道草を食うと見えるもの

こんにちは、検索迷子です。


ちょっとした時に、
いつも同じ道、いつも同じ行動、
いつも同じ時間帯での生活をしていては見えないものが見えることがある。


私は長い期間、同じ地域に住んでいるが、
ペットを飼うために一度引越しをした。
生活環境が気に入っていたため、徒歩3分の距離のところを即決し、
あまり大きな変化はないだろうと思っていた。


ところが、そのわずか3分の距離で驚くほど発見がたくさんあった。
最寄り駅は変化しなかったのだが、駅までの経路が変わった。
その経路が変わったことで、自分が住んでいる地域には、
数多くの散歩ができる場所や公園があることを知った。


それまでいたところが、駅から広い通りだけ通っていけるところだったため、
行動範囲は単調なものだった。


ところが、少し細い道を入る場所に住み出したら、
家に行くまでの経路がたくさんできて、
その周辺が放射状に迷路のように、出かける場所がたくさんできた。


たった3分の距離を引っ越して、
今まで以上にいい環境に住んでいるよさがわかり、
ますます今の地域が好きになった。
あのまま同じ場所に住み続けていたら、この緑豊かな環境に気づくこともなかったのだと思う。


道草を食うという言葉がある。
あまりいい意味では使われないが、道草を食うのは悪くないと思う。
コトバンク - 道草を食う【ミチクサヲクウ】


動物は嗅覚でいろんなものに反応するため、
ひんぱんに道草を食う。
文字通り、本当に「道草を食う」のだ。
まっすぐには歩かない。道草を食うことが仕事のように、
数歩歩いてはくんくん、右に左に蛇行しながら、
自由きままに歩く。


放射状に広がるどの方向にもいろんな学校があるが、
その子どもたちも道草を食っている。
葉っぱをちぎってぶらぶらして、ザリガニをとっていたり、
公園に集まって話し込んでいたり、
道草を食う時間を楽しんでいる。


大人になってから、
道草するなんて無駄な時間の使い方だと思っていたけれど、
道草は楽しいことなのだと思った。
道草をするからわかることもある。発見もする。


長く同じ地域に住んではいるが、町内会には入っていないため、
歩くことでしか情報収集できないものもある。


道草で結構びっくりするのは、
ひんぱんに散歩する道や公園でお祭りの屋台が出ている、
ということを知ったりするときだ。
今年も、自宅からほんの数分のところにそういうのを見つけた。
以前いたところからも、今いるところからも3分で行ける場所なのに、知らなかった。


毎日通る道ではないので、今までそのシーズンだけ通ってなかったのかと思った。
へー、何年もいるのに知らなかったと思うことが多い。


特にお祭りの場所は一気に華やかになるので、驚く。
もう、何箇所もそういう場所を見つけた。
お祭りをやっていることは知っていても、おみこしをかつぐわけでもなく、
それは町の賑わいの声だけで感じていただけだったりした。


道草を食うことで、知っているつもりのもの、
なじんだつもりのものの違う側面が見られる。


同じ場所、同じ風景、同じ時間帯でも、
まだまだ知らないことも多い。
道草を食うゆとりがあると、なんとなくもっと豊かな気持ちになれそうな気がする。


数歩歩いて、立ち止まる。
においをかぐ。
また歩き出す。
そのゆっくりとした歩みのなかでしか、見えてこないものもある。


あせらず、道草を楽しもう。
いつも同じ行動をしていては、同じものしか見えない。
そんなのはつまらない。


ゆっくり歩こう。


では、また。