ビジネスモデルが違っても

こんにちは、検索迷子です。


Webサービスで競合とされるところ同士を比較して、
ページビューやユニークユーザー数でサイトのランクづけをすることがある。
そして、どのサイトがこの種類のサイトでは首位にいる、
首位が逆転したといったことが話題になる。


こうした数字は、圧倒的首位に立つサービスであればいいが、
追う側、あるいは首位にいて追われる側からすると、とても悩ましいものだ。
そして、Webサイトの場合、楽天市場のような巨大サイトは別格として、
どのサイトもヒットサービス一つができただけでも、あっというまに順位が入れ替わる。
それだけ、各ジャンルで定番中の定番といえるサイトは少ないと言えるかもしれない。


インターネットの企業に勤めたことがない人は、あまりなじみがないだろうが、
このページビューやユニークユーザー数と言うのは、
毎朝、前日分を集計して、昨日はよくサイト閲覧された、
閲覧者が増えた減ったと日々やきもきさせられる数字なのだ。


営業部門の売上と同じく、
一日、週、月、クオーター単位、半期、通期などの目標があって、
それは部門単位、課やチーム単位、
さらに個人単位の査定で給与にかかわる目標となっているところもある。
つまり、この数字で目標数字を達成しないと、
減給されるほどシビアな数字として扱っているのだ。


こうした数字は、実際にリアルに訪問者を確認したりするわけではなく、
各社のWebサイトのページ構成に依存したりするので、
本来は横並びで一概には比較はできない。


ただ、それだとあまりにも何も指標がなく、
各社単独の公表数値を見たところで、比較するものがないと数字の価値がわからないだろう。
そこで、よく使われるのが、共通の統計ツールを使って出された数値だ。
定番は、Google Analytics

Wikipedia - Google Analytics
Google Analytics(グーグルアナリティクス)は、Google社が無料で提供するWebページのアクセス解析サービス。


さらに、Alexaもよく使われる。

Wikipedia - アレクサ・インターネット
alexa.comでは、ドメインのアクセス量(トラフィック)や訪問者数、1回の訪問あたりの閲覧ページ数などを表示できる。また、Alexa InternetはWayback Machineのデータ提供元でもある。

この二つは集計の若干のくせによって、二つを同時に参考にすることが多い。
ただし、あまり小規模サイトはこの数字では拾いきれない。
両方で分析できるということ自体が、閲覧されている証拠となり、
人気サイトの指標ともいえるだろう。


さて、ツールはさておき、
よく自社と競合他社はビジネスモデルが違うから比較対象にならない、
といった声を聞く。これは主に経営陣に近い立場の人だ。
そして、こういうことを言い始める段階は、後発から追撃されていたり、
あるいは二番手以降で、なかなかトップを追撃できなかったりする立場のときだ。


また、ビジネスモデルが違うから比較しないでよと、半分泣き言交じりで言うのは、
サービスを作る側だ。
これは、私自身もそうだったのだが、後発で順調に利用者数は増えたのだが、
どうしても追い越せない数字が一つだけあった。
そうすると上司は、人気が出た、取材されたって言っても一番じゃない、
早く一番になれ、ということを繰り返し言っていた。


ビジネスモデルが違う、こちらは単一サイトでやっているけど、
向こうは他社にコンテンツ提供をしているから、
何倍も入口があるから比較されても、違うと思っていた。
それに、似てるけど同じサービスじゃない、独自のものを自分たちは作ったんだと思っていた。
でも、ことごとく比較され続け、じきにそこを抜き去って、
本当の意味で圧倒的に首位に立つまで言われていた。


でも、あるときはたと気がついた。
ビジネスモデルって、簡単に口にするけれど、
どのサービスだって、どの会社だってビジネスモデルは違うのだと。
もっと言えば、同じ会社のなかでだって、コンテンツが違えば違う。


たとえば、コミュニティといっても人によって、
ブログなのか、掲示板なのか、SNSなのかそれはまちまちだ。


でも、そこでビジネスモデルがうんぬんということは問題ではないのだ。
それは提供する側の理屈であって、
使うひとたちにしてみれば、
人とつながるツール、楽しいツール、もしかしたらひまつぶしのツール、
それぞれの目的があって、そのなかから、
限られた時間のなかで使おうと思う少数のサービスだけが残っていく。
それが、ページビューやユニークユーザー数という足跡になる。


もっと単純に言えば、
ランチに、すき家で牛丼を食べるか、ファミレスでハンバーグ定食を食べるか考えるとき、
ビジネスモデルなんて、利用する側は関係がない。
スターバックスドトールのビジネスモデルの違いを考えながら、コーヒーは飲まない。
飲む人もいるかもしれないけれど、
もっとシンプルに、どっちのお店が好きかとか、どっちの味が好きかとか、
そういうことではないかと思う。


食べる、飲むという単一の目的のために両方、あるいはもっとたくさんの店舗を、
候補の同じ土壌に上げて選ぶが、それはビジネスモデルでとは違うと思う。


Webサービスもそうなのだと思う。
SNSだからこれを使っているのではなく、
楽しく使っている人とつながれるサービスが、たまたまmixiだったとか、
Twitterだったとか、そういうのは結果なのだと思う。


とはいえ、そういう行動は逆に正直に数字の伸びに反映される。
同じようなサイト、似たようなサイトは多数ある。
でも、どことも似ていない、使いやすいサイトが残っていく。
そういういいサービスは、数字を伸ばそうとしているのではなく、
いいものを極めた結果、いつのまにか利用者がついてきてくれているのだと思う。
これで何ページビュー稼ごうと思って作ったサービスより、
とにかく、もっといいものを、もっと使いやすいものをと愚直に極めたほうが数字は伸びる。


ビジネスモデルがと考える前に、
その3ステップの操作を1ステップでできるようにするだけで、使い勝手が良くなるなら、
きっとそのほうが数字が伸びる気がする。
ページビューは一時的に3分の1になるかもしれないけれど、
操作性が悪くてページビューをかせぐ質の悪いサイトになるより、
少ないページでより役立つサイトを目指したほうがずっと、
人はついてきてくれると思う。そして、それが数字に乗ってくる。


ビジネスモデルが違うなんて、負け惜しみにしか聞こえないのは何故だろう。
ビジネスモデルが違っても、
結果的に、その行動のときに二つのサイトを並べる人がいるなら、
人からの見え方は同じときに使うサイトなのだと思う。


作り手がいくら違うといっても、
使い手が同じだというなら、それは同じ種類なのだと思う。


儲けの構造より、愛される構造として、
ビジネスモデルを考えていきたいものだなと思う。
何か調べようと思ったら、つねにここに来てもらえる、
そんな簡単な理解でいいのだと思う。
それくらい、わかりやすい、役に立つ、また使おうと思ってもらえるってことだから。
何回も来てくれるのは、いい経験ができたからのこと。
楽しんでもらうことから始まるビジネスモデルだってあるのだと思う。


では、また。