こんにちは、検索迷子です。
クリエイティブディレクターの伊藤直樹さん著の、
『「伝わる」のルール −体験でコミュニケーションをデザインする』を読んだ。
- 作者: 伊藤直樹
- 出版社/メーカー: インプレス
- 発売日: 2009/09/17
- メディア: 単行本
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Wikipedia - 伊藤直樹
ナイキ、日本コカコーラなどメジャーな作品を多く手がけて、
数多くの受賞歴もあるかたである。
経歴については、本書の第0講で『広告批評』元編集長の河尻亨一さんが詳細に解説をしている。
本書は、広告の学校での講義3回分を収録したものである。
実際に、そこで行われた生徒とのやりとりや企画書の課題、
伊藤さんによる講評などがわかるようになっている。
構成は次の通りである。
第1講 「インタラクティブ」のルール
第2講 「仕組みと表現」のルール
第3講 「インサイト」のルール
この本は、広告に関わるひとだけでなく、
インターネットの世界にいてWebサイトを作る人たちにも、
ぜひ読んでほしいと思う。
いや、もっといえば、誰かに何かを提供するサービスをしている人なら、
誰しも発見があると思う。
「伝える」方法を考え抜くこということが、「伝わる」ルールなのだと思う。
そこに気づかせてくれる。
「いい切り口、いいインサイトを見つけたもの勝ち」
印象深かった言葉をあげます。
上記の、言葉もそうです。
続けて、以下のように言っています。
みなさんだって、自分のことに興味を持ってくれていない人や自分のことをわかってくれていない人よりは、気持ちや人格、立場なんかをよく理解してくれている人の話に耳を傾けたくなるでしょう?
広告のコミュニケーションも基本はそれと同じなんですよ。受け手となる人たちが感じている日常の小さな欲求や思いなどから、いいインサイトを発見できたら、それだけコミュニケーションは成立しやすくなるんです。
(中略)
人間の発想は直感的な思いつきに見えても、じつは論理的に説明ができる理由があることが多いんです。コアの部分にある気持ちや感覚、意識なんかを掘り下げて考えることで、それを追究していく。
要するに、そのアイディアのエッセンスの部分をつかむということですが、じつはこれもひとつのインサイトの発見法なんです。商品との関係のなかでおもしろいと感じるポイントを、受け手を代表しての自分の感性に求めているわけですから。
「やはりメッセージは表現で伝えるもの」
そして、私自身とても共感したのが次の言葉です。
最後にもう一度、どうしても強調しておきたいのは、ウェブをからめたり、インタラクティブコミュニケーションを使ってキャンペーンを考えたりするときに、けっして「仕組み論」だけに走ってはいけないということです。
やはりメッセージは表現で伝えるものなんですよ。もしかしたら表現でなきゃ伝わらないといってもいいかもしれないくらいです。このことは、ぜひ肝に銘じておいてほしい。
ネットの世界では日々新しいテクノロジーが開発されていることもあって、どうしてもみんな、そこばかりを注目してしまうんです。新しいテクノロジーには、だれしも未来や可能性を感じますから、やむをえないところもあるのだけれども、でも人の心を動かすのはやっぱりテクノロジーや仕組みではなくて表現なんです。ほかのメディアを見ても、それは明らかでしょう。
ウェブはまだ新しいメディアですから、いまはテクノロジーや仕組み、インターフェースといった部分がフィーチャーされていますが、この先もずっと同じスタンスであるはずはない。メディアとしてある程度の成熟を遂げたら、あとは表現とコンテンツのことしか語られないんじゃないかとぼくは思っています。
(中略)
この先は、間違いなく、いまよりもっと「体験」がメッセージを代弁するようになるはずです。そして、そのカギを握るのは、「身体性」を意識したフラットな意味でのインタラクティブだと思うんです。
なお、伊藤直樹さんは、
「インタラクティブ」を、ウェブのコミュニケーションだけを意味するものではなく、
「相互に作用する」といったフラットな意味でとらえているとのことです。
「伝わる」ためには、何をするか。
どうやって考え抜くか。
伝わる、コミュニケーションする、
そういう大切なものを、この本は自分に向けて考えさせてくれます。
なぜ、その表現なのか。
なぜ、その表現ではいけないのか。
すべては、伝える相手に向けて、
伝わるために考えた結果でありたいと思う。
そして、きちんと伝えたいと思う。
伝わったことを確認していきたいと思う。
伝わるためにも、ルールがあるのです。
では、また。