こんにちは、検索迷子です。
私はインターネットの世界で働いているが、ハードまわりにめっぽう弱い。
そう自分を決めつけているせいか、新しいツールや、新しい仕組みは、
必要に迫らない限り使わない。
詳しい人がいるものは、自分でやらずにやってもらうことが多かった。
作業はやらないし、ツールも使わないのに、資格はもっていたりして、
インターネットまわりの技術情報を体系だてて学び、
概念は中途半端に知っていたりする。
新規サービスはログインしたことはなくても、ニュース記事を読み、
なんとなく何ができるかは知っている。
いずれにしても、なんとなく知っていることばかりで、
手を動かさない、使わないことで見えていないものもあることは自覚していた。
最近、EVERNOTEを使い出して、目が覚める思いがしている。
正直なところ、ちょっと便利程度のツールで、ケータイメールや、フリーメールや、
ノートパッド、メモ帳といった、類似の既存サービスとの違いや特長はないかもと思っていた。
ところが、初めて検索迷子の下書きに使ったとき、わずか数秒で良さが体感できた。
うわっ、便利だーと思った。
そして、気づいたら翌日から普通に使うことが当たり前になった。
それどころか、類似サービスを使ってまではやらなかった、
通勤時間での下書きをするようになり、時間の使い方や行動が変わった。
道具の力はすごい。便利だとわかった瞬間、あっというまに、
無意識に、いつのまにか、生活を変えることがある。
EVERNOTEは、何がいいのかと考えてみた。
まず、目的にたどり着くスピードが、速い。
クリック回数が階層構造の浅さで少なく済む。無駄な機能を削ぎ落とし、
少数機能に特化したゆえにできることだと思った。
寄り道をすることや、寄り道をさせられることなくすぐに欲しい情報にたどり着く。
また、デフォルト表示でプレビューが見える点は、
文字リストと比較にならないくらい操作性がいい。
文字リストへの切替はあるが、プレビューが重宝しているので、
切替て使うことはないかもしれない。
さらに、メーラーのように、
今必要のないメールからより分ける手間がなく、いらない情報が混在しない。
ほしい情報がすぐに探し出せる。
それから意外と新鮮だったのが、
サインインボックスにある、「1 週間サインインし続ける」という表現だ。
こういう表現を見たことがなかった。
他のログインボックスは、ログイン情報を保持するために、
「このパスワードを記憶する」といった表現が多いように思う。
1週間が適切かはさておき、
期間がわかる表現が新鮮で、なぜかわかりやすい気になる。
パスワードを記憶するという表現に、私は慣れすぎていたけど、
ログインボックスだって表現を見直す余地があるのだとはっとした。
そういうもの、こういう表現だと信じて疑わなかった。
でも、表現を変えたっていいんだと思った。
ハードもソフトも苦手だからこそ余計に、
「うわ、便利」とシンプルに良さがわかるものに出くわすと嬉しくなる。
ユーザビリティのプロでありたい自分は、
今まで、入り口の離脱率にだけ目が向いていた。
だから、ログインしての調査はよほど必然性がない限りやらないでいた。
こんな決め付けはよくないなと思い出させてもらった。
EVERNOTEはアカウントはとりにくい画面だと思ったけれど、中身のシンプルさはいい。
たった一つ階層があがり、たった一つ表示方法を変え、たった一つ文言を見直すだけで、
類似サービスからあっという間に乗り換えて、知らないうちに定番ツールになるのだ。
私は今、新しいサービスの立ち上げに向けて、何を強みとして打ち出すか考えている。
過去に手がけたサービスは、類似はたくさんあり後発だった。
でも、今はあるジャンルにおいて、ページビュー、ユニークユーザー数ともに圧倒的首位に立った。
先行サービスがある場合、チームは競合指定をした類似サービスを参照点として考えていく。
同じ機能、同じ画面遷移、同じ文言を当たり前に受け入れて、議論すらしないこともある。
でも、真似ではだめなんだ。
唯一のものにならないと、わざわざ作る意味がない。既存概念を打ち破り、こういうサービスは、こんなものという先入観や偏見を、使った初回に強烈に植え付けないとだめなんだ。
最初は、既存の類似サービスと並列化して、仲間に入れてもらえるような認知でいい。
でも、しだいに、
いずれこれしかいらないと、いつのまにか、一途に使ってもらえるインパクトがいると思った。
新しいサービスは、暮らしのあり方や、手順、人生の選択肢を変える。
たった一つの機能や表現によって良さが伝わり、他にはない、ここにしかないものを作る。
何かに似ているものではない、唯一のブランドになる。
その気持ちをEVERNOTEに思い出させてもらった。
新サービスのドメインが決まった。
これがドメインをじか打ちしてもらえるほど、認知される日はくるだろうか。
あるジャンルで探し物をするときの唯一なもので、定番になれるだろうか。
誰かの暮らしを豊かにできるだろうか。
問いかけ続けて、答えを出すしかない。
初見で、あ、便利と思われたい。
あるいは私のような新しいツールが苦手な人に、
口コミで伝えてくれるようなスキルの高い人に、まずはインパクトを与えたい。
今はそれが叶わぬ夢みたいに思えるほど、現実的なデータ集めに埋没している。
この地道な信頼性を高める作業の向こうに、きっと道は拓けるはずだ。
きっと。
検索迷子は、もっとユーザビリティに真剣であろうと思う。
たった一つの基礎機能にこだわる。
たった一つの違いが、爆発的な存在感を生み出す。
たった一つ、その凄さを見せつけたい。
では、また。