『アンストッパブル』試写会

こんにちは、検索迷子です。


映画、『アンストッパブル』の試写会に行ってきました。
今日は、その感想を書こうと思います。
映画、『アンストッパブル』の公式ホームページはこちらです。


まさに、Unstoppable


Unstoppableとは、止められない、防止できないという意味がありますが、
本作はまさに、暴走する列車事故をいかに止めるかがストーリーの中心となっています。


本作を映画としてだけ観れば、
ああ、アメリカのパニックムービーかと思ってしまうのですが、
これが、実際の鉄道事故を下敷きにした映画だと思うとぞっとします。


その事故とは、2001年5月15日に起きた、アメリカのオハイオ州での
CSX8888号暴走事故(CSX 8888 incident, 別名 クレイジーエイツ事故)のようです。

Wikipedia - CSX8888号暴走事故
CSX8888号暴走事故(CSX 8888 incident, 別名 クレイジーエイツ事故)は、2001年にアメリオハイオ州で発生した、有毒物資を積載した貨物列車が暴走した事故である。 CSXトランスポーテーションに所属するSD40-2型機関車と47両の貨車が、機関士不在の状態で最高51mph(82km/h)にて約2時間暴走し、最終的に追いついた別の機関車を後部に連結して停車させた。2010年の映画「アンストッパブル」のモデルとなった事故である。


鉄道に興味があってもなくても、
鉄道事故がどれだけ緊迫した事態なのか想像できますが、
無人だから影響はそれほど大きくないのかと序盤は思っていました。

ところが、貨物列車は発火燃料を大量に積み、
それがもし爆発したら大惨事になると、
街が非難する人々でパニックになるほどの恐怖に陥れるほどのものとわかると、
本当にハラハラしてきました。


この映画の内容については、次にあるとおりです。

Wikipedia - アンストッパブル (映画)
ペンシルバニア州にある操車場で、最新鋭のディーゼル機関車の牽引による39両編成の貨物列車がブレーキ操作の不備によって無人のまま暴走を始めた。この列車には19万リットルものの発火燃料が積載されており、このまま暴走を続ければ1時間40分後には人口密集地帯で脱線転覆し大惨事になることは避けられない。この「巨大ミサイル」と化した貨物列車を止めるべく、この鉄道会社で間もなく定年を迎える旧式機関車のベテラン機関士と、その列車で勤務していた新米車掌が立ち上がった。

人為的なミスが及ぼす影響の怖さ


この事故は、人為的なミスがいくつも重なり起きた事故ですが、
ちょっとした判断がこれだけの大事故につながるのだと思うと、
ひやりとしました。
もともとのミスをした役を、ちょっと小太りの人が演じていたため、
その人の鈍さみたいなことを若干、苦笑いに変えてはいたものの、
これがリアルな事故現場だと思うとヒヤリとします。


事故につながるときほど、軽く判断していたり、なんとかなるさみたいな、
そういうあいまいさのなかで、ことが運んでいくのだなと思いました。
人命をあずかる仕事に従事する人は、共感できるところもあるでしょう。


そして、日本ではあまり見ないような気がするのですが、
アメリカでの事故報道シーンでは、誰がミスをしたとか、
誰が対応に当たっているのかとかフルネームで写真付きで報じ、
ものすごく説明責任が問われる怖さみたいなものを感じました。
ヒーローになれればいいものの、ミスをした人はその後、どうなるのかと。
日本だったら、個人名は出さないで組織の責任とか、
せいぜい役職名だったりとかするところが、
アメリカでは個人の責任となるのだと思いました。

パニック映画なのに、ヒューマンストーリーも


この映画を観ていて、少し意外だったのが、
事故の対応を偶然することになった、ベテラン機関士と新米車掌が、
生きて帰れないかもしれないという緊迫した中で心を開きあうところだった。


当日初めてペアを組むことになったのだが、
会社は若手を登用するために、ベテランがクビを宣告しつつあり、
車掌への妬みの感情から、二人は言葉尻をとりあう険悪さだった。
それが、次第にお互いが抱える家族との問題を語り合うようになった。


が、それは、事故の対応をしながら、かなり緊迫したシーンでもある。
でも、実際の操作をする人間としては、レバーを引いたり、
手馴れた操作をするわけだから慣れない動きもそんなになく、
会話をするゆとりもあったのだろうが、
ふーむ、こんなときでも意外と話をする時間があるのだなと不思議になった。


うまくいけば、列車は止められるだろうが、
下手をしたら自分たちの命はない。
それでも、愛する家族を守るために、市民を守るために、
職業を全うしようとする意思は凄いことだと思う。


役者さんの味


デンゼル・ワシントンは、当初はしがない老機関士という風貌だったのだが、
後半になるに従い、全力で列車の暴走を果敢に止める精悍な目つきになったのが、
とても印象的だった。
そして、娘を愛する父親としての愛情深いところもよく伝わってきた。
Wikipedia - デンゼル・ワシントン



クリス・パインは、最初は青二才みたいな、
ちょっと嫌な感じだったのが、覚悟を決めてからは、
ものすごく頼れる車掌として一皮むけたようになった。
Wikipedia - クリス・パイン



そして、私が一番印象深かったのは、
管制官?というか、役職は失念してしまったのですが、
オフィスで事故解決を指揮していた、女優のロザリオ・ドーソンでした。
日本でこういう役職について、現場の陣頭指揮をとる女性をあまり見かけないため、
とても新鮮で格好良くて、素敵でした。
彼女が出てくるシーンをもっと観たいと思いました。

Wikipedia - ロザリオ・ドーソン



ドキドキしたものの、最後は必ず事故は起こらないのだと言い聞かせても、
それでも緊張しました。
90分と短めの上映時間でもあり、内容も重たすぎず、
えげつないシーンや怖いシーンなどもまるでなくて、
最後は、ああ良かったと思って観終われるところがよかったです。


あまり難しいこととか、深いこととか考えず、
タイトル通り、
アンストッパブルに集中して観られるのがいい映画だと思いました。


あ、それでも試写会にいた、面識がない女性の観客は、
帰り際、電車のシーンばかりで寝てしまったとも言っていました。
主人公二人の抱える人間模様や、機関士仲間の活躍っぷりに、
感情移入できないとそういう点もあるかもしれませんね。


でも、これはアメリカ映画らしい、トニー・スコットらしい規模感で、
私としては大いに気分転換になり楽しめました。
ただ、現実には絶対にあってほしくない事件ですね。


では、また。