凄い才能を自分で創る

こんにちは、検索迷子です。


脳神経外科医の林成之(はやし・なりゆき)さんの本、
脳力開発マップのススメ −凄い才能を自分で創る』を読了した。

脳力開発マップのススメ 凄い才能を自分で創る (生活人新書)

脳力開発マップのススメ 凄い才能を自分で創る (生活人新書)


以前、林さんの本は、
『望みをかなえる脳』『<勝負脳>の鍛え方』をご紹介しました。
そのときも少し触れましたが、水泳の北島康介選手をはじめとした競泳チームに、
脳科学の見地からアドバイスをして、北島選手の2大会連続金メダルに寄与した先生です。


本書は、前作2作よりも、より実践的に利用しやすく、
手を動かしながら理解ができる工夫がされていて、楽しみながら読むことができる本です。


林さんが開発したという、
脳のメカニズムを視覚化した「脳機能マップ」、
才能発揮に必要な課題や、達成すべき関連項目を一枚の図に整理した「脳力開発マップ」、
「脳力診断チェックリスト」などがあります。


本書は副題にある通り、
凄い才能を自分で創る、をテーマにした本ですが、自他共にトレーニングできる内容です。
本人、お子さんを持つ親御さん、学校の先生、スポーツの指導者に向けて、
人間の才能を伸ばす脳科学の秘策を伝授しますと書いてある通り、
同じ問いかけでも視点を変えていけるようになっています。
そのため、自分のためにも、誰かのためにも読むことができます。

凄いアスリートになるための脳力診断・チェックリスト


脳が、どんな条件を備えているかを知るために、
7つの要素、各5つの項目で自分の脳についてチェックしていきます。


本書にはほかにも、「子どもを育てる親御さんや、教師向け」と、
「子ども本人向け」といったものもありますが、
いずれも大きな要素は、以下のアスリート向けのものと骨格は同じです。


用語として一番チェックリストのインパクトが強かった、
「アスリート脳を作る」を引用します。


アスリートの人はもちろんのこと、
日々のいろんな出来事に応用できそうな気がします。

凄いアスリートになるための脳力診断・チェックリスト


1.アスリートの本能を鍛える
決めたことは必ず最後までやり遂げる
バランスのとれた美しい姿勢と歩き方を育む
何事にも全力投球する素直な性格を誉める
失敗は自分を高めるステップと考え、必ず原因を明らかにする習慣を持つ
何事も自分でやってやると前向きの性格を大切にする


2.超一流になる素質を磨く
先生が好きになるように心がけている
興味を持ったものにはその才能を伸ばすように心がける
楽しい会話と感動して話を聞くことを習慣にするようにする
素晴らしい笑顔・前向きの明るい性格を大切にする
否定語を言わないように習慣づける


3.勝負勘を研ぎ澄ます
判断理解は複数の情報を重ねて行うことを習慣にする
自分で決断・実行を早くする訓練(期限付き計画・実行表をつくらせる)
先生の話は自分でもすぐに言えるように集中して聞く習慣を指導する
音楽・絵画・運動の趣味を持つことを勧める
決断したら期限を決めて一気に達成するように指導する


4.勝負脳を駆使する
指示よりも自分から考え・行動するように良い質問をする
目的と目標を明確にして自分で決めたことは最後までやり通す約束をする
だいたいできた、もうすぐゴールといった安易な考え方を認めない
勝ち負けより、勝ち方、達成の仕方にこだわる
決めたことは途中から迷わないようにする


5.独創的思考を磨く
自分の欠点やたりない所を人に伝える力を大切にする
くりかえし考える習慣の中からアイデアを出させるようにする
考えを一枚の絵にしてまとめる習慣を教える
ワクワクと考える環境作りを工夫する
ときどき、素晴らしい人の話を聞く体験をさせる


6.勝負師の心を極める
ライバルは自分を高めるツールと考え、日記をつけて自分を高める
勝負を好きになり先生やコーチは自分の才能を発揮するために天からつかわされた人と考える
チームのため、人のために燃える心を大切にする
計画や言ったことは必ず達成するように決める
常に先を読む早い決断を心がける


7.記憶を勝負に活かす
覚えることを好きになる工夫をする
関連づけて覚え・口で復唱する習慣を持たせる
感動する体験記憶として覚える話題づくりを行う
成功したときのことを自分で実況放送して再現する
記憶に否定語・不明語をなるべく持ち込まないようにする

脳力開発マップ


脳のしくみを生かすための方法を、4種類の「脳力開発マップ」としてあげている。
マインドマップの手法を使い、
脳科学の専門知識がない人にもわかりやすい表現をしている。

1.「逃避脳」を克服する子どもと親の脳力開発マップ
2.成功率を高める「達成脳」開発マップ
3.ここ一番に強くなる「勝負脳」開発マップ
4.才能発揮のカギを握る「空間認知能」開発マップ

これを実際にやってみると、自分の行動の整理に役立ちそうです。


脳の奥深くで、「気持ち」は「心」に変わる


気になったフレーズを少し、書き留めておこうと思います。

誤解を恐れずに言えば、人間は自ら進んで考えることによって、脳内で「気持ちが心に変換される」のです。この、気持ちを心に変えていく脳力があるからこそ、私たちは問題を認識し、理解するだけでなく、それを解決して克服することができるのです。思考と記憶を連動させて独創的なアイデアを生み出し、とてつもない才能を発揮することさえできるのです。

(中略)
情報を認識する前頭前野だけのレベルで発生するのが「気持ち」、そこからさらにダイナミック・センターコアの深部を働かせて、自分から考えるプロセスを通じて生まれてくるのが「心」、ということになります。「絵を描くのは楽しい」は気持ち、「楽しいから色彩をもっと工夫して鮮やかにしてみよう」は心。わかりやすい例で言えば、そういう違いです。
もう一度言います。「気持ち」は、考えることによって「心」になるのです。


このほかにも、本書でいいと思ったのは、
第5章 Q&A −多くの親や先生が悩んでいる質問に答えます
というコーナーがとてもわかりやすかったです。


英才教育の効果は、失敗からの立ち直り方、ケアレスミス
勉強をなかなかしない、など、
大人が子どもに対して持っている不満とか不安に、脳科学の見地から回答しています。
普通に、私たち自身にあてはめて読んでもわかりやすい内容でした。


脳は奥が深いです。
「気持ち」が「心」になるまで、何度も何度も、
自分の存在と向き合って、それでもまだわからないんだろうなと思います。


では、また。