芸人という生き方

こんにちは、検索迷子です。


芸人さんが多数参加するライブに行ってきた。
知り合いがチケットを直前で入手し、全く前知識のないまま、
初めてお笑いライブの場に出向いた。


テレビでよく見る有名な人もいれば、
名前だけしかしらないとか、
全く知らない方もいたが、それなりに楽しめた。


ライブってつくづく、ライブだなと思った。
売れている人には、風格が漂い、
これからどんどんいくぞという若手には、ぎらぎらしたものがあった。
顔色とか、気配とか、そういうものが伝わり、
テレビで見るのとは違った印象を持ったりもした。


たとえば10年コンビを組んでいてもまだ、ちょっと知名度が低い人は、
サラリーマンの世界ならば、決して若手とは言えない。
ちょっと表情も疲れが見えたりする。
でも、売れてやるという闘志は伝わってきたりする。


好きなことを仕事にする、とはよく言うが、
ネタでもあったけれど、その出演料は驚くほど安い。
アルバイトを掛け持ちしながら、生活しているのがわかる。
それでもこの場に全力を尽くし、観客を喜ばせ、覚えてもらおうと必死になっている。


お笑いが好きだというだけで、
それを生涯の仕事にしたいと選び、
そして、安定収入と言えるものを手にするあてもない状態で、
それでも、続けられるという熱意は、何かものすごくはっとさせられる。


ネタの間合いとか、台詞とか、
メンバー間でのやりとりとか、どれ一つとっても、
当然だけれど、ただはしゃいでいるわけではなく、
効果を狙って計算している。
まだ超有名ではなかったとしても、舞台に立てるだけあって、
やっぱりプロなのだと思った。


メジャーになるまで、どのくらいこの先、時間が必要なのだろう。
そして、芽は出るのだろうか。
そういう不安を当人たちは抱えながら、
でも、自分の才能を自分や家族は信じているのだろうなと思う。
今日のわずかな出演料だけを見るのではなく、
数年後かもしれない高額ギャラを夢見て。


芸人という生き方に触れて、本当に自分という存在は、
日々、好きなことに向かっていっているのだろうかと考えてしまった。



帰り際、入口でテレビやCMに出てメジャーになってきた芸人さんと握手をしただけで、
昨日まではまるで関心がなかった人だけど、
手を差し出されて思わず、面白かったですよと声をかけたら、
満面の笑みでくしゃくしゃな顔をして喜んでくれた。



おまけというか、そのあと食事をしにいった場所でも、
出演者の人と鉢合わせになり、
つい、さっき見てきましたよーと言ったら、ちょっと素で照れていた。
席まで隣になってしまったけど、
衣装を着替えて、普通の人の気配でくつろいでいたので、
それ以上は話しかけなかった。
でも、まだ、きゃーとか人だかりができるほどではなく、
満席の店内で気づく人は他にいなくて、
もしかしたら、そういう状況を心待ちにしているのかなと思ったりした。


芸人さんの知り合いはいないので、
どんな考え方をするかはまるで想像できないけれど、
なにかちょっと不思議な思いや、心をかき立てられるような時間だった。


好きなことで、不安定な収入と、
好きではないことで、安定した収入と、
どっちを選ぶ生き方が幸せなのかなと、少し考えた。


自分らしく、自分のやりたいことや可能性を試せることって、
その心意気がいいのかなとも思う。
あきらめない生き方、芸人さんってやっぱりすごいなと思う。
人を笑わせる仕事を選ぶということもそうだし、
自分が生き生きできる仕事を見つけているということでも。


では、また。