こんにちは、検索迷子です。
連日、仕事の打ち合わせで、社内外問わず初めての方とお会いします。
その時に私を紹介してくれる社内の人は、
過去に手掛けたWebサービス名を挙げて、それを立ち上げた人ですと伝えてくれる。
過去、私が手掛けたWebサービスは、
大手サイトのブランドを背負っていたものの、
そのブランドの末っ子として、小さなサービスとして生まれて、
大々的なプレスリリースもされなかった。
トップページからの誘導リンクも、不安定な機能ゆえに載せてもらえなかった。
その時代にとって新しい機能であったものゆえに、
認知度もなく、安定性も悪く、説明しても何のサービスなのか、
なかなかわかってもらなかった。
大手サイトの信頼を落とす恐れもあると、
社内でも冷ややかな扱いを受けて、社内での理解はまるでなかった。
スピード重視で、何もかも社内で特例扱いで進行していたのも、
社内で反感を買いやすかった。
また、革新的な研究サービス扱いで、お金を稼がないサービスとして始まったため、
稼がないサービスなのに好き勝手にやっているといった空気もあった。
プロジェクトメンバーだけが、お互いの激務を支えあうみたいな、
小さな小さな家族みたいに、でも、未来を信じて、
今やれることを、お客様の方向だけを考えて始まったサービスだった。
そんな、社内で半信半疑扱いされていたサービスは、
初日は、ごくわずかなアクセスで始まった。
拍子抜けするほど、たったこれだけ?みたいな数字だった。
こちらから、お願いして記者さんを呼んで、
サービスを説明するものの、理解してもらうのに苦労するほどだったサービスが、
今では、そのサービス名を知らない人がいない。
トップページの顔とも言える場所にリンクが配置されている。
初めて会う方に、これこれをやってましたと言うと、
使ってますよと言われないことが逆に全くなくなった。
その大手サイトのどこからでも、そのサービスが使える露出だからだ。
むしろ、最近、知ってもらっていることが当然とも思えるくらいになった。
でも、今日、改めてこのサービスを作ってよかったと思う出来事があった。
外部のWebデザイナーさんとお会いして、
同僚がこれこれをやっていたんですよと紹介してくれた。
うわー、いつもお世話になってるんですよー。
作ってくれてありがとうございます!とお礼を言われた。
これにはびっくりした。
面白いとか、使ったことがあるという反応があっても、
このサービスがあるから自分は仕事がやりやすくなった、
こういうものを考えついてくれて、作ってくれてありがたいと思ったんですよと、
その人はどんなシーンで役立ったかを教えてくれた。
Webサービスの作り手をやっていて、作ってくれてありがとうと言われるなんて、
めったにあることではない。
未知なものを、いろんな軋轢を乗り越えて作ってよかったと心から思った。
実は今、ここに羅列したようなその時とまるで同じような状況で、
社内で特殊なサービスと位置づけられていて、
スピード重視、お客様重視の社内の既存サービスとはまったくカラーが違う、
新しいサービスを生み出す役割をしている。
ブランド知名度はあるものの、末っ子サービスとして生まれる準備をして、
しかも、他の子たちと違うやり方を認められているのだ。
これは、面白いが実は怖い。
ルーチン業務が何もないのだ。毎日が議論、議論、議論から始まる。
自分たちが新しい概念を社内に伝えていかなければならない。
どうやって作るのか、誰がやるのか、何もかも手探りだ。
高倍率のなかから採ったのだから、ただの中途採用ではないと言われ、
昔の苦労のプロセス経験をかってもらって、採用されたのだ。
昔と同じような環境のなかで、荒波に打ち勝った追体験を共有し、
既存のメンバーととにかくいいものを作るようにと言われている。
その人が私に、
作ってくれてありがとうございますと言ってくれたのを他のメンバーが聞きながら、
自分たちも数年後、そんなことを言われたいねと思ってもらえたようだ。
いいものを作れば、対面で、ありがとうと言われるWebサービスになるのだと、
ユーザーはユーザーと割り切っていた人は、はっとしたと言っていた。
ありがとうと言ってくれた人には、
使ってくれて、ありがとうと口に出してくれて、ありがとうと言いたいです。
ありがとうと言われる、お客様を幸せにするWebサービスを私は作ったんだという、
数年前の自分の経験に、今の不安な気持ちを支えてもらっている部分があります。
毎日、大量に訪れる課題を越えるつらい瞬間に、
あのときだってつらかった、でも、その結果、私は誰かの幸せに役立てた、
だから、今だってもっとやれるはずだと、自分の視点を信じていこうと思います。
配属からたった二週間で、
もう十年くらい勤めているみたいですねと言われるような、
密度の濃い時間を過ごしています。
過去の経験に酔うのではなく、今の仕事で、
数年後にありがとうと言われるために、知ってますよと言ってもらえるために、
何年も使ってもらえるサービスを作ろうと決意を新たにしました。
数年前の自分はがんばっていいものを作れた。
だから、今のものはもっと良くなると思います。
そう、自分の目を信じようと思います。
昔の経験を伝えて、同じ苦労はしないように何をすべきか、
毎日何時間も議論をする仲間が、今は何人もいて心強いです。
ありがとうと言われる日を夢見て、ひたむきにいいものを追求し続けます。
では、また。