単純接触効果

こんにちは、検索迷子です。


心理学の用語を一つ覚えると、自分の無意識な行動や思考が、
意味づけされてすっきりとすることがある。


そんな言葉の一つが、単純接触効果(mere exposure effect)だ。

wikipedia - 単純接触効果

なかなか、用語が思い出せず検索してみてわかったのだが、
ザイアンス効果、ザイアンスの法則、ザイエンス効果、
ともいうようだ。


アメリカの心理学者ロバート・ザイアンスの実験によるものらしいが、
余談だが、この名前やスペルを調べるのに苦労した。


ロバート・ザイアンスは、Robert Boleslaw Zajoncが正式名のようだが、
Wikipedia日本語版では、本人と特定できる情報や出版物の情報がなかった。
単純接触効果(ザイアンス効果)の中身はさておき、人物や実績が気になり調べてみた。
この心理学用語がどれくらい確かなのかということを知るために、
どんな人の研究かに興味がわいた。


が、なかなか情報にたどりつけなかった。
いくつか情報を検索しつつ、
国立国会図書館のレファレンス協同データベースのレファレンス事例で、その答えを得た。
若干、下情報を得て、逆引きの感じだが、名前と心理学者、出版物情報がわかった。

質 問
『新版心理学辞典』(平凡社)の「Zajonc」の読み方を知りたい。

回 答
人名索引から本文を確認する。「ザイアンス」と読む。当該項目の筆名も知りたいということで〈Zajonc,R.B〉と回答。

回答プロセス
追記:『心理学辞典』(有斐閣)p287「ザイアンス」の項に、「Zajonc,Robert Boleslaw(1923-)」ポーランド生まれのアメリカの社会心理学者とあり、略歴が掲載されている(2008/01/30確認)。


さらに、脱線するが、
図書館情報学を学んでいたころ、レファレンス研修を受けたことがあるが、
この国会図書館のデータベースの存在を知らなかった。


レファレンス事例の蓄積が大切という話は、何度か聞いていたが、
その当時は、インターネット活用ではなく書籍ベースでの研修だった。
データベースがあるだけで、こうしたナレッジが検索できて本当に助かると思った。


図書館で調べものをする、
レファレンサーレファレンス・ライブラリアンになることをあきらめた私は、
なぜかインターネットで検索迷子を救うお手伝いをしている。
手段は違っても、探し物を見つけるお手伝いが私の興味のあることなのだろうか。


さて、かなり脱線しましたが本題に戻ると、
単純接触効果とは、一言でいうと、ひんぱんに接している物や人に好感を持つということです。
CMでの効果や、営業マンの訪問や、恋愛などでも使われることがあります。


私はどちらかというとこの言葉を、接触回数を増やす戦略としてではなく、
接触回数の多いものをいいものと勘違いしてはいけないという、
戒めとして使う言葉として着目しました。


たとえば、そんなに仕事ができるわけではない人と、
毎日一緒にいるだけで、
限られた組織や空間のなかでは、最もできる人に見えることがあります。
一挙手一投足に影響を受けたり、振り回されたり、信頼をしたりすることがあります。


でも、一歩その場を離れると、そのレベルはいくらでもいて、
なんてことのない人だったという経験をすることがある。
なんで、あんな人のこと信用したんだろうと、過去の自分を笑いたくなることがある。


誰かに影響を受けすぎたり、誰かの判断を仰がないと不安だったりするときほど、
その人のいうことだけが正しいのだろうかと、
あえて外を向いたほうがいいと思うことがある。

その仕事のやり方だけが正しいわけではないことを、
言われたとおりにやって、本当に成功するのかと、
失敗したときに責任をかぶるのは誰かと考えて、
一度冷静に考えたほうがいいと思うことがある。


単純接触効果は、仲良しチームであればうまくいく場ならいいし、
社内恋愛で楽しみたい人はそれでいいと思う。
でも、仕事の成果を問われる場にいる場合、大切なのは、
見慣れた人の発言ではなく、その仕事にとって何が大切か本質を考えることにある。


単純接触効果は、私にとっては、
手近なところで、適当に要件を満たす人間関係や解決方法を探す、
安易なことに見えてしまうことが多い。


隣の席にいて、自分より先に入社したひとは、必ずしも仕事のできる人なんかではない、
ただ、小さい世界で、自分より少しだけその仕事に手馴れているだけだと、
軽く尊敬などしてはいけない、きちんと本質を見定めようと思うようになった。


毎日たくさんの人と話したり、会ったりするようになって、
人に会えば会うほど、単純接触効果は意外と薄まるとわかってきた。


毎日少ない人としか会わない頃は、一緒に仕事をする人が最善と思っていたのが、
今となっては、よくあの空間にいて、小さい範囲で仕事をしていたなと笑えてしまう。
単純接触効果のみしか働いておらず、もっと世界を広げればいいものがあるなんて、
あの頃は思いもしなかった。


少ない選択肢のなかから、仕事ができそうな人を選んで接してきたが、
その限られた人ですら、
他の組織のなかでは使い物にならないくらいのレベルだったといまさら気づく。
いったい、何に振り回されていたのかと。


ありもののなかで、手近なもので済ませてはいけない。
もっといい仕事や、いい人間関係、いい時間はあるはずだと思いながら進んでいる。


単純接触効果で、感情移入して行動して、後から違ってたと思うことが多く、
だんだん接触回数の多さで判断するより、本質を見る目が鍛えられてきた。
テレビを見る時間を減らしたら、CMを見なくなり、
物を買うのもすべて自分で調べることが多くなった。
接触すらしないのだから、自分からアクセスできるところが優位に立つようになった。


自分の目を信じて、責任を持って選択していこうと思う。
接触回数だけで、善し悪しを判断してはいけないなと思う。


では、また。