参考までに、ロビー活動とは次のような意味です。

Wikipedia - ロビー活動
ロビー活動(ロビーかつどう、lobbying)とは、ある特定の主張を有する個人または団体が、政府の政策に影響を及ぼすことを目的として行う私的な政治活動である。議会の議員、政府の構成員、公務員などが対象となる。ロビー活動を行う人物はロビイスト(lobbyist)と称される。また、政府と民間企業の出入りを繰り返すことを「回転ドア」(revolving door)と呼ぶ。


根回しは、事前の行動のサインとして必要なようです。

なぜ根回しをしておかないといちゃもんをつけられるかというと、事前に説明を受けていない人は、なんとなくメンツが潰されたように感じて、気に入らないと思うからである。だから、どうでもいい揚げ足をとって、あなたの邪魔をしたがるのだ。
(中略)
米国ニューヨーク市立大学のグレン・ハス博士によれば、「私はこれからこんなことをします」と予告しておけば、相手もそれに合わせて態度や行動を変えてくれるという。
だれにも相談をせず、自分勝手に仕事をしても、「結果さえ出せば、何でも許されるだろう」と思ってはいけない。それはとても危険な考えである。

確かに、根回しをしないで何かした人は、
自分という存在が排除されたような気になり、もの凄く不快になることがある。
根回しが、無意識に行動としてできるようになったほうがいいスキルというのは、
間違いないことだろう。


ゴマすりについても、行動のとり方一つなのだとわかった。

ゴマをするなら、「全員にまんべんなく」が合い言葉


ゴマすりは、あまりよい評判をたててもらえない。
しかし、それはゴマすりが悪いのではなく、ゴマのすり方が悪いのである。特定の人だけゴマをするからダメなのだ。
オランダにあるレイデン大学のルール・フォンク博士によれば、特定の人だけをホメようとすると、ホメられなかった残りの人たちは、みな気分を悪くするという。したがって、特定の人だけにゴマをするのは、その他大勢から嫌われる原因になるのだ。

出会った人に全員ゴマをすれば、腰が低いとか、感じがいいという評価になる、
としている。
ゴマをする、という見方でなければ確かに人格者と紙一重という気もしてくる。

仕事の仕方の技術


嫌われない仕事の仕方なんてあるのだろうか、と思っていたら、
それもちょっとしたことのようです。

雑でもいいから、とにかく仕事は早く仕上げろ


すべての人間は、せっかちである。現代人はゆっくり待っていられない。少しでも待たされると、すぐにイライラするのが現代人の特徴である。

として、20年間のデータで現代人がますますせっかちになっている点をあげている。

したがって、仕事をするときには、「雑」でもいいから、「早く」やることである。
どんなときでも、相手を待たせないことが一番なのであって、仕事の内容とか、質などは、言ってしまえばどうでもいいのである。とにかく早ければいいのである。

マクドナルドの成功は、お客を待たせないことにあると説明している。

だいたい仕事をゆっくりやっている人間は、たとえその仕事ぶりが丁寧でもあまりよい評価は受けられない。逆に、少しくらい雑であろうが、スピーディな人のほうが、評価はよくなるものなのだ。
懐疑的な人は、ぜひ一度試してみてほしい。

著者である内藤さん自身、原稿を推敲せず執筆のスピードを優先して、
10年以上の作家生活のなかで原稿に遅れたことは一度もなく、
むしろ締め切りより大幅に早く渡しているらしい。
だから、早さに関しては説得力もある。


ただ、これは職種とか業種によっては、
スピードも大事だけど、完璧さや品質を求められるものもあるだろうから、
人によっては異論もあるだろう。
それでも、スピードなのだという気持ちを持つだけでも違うかもしれない。

自分の能力のアピール


自分は優秀だという自信がある人も、どうやら嫌われる要因になるらしい。

才能は出し惜しみしよう


もしあなたに人に抜きん出た才能があるのなら、その才能は隠すべきである。
(中略)
米国ニューヨーク州立大学のジュリー・エクスライン博士は、「優秀すぎることの危機」という論文を発表し、他人より優秀すぎることが相手にとって脅威を与えることにつながるという分析を行っている。
人の妬みの心を軽く見てはいけない。
ほんのちょっとでも人より優れていることがバレるのは危険である。いらぬ嫉妬をされて、周囲から浮き上がらないように才能を隠す必要があるのだ。
(中略)
いくら実力主義の社会になったとはいえ、まだまだ日本社会は、「横並び」をもってよしとする文化を有しており、「出る杭は打たれる」という現象が、そこかしこに見られるものである。

そういう悩みを持ってみたいものですね。
仕事をバリバリやるのも、加減が大事ということのようです。


そして、自分の長所のアピールの仕方も注意が必要なようです。
以下の引用部分は、仕事術ではなく処世術の章にあったものですが、
才能や長所の見せ方という点でここで引用します。

長所のアピールはするな、匂わせるだけにせよ


自分の長所などは、自分からは口に出さないほうがいいのである。
そのほうが、奥ゆかしい印象を与えることができるからだ。
(中略)
自分で自分をホメようとすると、相手を白々しい気分にさせてしまう。
だから、長所のアピールはやめて、”匂わせる”だけにとどめておくのが正解だ。
(中略)
物事というのは、直接的に表現しなくとも、間接的に表現するだけでも意味が通じることがある。これを心理学では、「含意」と呼んでいるが、自慢をするときなどは、そういうやり方をとったほうがいいのである。
「僕はとても頭がよい」という直接的なアピールをしていると、相手も気分が悪い。自慢話を聞かされて、喜ぶ人はいないからである。
したがって、頭がよいことをアピールしたいのなら、「本を月に五冊読んでいる」とか、「毎晩、一時間は勉強している」という”事実”だけを告げて、相手にそれを匂わせるだけでいいのだ。
嫌われやすい人は、ついつい直接的な表現で自慢してしまうから嫌われるのである。
自分の長所をアピールするときには、間接的に”ほのめかす”だけでいいのだ。


嫌われないためには、慎み深く、でも仕事は早く、
といういろんな要素を気にしなければならないのですね。


本書では、わかっていなくて無意識にやっていることと、
わかっているけど、あまり深くは考えてみたこともなくて、
今までのやり方がまずかったのかという気づきと、
それぞれ両方出てきます。
だから、時に不思議な文章とか思想に出会うような気持ちになりますが、
無意識の行動で自分の行動スタイルがわかったりします。



今日はこのへんで。
あともう一度くらい、本書をとりあげたいと思います。


では、また。