私の仕事道

こんにちは、検索迷子です。


仕事を選ぶとき、
あるいはキャリアをいったん中断して再度働き始めようとする人が、
ビジネスの先輩たちから学べる本がある。


それが、『私の仕事道(しごとみち) −トップ女性10人のジグザグキャリアから学ぶ!』だ。
福沢恵子さん監修、日本能率協会マネジメントセンター編だ。



福沢さんについては、勝間和代さんとの共著など、
以下のエントリーで触れていますが、仕事や働き方などを中心に、
ジャーナリストとして活動され、さらに日本女子大学客員教授でいらっしゃいます。
チャンスをつかむビジネスゲーム


さて、本書は10名の現役で花形職業ともいえるお仕事や、
超一流企業で働いている方たちが登場します。
でも、本書は現在に光をあてるというつくりではなく、
今に行き着くまでのキャリアチェンジや家族との時間によるキャリアの停滞時期、
やりがいに対する葛藤の時期、迷いの時期をどう乗り越えてきたか、という本です。


今その人が、活躍されている背景にはこういう時間があったのか、
こういうロスタイムや回り道があったのかと、
キャリアというものは一本の道ではないのだと思わされます。


福沢さんが「はじめに」で、
次のように本書に登場する人たちについて書いています。

「上に行く女性」が知っている3つのこと


一つには、「目の前のことを大切にする」
二つには、「しっかりと悩んできた」
三つには、「肩の力を抜き、自然に働き続ける術を知っている」


ということを納得できる内容です。
特に、私は二つめの、
しっかりと悩んできた、という部分にとても共感します。


キャリアを悩んでいる人を見た他者は、
とかく我慢しろ、妥協しろ、あきらめろ、仕方ない、
といったような何の解決にもならないアドバイスをすることがあります。


それに対して真剣に悩み続けて、
自分の心に耳を澄ませることに、否定的になるのはおかしいと思います。
本人のことを一番知るのは本人なのだから、
しっかりと悩む、それがどれだけ時間がかかっても、
自分が悩んだことなら納得がいくはずなのです。


そして、悩んだ先に今までを越えるものを獲得する努力ができれば、
何年悩んだとしても絶対に意味のある時間なのです。
それを、解決を急いで適当な方向にいくことで、
納得のいく仕事ができなかったり、キャリア形成ができない人が多いような気がします。
問題は、質の高い悩みを持てるかなのだと思いました。
しっかりと悩むことには、意味があるのだと納得がいきました。



本書は、2部構成になっていて、
後半はキャリア女性4000人アンケート「仕事・昇進・結婚・出産−思いと悩み」
となっています。


日本能率協会マネジメントセンターが、
NPO法人J−Winと協力して、J−Win会員企業に勤務する女性を対象としたものだ。
本書によると、
J−Winは、企業におけるダイバーシティ・マネジメントの促進と定着支援とした企業メンバー制団体である。
多様性を受け入れる余裕のある会社のため、会員企業は超一流企業が多い。


ダイバーシティ・マネジメントという言葉は、
大手企業であっても、ごく一部しか組織になっていないような印象がある。
いっときは、女性や身体障害者だけをさしたり、
あるいはジェンダーとごっちゃになったりと、
会社がしっかり運営して、社員がそれを享受しているのかが少しわからない。


Wikipedia - ダイバーシティ・マネジメント


大手企業の成功事例などを見たこともあるが、
ダイバーシティ・マネジメントにとりくめる余力があるのは、
現状、比較的大手や、従業員を何よりも大切にする社風の会社に限定されるだろう。
参加企業一覧を見て納得できる面が多い。


ダイバーシティ・マネジメントに脱線したが、このアンケートから学ぶことは多い。
興味深いのは、
制度が整った大手企業に働く人でさえ、悩みは抱えているのだ。
やはり、個人のライフステージにあった人事制度は、
なかなか実現しにくいということもあるだろう。


働き方を迷ったら、先に迷っている人の迷いの解決方法のなかから、
自分の進むべき道の参考になるアイデアがないか、
しっかり悩むために参考にしたいと思う。


女性だから、男性だから、ということは関係なく、
職業人としての迷いはどれも近いのだと思う。


しっかり、悩んで、しっかりと前を向こう。
一生悩んでなんていられない。


でも、悩むことは、
ジャンプのまえの助走期間みたいなものだから、ほんとうに大切です。
むしろ悩まないで走る人のほうが、自分の時間を浪費している気がします。


とりあえず、とりあえずで目の前のことだけを決めても、
キャリアは積み重ならない。
そして、歳ばかり重なっていく。
いつかため息をつく前に、今、立ち止まったほうがいい。
そういう道だってあるのだから。


いつか、私の仕事道といえるものを見つけるその日まで。



では、また。