デザインのデザインSpecial Edition

こんにちは、検索迷子です。


美しさに息をのむ、とはこのことなのかと思った。
原研哉さんの、『デザインのデザイン Special Edition』は、
そんな気持ちにさせられた一冊です。


デザインのデザイン Special Edition

デザインのデザイン Special Edition


原研哉さんは、著名なデザイナーさんですが、
検索迷子はデザインに明るくないため、失礼ながら作品とお名前が一致していませんでした。

Wikipedia −原研哉

日本デザインセンター 原デザイン事務所


この本は、p.466の著書一覧によると、2003年にオリジナル版がでたあと、


デザインのデザイン

デザインのデザイン


中国語版、韓国語版、英語版でも出版されているようです。



私は、この一冊を目にしたとき、
ああ、これも知ってる、あれも見たことがあると驚きました。


視覚的にもインパクトがあり、見たものをひきつける吸引力もあり、
その時代を思い起こさせてくれる、時代性を持つ作品ばかりだったからです。


松屋銀座リニューアルプロジェクトの衝撃


なかでも、本書p.174にあった、松屋銀座リニューアルプロジェクトは、
とても記憶に残っています。


初めは、あ、なんか変わった外壁だと思っていたのですが、
何度か目にするうちに、毎回違っていることがわかり、
次第に、銀座に行くたびにその進行具合がわかる外壁の変化を
楽しみにするようになりました。


2001年から2006年までのプロジェクトだったようですが、
その期間の長さを感じさせないものでした。


一過性のオブジェだったような感覚で見ていたものが、
作り手の思いや、ストーリー性があったものだとわかり、
余計に工業デザインの奥の深さ、すばらしさを知りました。


どんな立場で、デザインをするか


私はこのような、直接顔が見えるわけではないけれど、
作り手の意思が見えるというものがとても好きです。


デザインのことはまったくわかりませんが、
心にすっと届く感覚がするものは、誰かが考え抜いているということが、
なぜか見えるからです。


結果的にとても著名な原さんが手掛けたから当然といえば、
どのお仕事も、当然の実績かもしれません。


それでも、一人の通行人としては、誰がデザイナーかというより、
そのもの自体の面白さを実感できるということが何よりも嬉しいです。



一冊を通して、美しい写真による実績の紹介とともに、
その制作の背景が語られていました。
どれも、なぜそれを作ったのかが明快でした。
何一つ、どれ一つ、同じものはなく、
常にオーダーメイドの、そのプロジェクト独自の発想でした。


第8章WHAT IS DESIGN? デザインとは何か


p.410のこのページには、
悲鳴に耳を澄ます
という小見出しがありました。


このタイトルを目にしたとき、
検索迷子が日ごろ考えていることを代弁してもらったようで、
思いを丁寧に伝えてくれていることに感謝しつつ、引用させていただきます。

世界は技術と経済をたずさえて強引に先へ進もうとし、
生活の中の美意識は常にその変化の激しさにたえかねて悲鳴をあげるのだ。

そういう状況の中では、時代が進もうとするその先へまなざしを向けるのではなく、
むしろその悲鳴に耳を澄ますことや、その変化の中でかき消されそうになる繊細な価値に
目を向けることの方が重要なのではないか。

最近ではそう感じられることが多く、その思いは日々強くなっている。


この部分を読んだとき、
検索迷子も常日頃、人の悲鳴を聞くような切実さを、
何かわかりやすい形に変えたいと、インターネット上でできることを考えている自分と、
デザインという一見違う場で仕事をしている方と、
悲鳴に対しての感度が近いことに親近感を覚えました。


影響力の大きさは、原さんにはおよびませんが、
私は私なりに、一日何百万ページビューというサービスを過去に担当していたため、
この悲鳴と切実さをいかに、喜びや簡易さに向かわせるか心を砕いてきました。


使う手法は違って、アプローチする場所も違う。
でも、考え方のベースは人の悲鳴を聞くよう気持ちなのだと思いました。


美しい機能、美しいフォルム、美しい時間は人を幸せにする


私がこの一冊でもっとも痛感したのは、
人は美しいものに触れながら生きていくのが、一番幸せだということでした。


機能美に、心の安らぎや、使い勝手の良さが含まれていることが、
本当に生活を豊かにしてくれます。


美しいものに囲まれて暮らしたい、
丁寧にものを作りたい、
心を込めて、世の中にものを送り込みたい、
そんな気持ちにさせてくれた一冊です。


私もいつか、
こんな使いやすいことを考えてくれたのは、
検索迷子だったんですね、と言ってもらえるよう、
修行を積みたいと思います。


美しさを兼ね備えたナビゲーションと、ユーザビリティの、
いつか誰かのお手本となれるように。


こつこつ、今できることを始めていこうと思います。


美しいものは、それだけで幸せになれる。
なんて素敵なんでしょう。


美しいものを美しさのまま、誰かの手に届けていきたい、
検索迷子がインターネットでやりたいことはまさにそれです。


原さんの本にはたくさんのことを教えていただきました。
難しいことを考えなくても、目が癒される素敵な一冊です。



では、また。