素直に気持ちを表わす才能

こんにちは、検索迷子です。


職場が変わり、導入研修が一段落して、
ようやく知人に退職と転職の挨拶メールを出した。


一番最初に返信をくれたのは、一社めの会社の後輩だった。
新入社員のとき、私が教育担当をしていた人だった。


久しぶりのメールでも、そのときの元気なトーンのまま、
おめでとー! さすがだよー! すごいよー!
と、手放しで私のことをほめてくれる内容だった。


ふと、思い出した。
その人は、一緒にいた会社で私が辞めようとした日も、
一番最初に連絡をしてきた。


まだ会社でメールが普及しはじめたばかりで、
会社から、私信メールを送っても全く平気な時代だった。
先に退職していたその人の自宅に挨拶メールを送って、
今日が最後の日だと知らせた。


私自身、初めての退職経験で、気持ちも重たく、
勤めた年数分たまっていた大量の私物を抱えて帰宅して、
心身ともにどんよりとしていた。


帰宅して目に飛び込んできたものは、
大量に波打っていたFAX用紙(当時は感熱紙ロール)だった。


何が起きたのかと思ったら、
●●りん(と、その子は私を呼んでいた)、
おつかれさまーーーーー!!!!!
と大きな文字で書かれていた。


ただ、それだけだったけど、
会社では見せなかった涙が流れた。
社交辞令ではなく、本当に心を込めて慰労された気持ちだった。


新人時代にその子は、
入社半年後の社内研修に参加した後の決意表明で、
私のような社会人になりたいですと大勢の前で発表してくれた。


私を先輩として尊敬していて、目標にしていると公言してくれた、
最初の後輩だった。


一緒に仕事をしていたころは、お互い幼さが残っていた自分たちは、
その人は何人もお子さんを育て、
私は何度も転職し、決して若い子とは言われない年代になった。


それでも、今でも変わらずに、
素直に、相変わらず、思ったままの言葉で、
●●りんって、かっこいいー!と書いてくれる。


FAXやメールで、誰よりも早く、
素直な言葉をかけてくれる後輩の、
駆け引きなしの、感情をまっすぐにぶつけてくれる姿に、
いつも感動して、はっとさせられる。


通信手段の発達なんて、まるで関係ない。
道具がなんであれ、感情を素直に表現する人は、
行動や反応が早いんだなと思った。


確か以前も、自宅にFAXがなく、
そのためにわざわざコンビニに行ってくれたはずだ。
そんな時代だった。


メールではなく、手書きで色紙みたいな感じで、
メッセージを送りたいと思ってくれたらしい。


その人は、大好きと思ったら、
喜怒哀楽をはっきりと表現してくれる。
先輩後輩の関係に関係なくだ。



私信メールは、大量の宛先に送ると、
出しても反応がまるでない人も多い。
仕事と違い、返信が億劫なものは平気で無視する人もいる。


会社の後輩だって、私信メールで無礼な対応をする人だっている。
返信は遅い、返事はこない、言葉は失礼な単語だらけ、
という、人として誠意がなくて、おかしいのではという人もいる。
どんな事情があっても、最低限のマナーさえ守らない人もいる。


素直に思ったままに、すぐに気持ちを表現できるその人は、
本当にすがすがしい。
人を大切にできる、いい生き方をしているなと思う。


だれかに、メッセージを送りたいと思ったら、
言葉を考えつくすより、シンプルでもタイミングを損なわないほうが、
うれしいものだと思った。見習いたい、いい習慣です。


素直に気持ちを表すことは、才能だと思う。
メールや携帯電話があっても、
おつかれさまも、おめでとうもきちんと伝えてくれる人は少ない。


1年ぶりくらいに連絡をとっても、
ぎゅっと会わなかったり、メールをしなかった時間を縮め、
あっというまに心がつながる感じがした。


いい後輩に出会えて良かったと思った。
隣の席であれこれ教えていた日々をなつかしく思い出し、
いつのまにか、先輩後輩もない、
人として心を通わせる関係になれたような気がして嬉しくなった。


素直に相手に伝えたいことは言おうと思う。
相手が考えていることを詮索しあって、
言葉をかけられなくなって、時効がきて、誤解の糸がもつれて、
修復不能になる関係になって、誤解で泥沼になるまえに、
その日、その時の、心の交流を大切にしたい。


言葉を素直に伝えることは、とても大切なことです。



では、また。