1962年からの読書術

こんにちは、検索迷子です。


読書術の名著として、紹介されていることの多い本が、
『読書術』加藤周一(かとう・しゅういち)著だ。

読書術 (岩波現代文庫)

読書術 (岩波現代文庫)


この本は、2000年発行のものだが、
初出は1962年と今から48年も前に遡る。
私が手にとったのは、93年発行の本で、
あとがきが初出から30年後のものとして書かれていた。

読書術 (同時代ライブラリー)

読書術 (同時代ライブラリー)


実用書と言えるジャンルで、
時代的な引用事例の変化はあるものの、今もなおこの本は現役として使える凄さがある。


本を読む、本がある生活を過ごす、本を生かす、
本と上手につきあうことの考え方など、今も同じ視点で語られることが多く、
そういう点で、廃れない名著と言えるのだと思う。


1993年発行の本書でとりあげられているものから、抜粋すると、

Ⅱ どう読むか、その技術


おそく読む「精読術」
はやくよむ「速読術」
本を読まない「読書術」
外国語の本を読む「解読術」
新聞・雑誌を読む「看破術」
むずかしい本を読む「読破術」

となっている。
特に、速読術については、この時代から語られていたのかと感慨深い。


私が印象に残ったのは、この速読術の一節でした。

まず”合言葉”を知る


日本では政治的グループにかぎらず、それぞれの社会的グループがそれぞれの、隠語とまではいかないけれども、そのグループ以外ではめったに用いられないいくつかの単語を持っていて、そういう単語を繰り返し使っています。


(中略)


国という大きな社会は、多かれ少なかれ閉鎖的なグループや組織に分かれています。そのグループや組織が独特の語彙を備えているということは、グループ相互のあいだの考えの流通をはかるうえに不便な一面を持っていると同時に、言葉の違いによって、たちまち所属のグループを確認できるという便利さもあるのです。

として、
「それを覚えるのは、面倒には違いありません。しかし一度覚えれば、便利このうえもないこと」と締めくくっています。



日ごろ、共通の言語、共通の認識を持つことに、
とても気を配ることが多いため、この見解は読書という視点だけでなく、
合言葉を見つけることでコミュニケーションはとりやすくなることを教えてくれています。


また、外国語の本を読む「解読術」も参考になりました。


さらに、むずかしい本を読む「読破術」では、
言葉の定義をはっきりさせる、あいまいな言葉をなくす、の項で、
当たり前なのだけど、言葉をなんとなくとらえてしまう弊害を説き、
言葉をおろそかにせず読書をすることの重要性を再認識しました。


古いからすばらしいというのではなく、
すばらしいから、約半世紀指示されている本なのだと実感しました。


いい本は、自分の成長を助けてくれると思います。
いかに読書を効率的に、そして、飛躍的な明日につなげるために、
読む時間を大切にするのか、常に誰かが考えて、残してくれているのだなと思います。
一つでも実践したいものです。


では、また。